
ベンダーセントラル(Vendor Central)は、Amazonに商品を卸売するメーカーやブランドオーナーが使う、招待制の管理ポータルです。日本向けのログインページは vendorcentral.amazon.co.jp です。
この記事では、セラーセントラルとの違い、発注書・商品情報・レポートなどの業務、ベンダーが使えるAmazon広告と評価の考え方を、公式資料に沿って整理します。Cascadeからベンダーの広告アカウントで出稿する方法も紹介します。
ベンダーセントラルとは
ベンダーセントラルは、Amazonへの卸売取引を管理するポータルです。ベンダーは商品をAmazonに販売し、Amazonが購入者への販売を担います。メーカーやブランドオーナーが、自社の卸売取引を管理するために利用します。
Amazon公式では、この関係をファーストパーティの取引と説明しています。本記事では1Pと表記します。利用はAmazonからの招待制です。卸売モデルと招待制については、Amazon公式のセラー・ベンダー比較で確認できます。
ログイン先と利用資格を確認する
冒頭のリンクは、日本向けベンダーセントラルのログイン先です。公開画面には、携帯電話番号またはメールアドレスの入力欄があります。パスワードを忘れた場合の案内も表示されます。
ログインを引き継ぐ際は、招待を受けた取引先の情報と利用するアカウントを照合します。担当者名、登録メールアドレス、引き継ぐ業務を一覧にすると確認しやすくなります。なお、ログインできることと、新たにベンダー取引を始められることは別です。取引の開始はAmazonからの招待が前提になります。
セラーセントラルとの違い
比較の軸は、購入者に対して誰が販売するかです。セラーはAmazon上で購入者に販売します。ベンダーはAmazonに卸売します。以下は、Amazonに納品するベンダーの基本モデルを比較したものです。
比較項目 | ベンダーセントラル | セラーセントラル |
|---|---|---|
取引の相手 | Amazonに商品を卸売する | Amazon上の購入者に販売する |
購入者への販売主体 | Amazon | 出品者 |
小売価格 | Amazonが担当する | 出品者が設定・管理する |
在庫と配送 | 商品を出荷した後、Amazonが在庫管理と配送を担当する | 出品者が在庫や配送を管理する |
利用条件 | Amazonからの招待 | 小口出品または大口出品への登録 |
小売価格や業務分担は、Amazonのコミュニティマネージャーによる公式説明で確認できます。ベンダーが決めるのは卸売価格で、購入者向けの小売価格はAmazonが決める点が、セラーとの大きな違いです。
取引形態を検討する際は、自社が管理したい範囲を先に書き出します。価格設定、購入者への販売、出荷対応のどこを担当するかを整理します。入金時期や控除項目については、手元の契約書面で確認する項目として別に管理します。広告の評価表にも、卸売金額と広告経由の売上を別の欄で記録します。
ベンダーセントラルでできること
公開の公式資料で確認できる業務を、発注対応、商品情報、レポート、販促に分けます。管理画面の説明とAPIの仕様は区別して扱います。APIは、外部のシステムからデータをやり取りする仕組みです。
発注書(PO)を確認し、対応する
PO(Purchase Order)は、Amazonがベンダーに発注した商品と数量を示す発注書です。
Amazonのベンダー向け注文APIの仕様には、POの受信と受諾・拒否の回答が記載されています。実務では、発注内容を読み、供給できる商品と数量を照合する流れで整理します。日本での回答期限や納品条件は、自社に提示された書面で確認します。
商品情報とA+コンテンツを整える
商品管理では、カタログへの商品追加や情報の整備が対象になります。Amazonのベンダー向けAPI資料にも、新商品やオファーの登録、カタログの改善が掲載されています。入力前に、商品名や型番を社内の商品台帳と照合する運用を組みます。
商品紹介コンテンツ(A+)も、ベンダー向けの機能として案内されています。ブランドストーリー、画像、テキストで商品の特徴を伝える仕組みです。Amazon Adsのクリエイティブガイドには、ベンダーセントラルからのアクセス方法があります。
編集時は、用途、仕様、同梱内容など、購入前に説明したい内容を整理します。広告で訴求する内容と、商品ページで確認できる内容を照合します。たとえばサイズを訴求する商品なら、サイズ表記を確認対象にします。これは掲載内容を確認するための編集例です。
売上や商品別のレポートを確認する
ベンダー向けの公式資料には、売上、トラフィック、在庫のレポートが掲載されています。売上レポートには、注文・出荷に関する金額や数量が含まれます。ASIN単位のデータも、公式の分析レポート仕様で確認できます。
社内で共有する表には、対象期間と採用した売上項目を併記します。注文金額を見る表と出荷金額を見る表を混ぜず、比較条件をそろえます。前月との差を確認するときも、同じ項目で比較する形にします。
プロモーションの実績を評価する
Amazon公式のベンダー向けAPI用途一覧には、カタログ管理に加え、販促実績の取得が記載されています。クーポンとプロモーションの実績データが対象です。公開資料から確認できるのは、こうしたデータ取得の用途です。
販促を評価する際は、実施期間、対象商品、広告の変更内容を記録します。商品ページの修正も同じ記録に残すと、振り返りの条件をそろえられます。売上の変化を検討するときは、販促と広告を別々の施策として整理します。
ベンダーが使えるAmazon広告
ベンダー向けの広告は、広告タイプごとの対象条件を確認して選びます。個々の商品を訴求するのか、ブランドへの接点を増やすのか、目的を先に決めます。
広告タイプ | 主な用途・特徴 | 公式に示された利用対象・条件 |
|---|---|---|
個々の商品を訴求するクリック課金制の広告 | お取引企業様も対象。商品カテゴリーとおすすめ出品の要件を満たす必要がある | |
画像や動画などでブランドを紹介する | 公式ページでは、Amazonブランド登録に登録済みのお取引企業様などを対象としている | |
クリエイティブを使い、さまざまな場所でブランドを訴求する | 公式FAQでは、Amazonでの出品の有無にかかわらず購入できると説明されている | |
Amazon DSP | ディスプレイ広告、動画広告、音声広告を購入できる | Amazonで商品を出品している広告主と、出品していない広告主の双方が対象 |
スポンサーディスプレイ広告は、公式ページで名称変更が案内されています。現在の名称は「ディスプレイ広告」です。ディスプレイ広告とDSPの利用対象は、Amazon Ads公式FAQで確認できます。
広告全体の整理には、Amazon広告の種類と始め方も参照できます。商品ごとの配信を設計する場合は、スポンサープロダクト広告の運用設計を確認します。評価指標の読み方は、ACoSとROASの違いにまとめています。
ベンダーの売上と広告をどう評価するか
ベンダーではAmazonが小売価格を担当します。そのため、運用の評価では価格、販売数量、広告指標を分けて記録します。以下は、卸売取引と広告を同じ会議で検討するための評価設計例です。
ACoSとROASの計算対象をそろえる
ACoSは、広告費を広告収益で割り、百分率で示す指標です。ROASは、広告収益を広告費で割って求めます。計算式は、Amazon AdsのACoSガイドで確認できます。ここでは広告収益を「広告経由の売上」と表記します。
ACoS(%)=広告費÷広告経由の売上×100
ROAS(倍)=広告経由の売上÷広告費
計算例として、広告費を3万円、広告経由の売上を15万円と仮定します。ACoSは20%、ROASは5倍です。これは計算方法を示す架空の数値で、実在企業の実績や目標値ではありません。
この例だけでは、ベンダー自身の利益は判断できません。卸売代金、商品の原価、契約上の負担を仮定していないためです。広告の売上をそのまま自社の卸売売上として使わず、収益管理の表を別に作ります。
商品別の優先順位を決める
優先順位表では、各商品に「広告で何を確かめるか」を一つ記入します。以下は運用会議で使う分類例です。分類を決めた後、評価期間と次の判断日を設定します。
商品群の例 | 確認する内容 | 次に検討する対応 |
|---|---|---|
継続して販売する商品 | 売上、ACoS、ROASの推移 | 配信を維持する条件と、予算を増やす条件を決める |
広告で検証する商品 | 商品ごとに決めた目標への進捗 | 対象と期間を区切り、検証を継続するか判断する |
販売準備を見直す商品 | 商品情報や供給計画の確認状況 | 広告を拡大する前に確認事項を解消する |
商品分類を検討する際は、ABC分析の進め方を参照できます。売上や商品を含む評価表の整理には、ECサイト分析の指標と手順も関連します。
広告の変更と商品情報を一緒に記録する
週次の振り返りでは、売上と広告指標に加え、実施した変更を記録します。入札額を変更した日、商品説明を修正した日、販促の期間を並べる方法です。数値だけで理由を決めず、次に確認する仮説を記入します。
たとえばROASが変化した場合、広告費と広告経由の売上を別々に比較します。販売数量や価格についても確認事項を立てます。商品名や仕様の記録は、広告担当者と商品担当者が同じ表を見て照合する運用例です。
施策全体の設計にはEC広告の考え方、商品データを広告に使う仕組みにはデータフィード広告の解説が関連します。社内資料では、商品情報の管理と広告の改善について担当範囲を記入します。
Cascadeでベンダーの広告アカウントを運用する
CascadeはAmazon広告と連携でき、出品者(セラー)とベンダーのどちらの広告アカウントも扱えます。設定の「外部連携」からAmazon広告を選び、ログインしてアクセスを許可します。複数のアカウントがある場合は、利用するものを選びます。手順は外部連携のヘルプで確認できます。
ASINを選んでスポンサープロダクト広告を出稿する
広告出稿の「ASINを選ぶだけで出稿(Amazon SP)」では、広告アカウント(出品者/ベンダー)を選び、広告する商品のASINを入力または検索して追加します(最大10件)。Amazonの推奨値(入札額・初期予算・キーワード・商品ターゲット)をもとに、オートターゲティング・キーワードターゲティング・商品ターゲティングの最大3本のキャンペーン案が下書きされます。内容を確認・編集してから作成する流れです。
ベンダーアカウントを選んだ場合は、通常の出稿ウィザードからもスポンサープロダクト広告とスポンサーディスプレイ広告を作成できます。出品者アカウントでは、この2つは通常のウィザードでは選べず、スポンサーブランド広告か上記のASINからの出稿を使います。
広告出稿はBusinessプランの機能です。オーナー・管理者・編集者が利用でき、対象の広告アカウントの連携が必要です。
目標ACoSを設定し、配信後の成果を確認する
ASINから作成するフローで目標ACoSを設定すると、作成したキャンペーンは入札額の自動最適化の対象になります。目標ACoSを設定できるのは、オーナーと管理者です。出稿後は、目標ACoSと実績のACoS・ROASを比べ、前節の商品別の評価表と合わせて、継続する商品と見直す商品を判断します。
スポンサープロダクト広告の表示条件になるおすすめ出品(カートボックス)はBuy Box(カートボックス)の獲得条件と広告への影響で解説しています。
よくある質問
Q. ベンダーセントラルとは何ですか?
Amazonに商品を卸売する取引先向けの管理ポータルです。利用は招待制です。ベンダーがAmazonへ販売し、Amazonが購入者への販売を担う点が、セラーとの違いです。
Q. Amazonベンダーセントラルの解約方法は?
解約方法は、招待時の契約書面で確認します。公開されている公式資料には、共通の解約手順は示されていません。契約条件は個別に確認し、契約上の窓口へ終了条件や精算の確認事項を照会します。
Q. ベンダーセントラルの手数料はいくらですか?
手数料は、招待時の契約書面で確認する項目です。公開されている公式資料には、一律の金額や料率は示されていません。セラー向けの販売手数料とは別の体系なので、セラーの料金表をそのまま当てはめないよう注意してください。
Q. アマゾンのベンダーとは何ですか?
商品をAmazonに卸売するメーカーやブランドオーナーなどの取引先です。購入者へ直接販売する出品者とは、販売先が異なります。卸売価格とAmazonでの小売価格を分けて管理します。
まとめ
ベンダーセントラルは、Amazonとの卸売取引を管理する招待制のポータルです。セラーとの違いを確認する際は、販売主体と小売価格の扱いを比較します。広告は利用条件を確認し、ACoS・ROASと自社の卸売収益を分けて評価します。Cascadeでは、ベンダーの広告アカウントを選んでASINから出稿し、目標ACoSに合わせた入札の自動最適化まで運用に組み込めます。







