Amazon広告のACoSとは?計算式・読み方とROAS・TACoSとの違い

Amazon広告のACoSとは?計算式・読み方とROAS・TACoSとの違い

Amazon広告のACoSとは?計算式・読み方とROAS・TACoSとの違い

ACoS(エーコス)とは、Amazon広告で使われる指標で、広告経由の売上に対して広告費がどれくらいの割合を占めるかを示します。計算式は「ACoS(%)=広告費÷広告経由の売上×100」で、数値が低いほど広告費用の効率が良く、Amazon広告のセラーが日常的に確認する指標です。

Amazon Ads 公式サイト

※出典:Amazon

ACoS(%)=広告費 ÷ 広告経由の売上 × 100

本記事では、ACoSの意味と読み方、計算式と具体例、ROASとの関係、TACoSとの違い、目安の決め方、そして改善方法までを順番に解説します。

ACoSとは

ACoSとは「Advertising Cost of Sales」の略称で、日本語では広告費売上高比率と訳されます。Amazon広告に投じた費用が、その広告経由の売上に対してどれくらいの割合を占めるかを示す指標です。この数値が小さいほど、広告費に対して効率よく売上を得られていることを意味します。Amazonのスポンサープロダクト広告などはクリック課金型のPPC広告です。ACoSは、これらのキャンペーンの費用対効果を判断するためにセラーが使う基本的な指標です。

ACoSが重視される理由

Amazon広告の運用でACoSが基本の指標として使われる理由は、主に3つあります。

  • 入札額を判断する基準になるためです。キーワードや商品ターゲティングごとのACoSを見れば、どの入札を強めてどの入札を弱めるべきかを数値で判断できます。

  • 商品ごとの採算を管理しやすいためです。Amazonでは商品ごとに原価や粗利率が異なります。ACoSを商品単位で見ると、どの商品なら広告費をかけても採算が合うかを把握できます。

  • Amazon広告の管理画面がACoSを標準の指標として表示するためです。キャンペーンレポートの初期表示にACoSが含まれているため、多くのセラーが日常的な確認指標として使っています。

ACoSの読み方

ACoSは「エーコス」と読みます。Advertising Cost of Salesの頭文字を取った略語で、Amazon広告に関わるセラーの間でこの読み方が定着しています。「エーシーオーエス」とアルファベットを1文字ずつ読むことは一般的ではありません。

Amazon広告の管理画面でACoSを確認する方法

ACoSは、Amazon広告の管理画面でキャンペーンごとのレポートを開くと確認できます。キャンペーン単位、広告グループ単位、キーワード単位など、見たい粒度でACoSの数値を絞り込めます。管理画面の表示項目や名称は仕様変更で変わることがあるため、最新の操作方法はAmazon広告側のヘルプで確認してください。

ACoSの計算式と具体例

ACoSは次の式で求められます。

ACoS(%)=広告費 ÷ 広告経由の売上 × 100

広告費と広告経由の売上さえ分かれば、電卓でもすぐに計算できます。ここでいう「広告経由の売上」は、Amazon広告のレポートが広告クリックの成果として計上した売上を指します。自然検索(オーガニック)経由の売上は含みません。2つの計算例で確認します。

手元の広告費と売上からすぐに計算したい場合は、こちらのACOS計算ツールをご利用ください(ROAS換算も同時に表示されます)。

【計算ツール:acos】

計算例1:広告費2万円で売上10万円の場合

ある商品にAmazon広告を出稿したとします。広告費として2万円を使い、広告経由の売上は10万円でした。この場合のACoSは、2万円÷10万円×100で20%です。広告費1円あたり5円の売上を広告経由で得たことになります。同じ条件でROASを計算すると、10万円÷2万円×100で500%です。ACoSとROASは、同じ広告成果を裏表の関係で表しています。

計算例2:広告費5万円で売上15万円の場合

別の商品では、広告費5万円に対して広告経由の売上が15万円だったとします。ACoSは5万円÷15万円×100で、約33.3%です。計算例1と比べるとACoSの数値は大きく、広告費に対する売上の効率は計算例1のほうが高いと分かります。ACoSは数値が小さいほど効率が良いという点を、2つの例を比べると確認できます。

ACoSとROASの関係

ACoSとROASは、同じ広告成果を異なる向きから見た指標です。計算式の関係は次のとおりです。

ACoS=1 ÷ ROAS

ここでのACoSとROASは、100%を1とする比率(小数)で計算します。たとえばROASが500%(5.0)であれば、ACoSは1÷5.0で0.2、つまり20%です。逆にACoSが20%(0.2)であれば、ROASは1÷0.2で5.0、つまり500%になります。

両者の対応関係を表にまとめます。

ACoS

ROAS

10%

1000%

20%

500%

25%

400%

約33%

300%

50%

200%

一般的なWeb広告の運用では、GoogleやMetaを含めROAS(広告費用対効果)で成果を語ることが多くあります。ROASは数値が高いほど良いという、直感的な理解がしやすい指標です。一方でAmazon広告の管理画面はACoSを基本の指標として表示するため、Amazonを中心に運用するセラーの間ではACoSで会話する文化が根づいています。両者は計算の向きが逆なだけで、示している内容は同じです。ROASの詳しい計算式や目安の考え方はROASの解説記事で扱っています。

TACoSとの違い

TACoSは「Total Advertising Cost of Sales」の略称で、広告費売上高比率の総合版と位置づけられる指標です。計算式は次のとおりです。

TACoS(%)=広告費 ÷ 総売上(広告経由+オーガニック)× 100

ACoSの分母は「広告経由の売上」だけです。これに対してTACoSの分母は、自然検索など広告を介さないオーガニック経由の売上も含めた総売上です。この違いにより、ACoSは広告キャンペーン単体の効率を示し、TACoSは事業全体がどれだけ広告費に依存しているかを示す指標になります。

ACoSが良くてもTACoSが上がり続ける状態

ACoSが低い水準を保っていても、TACoSが上がり続けることがあります。これは、総売上に占める広告経由の比率が高まっている状態を意味します。たとえば新商品のランキングを上げるために、広告出稿量を増やしたとします。広告経由の売上が伸びてACoSは目標の範囲に収まったままでも、総売上に対する広告費の割合であるTACoSは上昇します。オーガニック経由の売上が育たないまま広告費だけを積み増している状態は、広告を止めた途端に売上が落ち込むリスクを抱えています。ACoSだけでなくTACoSも定期的に確認すると、広告への依存度が高まっていないかを把握できます。

ACoSの目安の決め方

「ACoSの目安は何%か」はよく聞かれる質問です。結論からいうと、業種を問わず当てはまる公的なACoSの平均値は存在しません。粗利率は商品ごと、セラーごとに異なるため、単一の目安を当てはめること自体に無理があります。

その代わりに使えるのが、損益分岐ACoSという考え方です。次の式で求められます。

損益分岐ACoS(%)=粗利率(%)

ACoSが粗利率と同じ水準になると、広告経由で得た粗利のすべてが広告費で相殺され、その商品の広告部分の利益はゼロになります。ACoSが粗利率を下回れば、広告費を差し引いても利益が残ります。逆にACoSが粗利率を上回ると、広告を出すほど赤字が広がる状態です。粗利率は「(売上-原価)÷売上×100」で求められるため、自社の原価が分かれば計算できます。

粗利率別の損益分岐ACoS早見表

粗利率

損益分岐ACoS

30%

30%

40%

40%

50%

50%

60%

60%

この表のとおり、損益分岐ACoSは粗利率とそのまま同じ数値になります。粗利率30%の商品であればACoS30%、粗利率60%の商品であればACoS60%が損益分岐のラインです。粗利率が高い商品ほど、広告費として使える上限も高くなる構造です。

ACoSを高く許容する場面・低く抑える場面

損益分岐ACoSはあくまで最低限のラインです。実際の目標ACoSは、販売フェーズによって変わります。

  • 新商品のローンチ期やランキング獲得期は、損益分岐ACoSを超える水準を戦略的に許容する場面です。検索結果での露出やレビューの蓄積を優先し、広告単体の短期的な赤字を許容してでも販売実績を積み上げる判断です。

  • 商品が定番化して検索順位が安定した利益回収期は、ACoSを損益分岐ラインより十分低く抑える場面です。広告に頼らなくても一定の売上が見込める状態であれば、ACoSを下げて利益を確保する運用に切り替えます。

同じ商品でも、発売直後と定番化した後ではACoSの適正水準が変わります。フェーズを意識せずに一律の目標ACoSを当てはめると、ローンチ期に広告を絞りすぎたり、利益回収期にコストをかけすぎたりする原因になります。

ACoSを改善する方法

ACoSの改善は、広告費を抑えるか、広告経由の売上を伸ばすかのいずれかで実現します。どちらか一方だけでなく、両方を組み合わせて取り組むと効果が出やすくなります。実務でよく使われる施策を紹介します。

入札額を調整する

ACoSが高いキーワードや商品ターゲティングは、入札額を下げて広告費を抑えます。逆にACoSが低く、売上に貢献しているキーワードもあります。これらは入札額を上げて表示機会を増やすと、効率を保ったまま売上を伸ばせます。入札額を大きく変更すると表示回数が急に変わることがあるため、段階的に調整して数値の変化を確認します。

キーワードを精査する

検索語句レポートを確認し、クリックはされても購入につながっていないキーワードを洗い出します。購入に至っている検索語句を新しいキーワードとして追加し、入札を強めると、成果につながりやすい語句への配分を増やせます。

除外キーワードを設定する

商品と関連性の低い検索語句や、クリックばかりでコンバージョンにつながらない検索語句は、除外キーワードに追加します。無駄なクリックを減らせるため、広告費を抑えながらACoSを改善できます。除外キーワードは一度に増やしすぎると表示機会そのものが減るため、検索語句レポートのデータを見ながら少しずつ追加します。

商品ページを改善してCVRを上げる

商品画像、商品名、価格、レビューの内容は、広告をクリックした後の購入率(CVR)に直結します。広告費と検索語句が同じでも、商品ページのCVRが上がれば、広告経由の売上が増えてACoSは改善します。商品ページの改善は、広告の設定を変更するよりも効果が長続きしやすい施策です。

在庫切れとカート獲得の前提を確認する

ACoSを改善する施策には前提があります。商品の在庫が十分にあり、カートボックスを獲得できている状態です。在庫切れやカート獲得率の低下が起きていると、広告費をかけてもクリックが購入につながらず、ACoSが悪化します。広告の数値を見る前に、在庫状況とカート獲得の状態を確認しておくと、原因の切り分けがしやすくなります。Amazon広告にはスポンサープロダクト広告のほかにも複数の種類があり、それぞれ役割が異なります。広告の種類ごとの特徴はAmazon広告の解説記事で扱っています。

複数媒体を運用する場合のACoS管理

Amazon広告だけでなく、Google広告やMeta広告など複数の媒体を併用しているセラーやEC事業者は少なくありません。Amazon広告の管理画面はACoSを基本の指標として表示する一方、他の多くの広告媒体はROASで成果を表示します。媒体ごとに指標の向きが異なると、レポートを媒体別に見比べるだけで数値の意味を都度変換する手間がかかります。たとえばAmazon広告のACoSが20%、併用しているGoogle広告のROASが400%だったとします。この2つの数値をそのまま比較しても、どちらの広告が効率よく成果を上げているかは分かりません。

複数媒体を横断して広告費と売上を比較するには、共通の物差しで数値をそろえる必要があります。ACoSとROASのどちらかに統一する方法が、その一つです。媒体ごとに別々のレポートを見ていると、どの媒体に予算を寄せるべきかの判断が遅れやすくなります。Cascadeは、Amazon広告を含む複数媒体の広告データを一元管理できる広告運用プラットフォームです。詳しくはCascadeのサービス紹介ページをご覧ください。

ACoSのよくある質問

ACoSは低いほど良いのですか?

一概には言えません。損益分岐ACoS(粗利率と同じ水準)を下回っていれば、広告経由で利益が出ています。ただし新商品のランキング獲得期など、あえてACoSを高めに許容して露出を優先する場面もあります。数値だけを見て一律に「低いほど良い」と判断せず、その商品が今どの販売フェーズにあるかと合わせて評価する必要があります。

損益分岐ACoSはどう計算しますか?

損益分岐ACoSは粗利率と同じ数値になります。粗利率は「(売上-原価)÷売上×100」で求められるため、この数値がそのまま損益分岐ACoSの目安です。粗利率30%の商品であれば、ACoS30%が損益分岐のラインです。

ACoSとROASはどちらを見るべきですか?

Amazon広告単体のキャンペーンやキーワードの効率を見るならACoS、他の広告媒体と横並びで比較するならROASが向いています。Amazon広告の管理画面はACoSを基本の指標として表示するため、Amazon内の運用はACoSで、複数媒体を横断した比較はROASで見るという使い分けが実務的です。

ACoSとTACoSはどちらを重視すべきですか?

両方を併用して確認する運用をおすすめします。ACoSは広告キャンペーン単体の効率を示し、TACoSは事業全体の広告依存度を示しており、見ている対象が異なります。ACoSが目標の範囲内でも、TACoSが上がり続けている場合は、広告への依存度が高まっていないかを確認します。

まとめ

ACoS(エーコス)とは、Amazon広告の売上に対する広告費の割合を示す指標です。計算式は「広告費÷広告経由の売上×100」で、数値が低いほど広告費用の効率が良いことを意味します。

  • ROASとは逆数の関係にあり、ACoSとROASは同じ広告成果を裏表から見た数値です。

  • TACoSは広告依存度を示す指標で、ACoSが良好でもTACoSの上昇が続く場合は事業全体の広告依存を確認します。

  • 目安は業界平均ではなく損益分岐ACoS(=粗利率)から逆算し、販売フェーズに応じて許容水準を変えます。

  • 改善は入札調整・キーワード精査・除外キーワード・商品ページのCVR改善を組み合わせ、在庫とカート獲得の前提も確認します。

  • 複数媒体を運用する場合は、ACoSとROASの指標のズレをそろえて横断的に広告費と売上を比較します。

まずは自社の粗利率を確認し、損益分岐ACoSを計算するところから始めてみてください。Amazon広告単体の効率はACoSで、他媒体を含めた予算配分の判断は共通の物差しで確認する運用が、複数媒体を運用するうえでの土台になります。

ACoS(エーコス)とは、Amazon広告で使われる指標で、広告経由の売上に対して広告費がどれくらいの割合を占めるかを示します。計算式は「ACoS(%)=広告費÷広告経由の売上×100」で、数値が低いほど広告費用の効率が良く、Amazon広告のセラーが日常的に確認する指標です。

Amazon Ads 公式サイト

※出典:Amazon

ACoS(%)=広告費 ÷ 広告経由の売上 × 100

本記事では、ACoSの意味と読み方、計算式と具体例、ROASとの関係、TACoSとの違い、目安の決め方、そして改善方法までを順番に解説します。

ACoSとは

ACoSとは「Advertising Cost of Sales」の略称で、日本語では広告費売上高比率と訳されます。Amazon広告に投じた費用が、その広告経由の売上に対してどれくらいの割合を占めるかを示す指標です。この数値が小さいほど、広告費に対して効率よく売上を得られていることを意味します。Amazonのスポンサープロダクト広告などはクリック課金型のPPC広告です。ACoSは、これらのキャンペーンの費用対効果を判断するためにセラーが使う基本的な指標です。

ACoSが重視される理由

Amazon広告の運用でACoSが基本の指標として使われる理由は、主に3つあります。

  • 入札額を判断する基準になるためです。キーワードや商品ターゲティングごとのACoSを見れば、どの入札を強めてどの入札を弱めるべきかを数値で判断できます。

  • 商品ごとの採算を管理しやすいためです。Amazonでは商品ごとに原価や粗利率が異なります。ACoSを商品単位で見ると、どの商品なら広告費をかけても採算が合うかを把握できます。

  • Amazon広告の管理画面がACoSを標準の指標として表示するためです。キャンペーンレポートの初期表示にACoSが含まれているため、多くのセラーが日常的な確認指標として使っています。

ACoSの読み方

ACoSは「エーコス」と読みます。Advertising Cost of Salesの頭文字を取った略語で、Amazon広告に関わるセラーの間でこの読み方が定着しています。「エーシーオーエス」とアルファベットを1文字ずつ読むことは一般的ではありません。

Amazon広告の管理画面でACoSを確認する方法

ACoSは、Amazon広告の管理画面でキャンペーンごとのレポートを開くと確認できます。キャンペーン単位、広告グループ単位、キーワード単位など、見たい粒度でACoSの数値を絞り込めます。管理画面の表示項目や名称は仕様変更で変わることがあるため、最新の操作方法はAmazon広告側のヘルプで確認してください。

ACoSの計算式と具体例

ACoSは次の式で求められます。

ACoS(%)=広告費 ÷ 広告経由の売上 × 100

広告費と広告経由の売上さえ分かれば、電卓でもすぐに計算できます。ここでいう「広告経由の売上」は、Amazon広告のレポートが広告クリックの成果として計上した売上を指します。自然検索(オーガニック)経由の売上は含みません。2つの計算例で確認します。

手元の広告費と売上からすぐに計算したい場合は、こちらのACOS計算ツールをご利用ください(ROAS換算も同時に表示されます)。

【計算ツール:acos】

計算例1:広告費2万円で売上10万円の場合

ある商品にAmazon広告を出稿したとします。広告費として2万円を使い、広告経由の売上は10万円でした。この場合のACoSは、2万円÷10万円×100で20%です。広告費1円あたり5円の売上を広告経由で得たことになります。同じ条件でROASを計算すると、10万円÷2万円×100で500%です。ACoSとROASは、同じ広告成果を裏表の関係で表しています。

計算例2:広告費5万円で売上15万円の場合

別の商品では、広告費5万円に対して広告経由の売上が15万円だったとします。ACoSは5万円÷15万円×100で、約33.3%です。計算例1と比べるとACoSの数値は大きく、広告費に対する売上の効率は計算例1のほうが高いと分かります。ACoSは数値が小さいほど効率が良いという点を、2つの例を比べると確認できます。

ACoSとROASの関係

ACoSとROASは、同じ広告成果を異なる向きから見た指標です。計算式の関係は次のとおりです。

ACoS=1 ÷ ROAS

ここでのACoSとROASは、100%を1とする比率(小数)で計算します。たとえばROASが500%(5.0)であれば、ACoSは1÷5.0で0.2、つまり20%です。逆にACoSが20%(0.2)であれば、ROASは1÷0.2で5.0、つまり500%になります。

両者の対応関係を表にまとめます。

ACoS

ROAS

10%

1000%

20%

500%

25%

400%

約33%

300%

50%

200%

一般的なWeb広告の運用では、GoogleやMetaを含めROAS(広告費用対効果)で成果を語ることが多くあります。ROASは数値が高いほど良いという、直感的な理解がしやすい指標です。一方でAmazon広告の管理画面はACoSを基本の指標として表示するため、Amazonを中心に運用するセラーの間ではACoSで会話する文化が根づいています。両者は計算の向きが逆なだけで、示している内容は同じです。ROASの詳しい計算式や目安の考え方はROASの解説記事で扱っています。

TACoSとの違い

TACoSは「Total Advertising Cost of Sales」の略称で、広告費売上高比率の総合版と位置づけられる指標です。計算式は次のとおりです。

TACoS(%)=広告費 ÷ 総売上(広告経由+オーガニック)× 100

ACoSの分母は「広告経由の売上」だけです。これに対してTACoSの分母は、自然検索など広告を介さないオーガニック経由の売上も含めた総売上です。この違いにより、ACoSは広告キャンペーン単体の効率を示し、TACoSは事業全体がどれだけ広告費に依存しているかを示す指標になります。

ACoSが良くてもTACoSが上がり続ける状態

ACoSが低い水準を保っていても、TACoSが上がり続けることがあります。これは、総売上に占める広告経由の比率が高まっている状態を意味します。たとえば新商品のランキングを上げるために、広告出稿量を増やしたとします。広告経由の売上が伸びてACoSは目標の範囲に収まったままでも、総売上に対する広告費の割合であるTACoSは上昇します。オーガニック経由の売上が育たないまま広告費だけを積み増している状態は、広告を止めた途端に売上が落ち込むリスクを抱えています。ACoSだけでなくTACoSも定期的に確認すると、広告への依存度が高まっていないかを把握できます。

ACoSの目安の決め方

「ACoSの目安は何%か」はよく聞かれる質問です。結論からいうと、業種を問わず当てはまる公的なACoSの平均値は存在しません。粗利率は商品ごと、セラーごとに異なるため、単一の目安を当てはめること自体に無理があります。

その代わりに使えるのが、損益分岐ACoSという考え方です。次の式で求められます。

損益分岐ACoS(%)=粗利率(%)

ACoSが粗利率と同じ水準になると、広告経由で得た粗利のすべてが広告費で相殺され、その商品の広告部分の利益はゼロになります。ACoSが粗利率を下回れば、広告費を差し引いても利益が残ります。逆にACoSが粗利率を上回ると、広告を出すほど赤字が広がる状態です。粗利率は「(売上-原価)÷売上×100」で求められるため、自社の原価が分かれば計算できます。

粗利率別の損益分岐ACoS早見表

粗利率

損益分岐ACoS

30%

30%

40%

40%

50%

50%

60%

60%

この表のとおり、損益分岐ACoSは粗利率とそのまま同じ数値になります。粗利率30%の商品であればACoS30%、粗利率60%の商品であればACoS60%が損益分岐のラインです。粗利率が高い商品ほど、広告費として使える上限も高くなる構造です。

ACoSを高く許容する場面・低く抑える場面

損益分岐ACoSはあくまで最低限のラインです。実際の目標ACoSは、販売フェーズによって変わります。

  • 新商品のローンチ期やランキング獲得期は、損益分岐ACoSを超える水準を戦略的に許容する場面です。検索結果での露出やレビューの蓄積を優先し、広告単体の短期的な赤字を許容してでも販売実績を積み上げる判断です。

  • 商品が定番化して検索順位が安定した利益回収期は、ACoSを損益分岐ラインより十分低く抑える場面です。広告に頼らなくても一定の売上が見込める状態であれば、ACoSを下げて利益を確保する運用に切り替えます。

同じ商品でも、発売直後と定番化した後ではACoSの適正水準が変わります。フェーズを意識せずに一律の目標ACoSを当てはめると、ローンチ期に広告を絞りすぎたり、利益回収期にコストをかけすぎたりする原因になります。

ACoSを改善する方法

ACoSの改善は、広告費を抑えるか、広告経由の売上を伸ばすかのいずれかで実現します。どちらか一方だけでなく、両方を組み合わせて取り組むと効果が出やすくなります。実務でよく使われる施策を紹介します。

入札額を調整する

ACoSが高いキーワードや商品ターゲティングは、入札額を下げて広告費を抑えます。逆にACoSが低く、売上に貢献しているキーワードもあります。これらは入札額を上げて表示機会を増やすと、効率を保ったまま売上を伸ばせます。入札額を大きく変更すると表示回数が急に変わることがあるため、段階的に調整して数値の変化を確認します。

キーワードを精査する

検索語句レポートを確認し、クリックはされても購入につながっていないキーワードを洗い出します。購入に至っている検索語句を新しいキーワードとして追加し、入札を強めると、成果につながりやすい語句への配分を増やせます。

除外キーワードを設定する

商品と関連性の低い検索語句や、クリックばかりでコンバージョンにつながらない検索語句は、除外キーワードに追加します。無駄なクリックを減らせるため、広告費を抑えながらACoSを改善できます。除外キーワードは一度に増やしすぎると表示機会そのものが減るため、検索語句レポートのデータを見ながら少しずつ追加します。

商品ページを改善してCVRを上げる

商品画像、商品名、価格、レビューの内容は、広告をクリックした後の購入率(CVR)に直結します。広告費と検索語句が同じでも、商品ページのCVRが上がれば、広告経由の売上が増えてACoSは改善します。商品ページの改善は、広告の設定を変更するよりも効果が長続きしやすい施策です。

在庫切れとカート獲得の前提を確認する

ACoSを改善する施策には前提があります。商品の在庫が十分にあり、カートボックスを獲得できている状態です。在庫切れやカート獲得率の低下が起きていると、広告費をかけてもクリックが購入につながらず、ACoSが悪化します。広告の数値を見る前に、在庫状況とカート獲得の状態を確認しておくと、原因の切り分けがしやすくなります。Amazon広告にはスポンサープロダクト広告のほかにも複数の種類があり、それぞれ役割が異なります。広告の種類ごとの特徴はAmazon広告の解説記事で扱っています。

複数媒体を運用する場合のACoS管理

Amazon広告だけでなく、Google広告やMeta広告など複数の媒体を併用しているセラーやEC事業者は少なくありません。Amazon広告の管理画面はACoSを基本の指標として表示する一方、他の多くの広告媒体はROASで成果を表示します。媒体ごとに指標の向きが異なると、レポートを媒体別に見比べるだけで数値の意味を都度変換する手間がかかります。たとえばAmazon広告のACoSが20%、併用しているGoogle広告のROASが400%だったとします。この2つの数値をそのまま比較しても、どちらの広告が効率よく成果を上げているかは分かりません。

複数媒体を横断して広告費と売上を比較するには、共通の物差しで数値をそろえる必要があります。ACoSとROASのどちらかに統一する方法が、その一つです。媒体ごとに別々のレポートを見ていると、どの媒体に予算を寄せるべきかの判断が遅れやすくなります。Cascadeは、Amazon広告を含む複数媒体の広告データを一元管理できる広告運用プラットフォームです。詳しくはCascadeのサービス紹介ページをご覧ください。

ACoSのよくある質問

ACoSは低いほど良いのですか?

一概には言えません。損益分岐ACoS(粗利率と同じ水準)を下回っていれば、広告経由で利益が出ています。ただし新商品のランキング獲得期など、あえてACoSを高めに許容して露出を優先する場面もあります。数値だけを見て一律に「低いほど良い」と判断せず、その商品が今どの販売フェーズにあるかと合わせて評価する必要があります。

損益分岐ACoSはどう計算しますか?

損益分岐ACoSは粗利率と同じ数値になります。粗利率は「(売上-原価)÷売上×100」で求められるため、この数値がそのまま損益分岐ACoSの目安です。粗利率30%の商品であれば、ACoS30%が損益分岐のラインです。

ACoSとROASはどちらを見るべきですか?

Amazon広告単体のキャンペーンやキーワードの効率を見るならACoS、他の広告媒体と横並びで比較するならROASが向いています。Amazon広告の管理画面はACoSを基本の指標として表示するため、Amazon内の運用はACoSで、複数媒体を横断した比較はROASで見るという使い分けが実務的です。

ACoSとTACoSはどちらを重視すべきですか?

両方を併用して確認する運用をおすすめします。ACoSは広告キャンペーン単体の効率を示し、TACoSは事業全体の広告依存度を示しており、見ている対象が異なります。ACoSが目標の範囲内でも、TACoSが上がり続けている場合は、広告への依存度が高まっていないかを確認します。

まとめ

ACoS(エーコス)とは、Amazon広告の売上に対する広告費の割合を示す指標です。計算式は「広告費÷広告経由の売上×100」で、数値が低いほど広告費用の効率が良いことを意味します。

  • ROASとは逆数の関係にあり、ACoSとROASは同じ広告成果を裏表から見た数値です。

  • TACoSは広告依存度を示す指標で、ACoSが良好でもTACoSの上昇が続く場合は事業全体の広告依存を確認します。

  • 目安は業界平均ではなく損益分岐ACoS(=粗利率)から逆算し、販売フェーズに応じて許容水準を変えます。

  • 改善は入札調整・キーワード精査・除外キーワード・商品ページのCVR改善を組み合わせ、在庫とカート獲得の前提も確認します。

  • 複数媒体を運用する場合は、ACoSとROASの指標のズレをそろえて横断的に広告費と売上を比較します。

まずは自社の粗利率を確認し、損益分岐ACoSを計算するところから始めてみてください。Amazon広告単体の効率はACoSで、他媒体を含めた予算配分の判断は共通の物差しで確認する運用が、複数媒体を運用するうえでの土台になります。

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