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顧客分析とは?手法・フレームワーク・ツールの選び方と広告への活かし方

顧客分析とは?手法・フレームワーク・ツールの選び方と広告への活かし方

顧客分析とは

顧客分析とは、購入履歴や行動データをもとに、誰が買い、なぜ繰り返し購入し、どこで離脱しているかを数値で把握する取り組みです。目的は、印象や勘に頼った顧客理解を、再現性のある指標に置き換えることにあります。

顧客データ分析とも呼ばれるこの取り組みが扱う範囲は幅広く、新規顧客と既存顧客の比率、購入頻度や購入金額による優良顧客の見分け方、休眠化の兆候、満足度やロイヤルティの推移まで、切り口は一様ではありません。本記事では、代表的な手法を一覧で比較したうえで、RFM分析については手順まで踏み込んで解説し、広告運用への接続方法まで扱います。

顧客分析の主な手法

顧客分析の手法は、見る軸(直近性・頻度・金額・行動・満足度など)と、必要になるデータの種類によって使い分けます。まず全体像を一覧で示します。

手法

見る内容

主に使うデータ

向く場面

RFM分析

直近購入日・購入頻度・購入金額の3軸で顧客をランク付け

購入履歴(注文日・注文回数・金額)

既存顧客を優良度で仕分け、休眠化の兆候を早期に見る場面

デシル分析

購入金額順に顧客を10等分し、上位グループが売上に占める割合を見る

購入履歴(顧客ごとの累計購入金額)

少数の優良顧客への売上集中度を単純に把握したい場面

CTB分析

購入カテゴリー・購入時期・購入方法(行動)の3軸で顧客を分類

購入履歴(商品カテゴリー・購入日・チャネル)

カテゴリーをまたいだ次回提案を検討する場面

セグメンテーション

属性・行動・購買実績など複数の切り口で顧客を任意のグループに分ける

属性データ・行動データ・購買データ

新規/既存、年代、流入経路など軸を柔軟に変えたい場面

コホート分析

登録月や初回購入月が同じ顧客群ごとに、その後の継続率や購入行動を追う

登録日・初回購入日・その後の購入/利用履歴

施策や時期による定着率の変化を比較する場面

LTV分析

顧客1人が取引期間を通じて生み出す売上・利益の累計を算出

購入履歴・粗利率・取引継続期間

獲得チャネル別に許容できる獲得単価を判断する場面

行動分析(顧客行動分析)

サイト内・アプリ内の閲覧・カート投入・離脱などの行動を追う

アクセスログ・行動イベントデータ

購入に至るまでの離脱ポイントを特定する場面

NPS

薦める可能性を0〜10点で聞き、推奨者と批判者の比率で顧客ロイヤルティを測る

顧客アンケート(0〜10点の回答)

数値化しにくい満足度やロイヤルティを継続的に追う場面

このうちNPS(ネット・プロモーター・スコア)は、Bain & Companyが提唱した指標です。同社の解説では、「友人や同僚に薦める可能性はどのくらいか」という質問に0〜10点で回答してもらい、9〜10点を付けた回答者を「推奨者」、7〜8点を「中立者」、0〜6点を「批判者」に分類したうえで、推奨者の比率から批判者の比率を差し引いた値をスコアとすると説明されています。次の章では、RFM分析について手順まで踏み込んで解説します。

RFM分析のやり方

RFM分析は、直近購入日(Recency)・購入頻度(Frequency)・購入金額(Monetary)という3つの軸で顧客をランク付けし、組み合わせたスコアから優良顧客や離反予備軍を見分ける手法です。デシル分析が購入金額という1つの軸だけで顧客を10等分するのに対し、RFM分析は複数の軸を掛け合わせる点が異なります。

手順は次のとおりです。

  1. 顧客ごとにR・F・Mの実データ(最終購入日・累計購入回数・累計購入金額)を集計する

  2. 各軸を3〜5段階のスコアに区切る。区切り方に一律の基準はなく、自社の購入サイクルや客数分布に応じて設定する

  3. 3軸のスコアを組み合わせて顧客をランク分けする。合計点が高い顧客を優良顧客、直近性だけが低い顧客を離反予備軍、3軸とも低い顧客を休眠顧客として読み分ける

5段階に区切る場合の例を示します。実際の日数・回数・割合は一例であり、自社の顧客データの分布を見ながら調整します。

見るデータ

意味

区切りの例(5段階)

Recency(直近購入日)

最終購入日からの経過日数

数値が小さいほど直近の購入

5:30日以内/4:31〜90日/3:91〜180日/2:181〜365日/1:366日以上

Frequency(購入頻度)

期間内の累計購入回数

回数が多いほど固定客化

5:10回以上/4:6〜9回/3:3〜5回/2:2回/1:1回

Monetary(購入金額)

期間内の累計購入金額

金額が大きいほど収益への貢献度が高い

5:上位20%/4:次の20%/3:中位20%/2:下から2番目の20%/1:下位20%

デシル分析は、購入金額の合計で顧客を10等分し、上位グループが売上全体に占める割合を確認する手法です。1つの軸で集計できる分だけ単純ですが、直近性や頻度は反映されないため、過去に一度だけ大口購入をした顧客と、頻度高く購入を続けている顧客が同じグループに入ることがあります。RFM分析は直近性と頻度を加えることで、この違いを見分けられます。

顧客分析のフレームワーク

顧客分析そのものは手法ですが、マーケティング戦略の中でどう位置づけるかは、上位のフレームワークと組み合わせて考えます。

3C分析は、自社(Company)・競合(Competitor)・顧客(Customer)の3つの視点で事業環境を整理するフレームワークです。顧客分析は、このうち「顧客」を掘り下げる工程にあたります。詳細は3C分析で解説しています。

STPは、セグメンテーション(Segmentation)・ターゲティング(Targeting)・ポジショニング(Positioning)の3段階で市場と自社の立ち位置を定める考え方です。顧客分析で見つけたセグメントは、STPの最初のステップにそのまま使えます。

カスタマージャーニーは、顧客が認知から比較検討・購入・継続に至るまでの行動と心理を時系列で可視化するフレームワークです。顧客分析で見えたセグメントが、ジャーニーのどの段階で離脱しているかを重ねると、優先して手を打つべき箇所が見えます。詳細はカスタマージャーニーマップで解説しています。

ペルソナは、分析で見つかったセグメントのうち、代表的な顧客像を1人の人物像として具体化したものです。詳細はペルソナ設定で解説しています。

顧客分析の進め方

顧客分析は、データを集めてから施策に落とすまでを一連の流れとして設計します。

  1. データを集める: 注文データ・会員データ・広告のクリックログなど、自社が保有するファーストパーティデータをまず洗い出します。

  2. 顧客IDで名寄せする: ECサイト・CRM・広告媒体などシステムごとにばらばらな顧客IDやメールアドレスを突き合わせ、同一人物のデータを1つに統合します。

  3. 軸を決める: 新規/既存、年代、流入チャネル、購入商品カテゴリーなど、何を比較したいかに応じて分析の軸を決めます。

  4. 指標を出す: 決めた軸に沿って、RFMスコアやLTV、リピート率など前章の手法で指標を算出します。

  5. 施策に落とす: セグメントごとに、クーポン配布やクロスセル提案、休眠掘り起こしなど次のアクションを決めます。

  6. 効果を測定する: 施策後のリピート率や獲得単価の変化を見て、区切り方や軸の設定を見直します。

顧客分析を広告運用に活かす

顧客分析で出した値は、社内資料にとどめず広告媒体に接続すると、配信そのものの精度に反映できます。

広告媒体には、自社の顧客リストをアップロードし、媒体内のユーザーと突き合わせる機能が用意されています。Google広告のカスタマーマッチは、オンラインやオフラインのデータからファイルを作成してGoogleにアップロードすると、そこから抽出されたユーザーセグメントを検索・ショッピング・YouTube・Gmail・ディスプレイの各キャンペーンでターゲットに設定できる仕組みです。設定手順と要件はカスタマーマッチで解説しています。同様の機能はMeta広告のカスタムオーディエンスなど媒体ごとに用意されており、既存顧客を新規獲得キャンペーンから除外したり、既存顧客と似た特徴を持つユーザーへ配信を広げたり(類似拡張)、休眠化した顧客だけに再購入を促す配信をしたりする使い方ができます。

顧客分析でLTVを算出できていれば、広告の許容獲得単価は初回購入だけの粗利ではなく、その顧客が今後生み出す売上まで含めて設計できます。獲得チャネルごとにLTVを比較すると、CPAが高くても長期的に見合うチャネルと、CPAは低いものの定着しないチャネルを見分けられます。考え方はLTVとCACで解説しています。

広告媒体が自動入札の学習に使う成果は、クリックや初回申込のようなオンラインの行動だけとは限りません。受注・契約・入金といったオフラインの成果を媒体側に送信すると、実際の商談結果が学習データに反映されます。送信の仕組みはオフラインコンバージョンで解説しています。

顧客分析ツールの選び方

顧客分析のツールは、CRM・MA・BI・EC分析ツールのどれに寄せるかで、見える範囲と運用の手間が変わります。

種類

主な役割

向くケース

CRM

商談・受注・LTVなど顧客側の情報を一元管理する

営業やカスタマーサクセスと連携して顧客ごとの状況を追いたい場合

MA(マーケティングオートメーション)

獲得後の顧客への継続的なコミュニケーションを自動化する

リード育成やスコアリングを仕組み化したい場合

BI(ビジネスインテリジェンス)

複数のデータソースを横断してダッシュボード化する

部門をまたいだ指標を1つの画面で比較したい場合

EC分析ツール

LTV・リピート率・セグメント別売上などEC特有の指標を自動集計する

ECの購入データを起点に顧客を分析したい場合

本格的なツール導入の前に、注文データをCSVで書き出し、表計算ソフト上でRFMスコアや購入回数を集計するところから始める方法もあります。件数が多くない場合は、この方法でも前章までの手法を再現できます。

CSVや顧客リストには氏名・メールアドレス・電話番号などが含まれることが多く、個人情報保護法の対象になります。氏名を含まない閲覧履歴のような「個人関連情報」についても、個人情報保護委員会は、提供先の第三者が個人関連情報を個人データとして取得することが想定される場合には、本人の同意が得られていることなどの確認が必要になると説明しています。広告媒体への顧客リスト同期や社内外でのデータ共有を検討する際は、この確認義務の対象になっていないかを事前に確認しておく必要があります。

Cascadeで顧客分析を行う

Cascadeは、広告成果と顧客側のデータをかけ合わせて見る機能を、Businessプランで提供しています。

CRM分析では、SalesforceやHubSpotのリード・商談データ、またはCSVで取り込んだ受注データを広告成果とかけ合わせ、クリックや獲得件数だけでなく実際の受注や売上までを追って投資対効果を確認できます。確認できる内容は、リード数・有効リード・商談数・成約数・受注額・ROAS(受注)の推移を示すリードファネルサマリー、商談総数や勝率・パイプライン内訳を示す商談ダッシュボード、期間内の受注や新規・既存の内訳、リピート状況、顧客別LTVランキングを示す顧客LTV、友だち数の推移や属性を示すLINEタブです。受注は、計測タグが記録した広告クリックとUTM・送信時刻で照合され、どの広告から生まれた受注かが成果分析やアトリビューションに反映されます。金額に関わる項目は、オーナー・管理者・編集者のみが閲覧できます。CRMデータを広告運用に活かす考え方はCRMマーケティングで解説しています。詳細はCRM分析を使うで確認できます。

EC分析内の顧客LTVでは、期間内に購入したユニーク顧客あたりの平均売上を月次LTVとして表示し、顧客獲得単価と比較します。購入回数別の構成比、2回以上購入した顧客の割合であるリピート率、4回以上購入した顧客の割合であるロイヤル顧客率も確認できます。顧客は初回購入のみの新規、2〜3回購入の通常、4回以上購入のロイヤル、過去購入はあるが直近90日に購入のない休眠の4区分でセグメントされ、新規にはリピート促進クーポンやカート保護メール、通常にはクロスセル・アップセル提案、ロイヤルにはVIP特典や紹介プログラム、休眠には復帰キャンペーンやカムバック広告という推奨アクション例が示されます。期間は直近90日・半年・1年・全期間から選べ、Shopify・Shopline・カラーミー・BASE・楽天・Yahoo!ショッピング・Qoo10・Stripeのストアに対応しています。詳細は顧客LTV分析で確認できます。

オーディエンス管理では、計測タグや連携先のEC・CRMのデータから作る顧客リストを、Google Ads・Meta・TikTok・Yahoo!広告(ディスプレイ・検索)・Amazon広告・LinkedIn広告・Microsoft広告・X広告・ChatGPT(OpenAI Ads)へ継続的に同期したり、受注や購入といった成果を広告媒体へ送信して自動入札の学習に使わせたりする設定ができます。作成できる顧客リストの例は、購入したお客様・見込み客・休眠顧客です。こちらもBusinessプランの機能で、詳細はオーディエンスを管理するで確認できます。

EC の売上・商品・在庫まで含めた分析の全体像はECサイト分析の指標・手順・ツールを参照してください。

顧客別の利益を見るときの基礎になる粗利の定義は粗利とは?計算式・目安・営業利益との違いにまとめています。

よくある質問

Q. 顧客分析とは何ですか?

A. 一言で言うと、既存の顧客データから「誰が買い、なぜリピートし、どこで離脱するか」を数値で把握する取り組みです。

Q. 顧客分析の代表的な手法は何ですか?

A. RFM分析・デシル分析・CTB分析・セグメンテーション・コホート分析・LTV分析・行動分析・NPSなどがあり、見たい軸や使えるデータに応じて使い分けます。

Q. RFM分析とデシル分析の違いは何ですか?

A. デシル分析は購入金額という1つの軸で顧客を10等分するのに対し、RFM分析は直近購入日・購入頻度・購入金額の3つの軸を組み合わせて顧客をランク付けします。

Q. 顧客分析ツールはCRM・MA・BIのどれを選べばよいですか?

A. 見たい情報の置き場所で選びます。商談や受注など顧客側の情報を管理したいならCRM、獲得後の継続的なコミュニケーションを自動化したいならMA、複数データソースを横断して指標を可視化したいならBIが向きます。まずはCSVでの集計から始めることもできます。

Q. 顧客分析を広告運用にどう活かせますか?

A. 顧客リストを広告媒体に同期して除外や類似拡張、休眠顧客の掘り起こしに使ったり、LTVをもとに許容できる獲得単価を設計したり、受注などオフラインの成果を広告媒体に送信して入札の精度を高めたりする使い方があります。

まとめ

顧客分析は、誰が買い、なぜ続き、どこで離れるかを数値で把握する取り組みです。RFM分析やデシル分析のように既存の購入データだけで始められる手法もあれば、コホート分析やNPSのように継続的な計測が前提になる手法もあり、自社が持つデータと知りたい軸に応じて使い分けます。分析結果は3CやSTP、カスタマージャーニーといったフレームワークに接続して戦略に位置づけたうえで、広告媒体側の除外・類似拡張やLTVベースの許容CPA設計、オフライン成果の送信にまで反映させると、社内資料で終わらせずに配信の精度へつなげられます。CascadeはBusinessプランで、CRM分析・顧客LTV分析・オーディエンス管理を同じプロダクト内で扱える機能を提供しています。

Cascadeで、
マーケティングをもっと自由に

媒体を横断した効果測定も、日々の改善も、レポート作成も。
これまでバラバラだった広告運用を、Cascadeがひとつに繋げます。

ブログ記事

顧客分析とは?手法・フレームワーク・ツールの選び方と広告への活かし方

目次

顧客分析とは?手法・フレームワーク・ツールの選び方と広告への活かし方
顧客分析とは?手法・フレームワーク・ツールの選び方と広告への活かし方

顧客分析とは

顧客分析とは、購入履歴や行動データをもとに、誰が買い、なぜ繰り返し購入し、どこで離脱しているかを数値で把握する取り組みです。目的は、印象や勘に頼った顧客理解を、再現性のある指標に置き換えることにあります。

顧客データ分析とも呼ばれるこの取り組みが扱う範囲は幅広く、新規顧客と既存顧客の比率、購入頻度や購入金額による優良顧客の見分け方、休眠化の兆候、満足度やロイヤルティの推移まで、切り口は一様ではありません。本記事では、代表的な手法を一覧で比較したうえで、RFM分析については手順まで踏み込んで解説し、広告運用への接続方法まで扱います。

顧客分析の主な手法

顧客分析の手法は、見る軸(直近性・頻度・金額・行動・満足度など)と、必要になるデータの種類によって使い分けます。まず全体像を一覧で示します。

手法

見る内容

主に使うデータ

向く場面

RFM分析

直近購入日・購入頻度・購入金額の3軸で顧客をランク付け

購入履歴(注文日・注文回数・金額)

既存顧客を優良度で仕分け、休眠化の兆候を早期に見る場面

デシル分析

購入金額順に顧客を10等分し、上位グループが売上に占める割合を見る

購入履歴(顧客ごとの累計購入金額)

少数の優良顧客への売上集中度を単純に把握したい場面

CTB分析

購入カテゴリー・購入時期・購入方法(行動)の3軸で顧客を分類

購入履歴(商品カテゴリー・購入日・チャネル)

カテゴリーをまたいだ次回提案を検討する場面

セグメンテーション

属性・行動・購買実績など複数の切り口で顧客を任意のグループに分ける

属性データ・行動データ・購買データ

新規/既存、年代、流入経路など軸を柔軟に変えたい場面

コホート分析

登録月や初回購入月が同じ顧客群ごとに、その後の継続率や購入行動を追う

登録日・初回購入日・その後の購入/利用履歴

施策や時期による定着率の変化を比較する場面

LTV分析

顧客1人が取引期間を通じて生み出す売上・利益の累計を算出

購入履歴・粗利率・取引継続期間

獲得チャネル別に許容できる獲得単価を判断する場面

行動分析(顧客行動分析)

サイト内・アプリ内の閲覧・カート投入・離脱などの行動を追う

アクセスログ・行動イベントデータ

購入に至るまでの離脱ポイントを特定する場面

NPS

薦める可能性を0〜10点で聞き、推奨者と批判者の比率で顧客ロイヤルティを測る

顧客アンケート(0〜10点の回答)

数値化しにくい満足度やロイヤルティを継続的に追う場面

このうちNPS(ネット・プロモーター・スコア)は、Bain & Companyが提唱した指標です。同社の解説では、「友人や同僚に薦める可能性はどのくらいか」という質問に0〜10点で回答してもらい、9〜10点を付けた回答者を「推奨者」、7〜8点を「中立者」、0〜6点を「批判者」に分類したうえで、推奨者の比率から批判者の比率を差し引いた値をスコアとすると説明されています。次の章では、RFM分析について手順まで踏み込んで解説します。

RFM分析のやり方

RFM分析は、直近購入日(Recency)・購入頻度(Frequency)・購入金額(Monetary)という3つの軸で顧客をランク付けし、組み合わせたスコアから優良顧客や離反予備軍を見分ける手法です。デシル分析が購入金額という1つの軸だけで顧客を10等分するのに対し、RFM分析は複数の軸を掛け合わせる点が異なります。

手順は次のとおりです。

  1. 顧客ごとにR・F・Mの実データ(最終購入日・累計購入回数・累計購入金額)を集計する

  2. 各軸を3〜5段階のスコアに区切る。区切り方に一律の基準はなく、自社の購入サイクルや客数分布に応じて設定する

  3. 3軸のスコアを組み合わせて顧客をランク分けする。合計点が高い顧客を優良顧客、直近性だけが低い顧客を離反予備軍、3軸とも低い顧客を休眠顧客として読み分ける

5段階に区切る場合の例を示します。実際の日数・回数・割合は一例であり、自社の顧客データの分布を見ながら調整します。

見るデータ

意味

区切りの例(5段階)

Recency(直近購入日)

最終購入日からの経過日数

数値が小さいほど直近の購入

5:30日以内/4:31〜90日/3:91〜180日/2:181〜365日/1:366日以上

Frequency(購入頻度)

期間内の累計購入回数

回数が多いほど固定客化

5:10回以上/4:6〜9回/3:3〜5回/2:2回/1:1回

Monetary(購入金額)

期間内の累計購入金額

金額が大きいほど収益への貢献度が高い

5:上位20%/4:次の20%/3:中位20%/2:下から2番目の20%/1:下位20%

デシル分析は、購入金額の合計で顧客を10等分し、上位グループが売上全体に占める割合を確認する手法です。1つの軸で集計できる分だけ単純ですが、直近性や頻度は反映されないため、過去に一度だけ大口購入をした顧客と、頻度高く購入を続けている顧客が同じグループに入ることがあります。RFM分析は直近性と頻度を加えることで、この違いを見分けられます。

顧客分析のフレームワーク

顧客分析そのものは手法ですが、マーケティング戦略の中でどう位置づけるかは、上位のフレームワークと組み合わせて考えます。

3C分析は、自社(Company)・競合(Competitor)・顧客(Customer)の3つの視点で事業環境を整理するフレームワークです。顧客分析は、このうち「顧客」を掘り下げる工程にあたります。詳細は3C分析で解説しています。

STPは、セグメンテーション(Segmentation)・ターゲティング(Targeting)・ポジショニング(Positioning)の3段階で市場と自社の立ち位置を定める考え方です。顧客分析で見つけたセグメントは、STPの最初のステップにそのまま使えます。

カスタマージャーニーは、顧客が認知から比較検討・購入・継続に至るまでの行動と心理を時系列で可視化するフレームワークです。顧客分析で見えたセグメントが、ジャーニーのどの段階で離脱しているかを重ねると、優先して手を打つべき箇所が見えます。詳細はカスタマージャーニーマップで解説しています。

ペルソナは、分析で見つかったセグメントのうち、代表的な顧客像を1人の人物像として具体化したものです。詳細はペルソナ設定で解説しています。

顧客分析の進め方

顧客分析は、データを集めてから施策に落とすまでを一連の流れとして設計します。

  1. データを集める: 注文データ・会員データ・広告のクリックログなど、自社が保有するファーストパーティデータをまず洗い出します。

  2. 顧客IDで名寄せする: ECサイト・CRM・広告媒体などシステムごとにばらばらな顧客IDやメールアドレスを突き合わせ、同一人物のデータを1つに統合します。

  3. 軸を決める: 新規/既存、年代、流入チャネル、購入商品カテゴリーなど、何を比較したいかに応じて分析の軸を決めます。

  4. 指標を出す: 決めた軸に沿って、RFMスコアやLTV、リピート率など前章の手法で指標を算出します。

  5. 施策に落とす: セグメントごとに、クーポン配布やクロスセル提案、休眠掘り起こしなど次のアクションを決めます。

  6. 効果を測定する: 施策後のリピート率や獲得単価の変化を見て、区切り方や軸の設定を見直します。

顧客分析を広告運用に活かす

顧客分析で出した値は、社内資料にとどめず広告媒体に接続すると、配信そのものの精度に反映できます。

広告媒体には、自社の顧客リストをアップロードし、媒体内のユーザーと突き合わせる機能が用意されています。Google広告のカスタマーマッチは、オンラインやオフラインのデータからファイルを作成してGoogleにアップロードすると、そこから抽出されたユーザーセグメントを検索・ショッピング・YouTube・Gmail・ディスプレイの各キャンペーンでターゲットに設定できる仕組みです。設定手順と要件はカスタマーマッチで解説しています。同様の機能はMeta広告のカスタムオーディエンスなど媒体ごとに用意されており、既存顧客を新規獲得キャンペーンから除外したり、既存顧客と似た特徴を持つユーザーへ配信を広げたり(類似拡張)、休眠化した顧客だけに再購入を促す配信をしたりする使い方ができます。

顧客分析でLTVを算出できていれば、広告の許容獲得単価は初回購入だけの粗利ではなく、その顧客が今後生み出す売上まで含めて設計できます。獲得チャネルごとにLTVを比較すると、CPAが高くても長期的に見合うチャネルと、CPAは低いものの定着しないチャネルを見分けられます。考え方はLTVとCACで解説しています。

広告媒体が自動入札の学習に使う成果は、クリックや初回申込のようなオンラインの行動だけとは限りません。受注・契約・入金といったオフラインの成果を媒体側に送信すると、実際の商談結果が学習データに反映されます。送信の仕組みはオフラインコンバージョンで解説しています。

顧客分析ツールの選び方

顧客分析のツールは、CRM・MA・BI・EC分析ツールのどれに寄せるかで、見える範囲と運用の手間が変わります。

種類

主な役割

向くケース

CRM

商談・受注・LTVなど顧客側の情報を一元管理する

営業やカスタマーサクセスと連携して顧客ごとの状況を追いたい場合

MA(マーケティングオートメーション)

獲得後の顧客への継続的なコミュニケーションを自動化する

リード育成やスコアリングを仕組み化したい場合

BI(ビジネスインテリジェンス)

複数のデータソースを横断してダッシュボード化する

部門をまたいだ指標を1つの画面で比較したい場合

EC分析ツール

LTV・リピート率・セグメント別売上などEC特有の指標を自動集計する

ECの購入データを起点に顧客を分析したい場合

本格的なツール導入の前に、注文データをCSVで書き出し、表計算ソフト上でRFMスコアや購入回数を集計するところから始める方法もあります。件数が多くない場合は、この方法でも前章までの手法を再現できます。

CSVや顧客リストには氏名・メールアドレス・電話番号などが含まれることが多く、個人情報保護法の対象になります。氏名を含まない閲覧履歴のような「個人関連情報」についても、個人情報保護委員会は、提供先の第三者が個人関連情報を個人データとして取得することが想定される場合には、本人の同意が得られていることなどの確認が必要になると説明しています。広告媒体への顧客リスト同期や社内外でのデータ共有を検討する際は、この確認義務の対象になっていないかを事前に確認しておく必要があります。

Cascadeで顧客分析を行う

Cascadeは、広告成果と顧客側のデータをかけ合わせて見る機能を、Businessプランで提供しています。

CRM分析では、SalesforceやHubSpotのリード・商談データ、またはCSVで取り込んだ受注データを広告成果とかけ合わせ、クリックや獲得件数だけでなく実際の受注や売上までを追って投資対効果を確認できます。確認できる内容は、リード数・有効リード・商談数・成約数・受注額・ROAS(受注)の推移を示すリードファネルサマリー、商談総数や勝率・パイプライン内訳を示す商談ダッシュボード、期間内の受注や新規・既存の内訳、リピート状況、顧客別LTVランキングを示す顧客LTV、友だち数の推移や属性を示すLINEタブです。受注は、計測タグが記録した広告クリックとUTM・送信時刻で照合され、どの広告から生まれた受注かが成果分析やアトリビューションに反映されます。金額に関わる項目は、オーナー・管理者・編集者のみが閲覧できます。CRMデータを広告運用に活かす考え方はCRMマーケティングで解説しています。詳細はCRM分析を使うで確認できます。

EC分析内の顧客LTVでは、期間内に購入したユニーク顧客あたりの平均売上を月次LTVとして表示し、顧客獲得単価と比較します。購入回数別の構成比、2回以上購入した顧客の割合であるリピート率、4回以上購入した顧客の割合であるロイヤル顧客率も確認できます。顧客は初回購入のみの新規、2〜3回購入の通常、4回以上購入のロイヤル、過去購入はあるが直近90日に購入のない休眠の4区分でセグメントされ、新規にはリピート促進クーポンやカート保護メール、通常にはクロスセル・アップセル提案、ロイヤルにはVIP特典や紹介プログラム、休眠には復帰キャンペーンやカムバック広告という推奨アクション例が示されます。期間は直近90日・半年・1年・全期間から選べ、Shopify・Shopline・カラーミー・BASE・楽天・Yahoo!ショッピング・Qoo10・Stripeのストアに対応しています。詳細は顧客LTV分析で確認できます。

オーディエンス管理では、計測タグや連携先のEC・CRMのデータから作る顧客リストを、Google Ads・Meta・TikTok・Yahoo!広告(ディスプレイ・検索)・Amazon広告・LinkedIn広告・Microsoft広告・X広告・ChatGPT(OpenAI Ads)へ継続的に同期したり、受注や購入といった成果を広告媒体へ送信して自動入札の学習に使わせたりする設定ができます。作成できる顧客リストの例は、購入したお客様・見込み客・休眠顧客です。こちらもBusinessプランの機能で、詳細はオーディエンスを管理するで確認できます。

EC の売上・商品・在庫まで含めた分析の全体像はECサイト分析の指標・手順・ツールを参照してください。

顧客別の利益を見るときの基礎になる粗利の定義は粗利とは?計算式・目安・営業利益との違いにまとめています。

よくある質問

Q. 顧客分析とは何ですか?

A. 一言で言うと、既存の顧客データから「誰が買い、なぜリピートし、どこで離脱するか」を数値で把握する取り組みです。

Q. 顧客分析の代表的な手法は何ですか?

A. RFM分析・デシル分析・CTB分析・セグメンテーション・コホート分析・LTV分析・行動分析・NPSなどがあり、見たい軸や使えるデータに応じて使い分けます。

Q. RFM分析とデシル分析の違いは何ですか?

A. デシル分析は購入金額という1つの軸で顧客を10等分するのに対し、RFM分析は直近購入日・購入頻度・購入金額の3つの軸を組み合わせて顧客をランク付けします。

Q. 顧客分析ツールはCRM・MA・BIのどれを選べばよいですか?

A. 見たい情報の置き場所で選びます。商談や受注など顧客側の情報を管理したいならCRM、獲得後の継続的なコミュニケーションを自動化したいならMA、複数データソースを横断して指標を可視化したいならBIが向きます。まずはCSVでの集計から始めることもできます。

Q. 顧客分析を広告運用にどう活かせますか?

A. 顧客リストを広告媒体に同期して除外や類似拡張、休眠顧客の掘り起こしに使ったり、LTVをもとに許容できる獲得単価を設計したり、受注などオフラインの成果を広告媒体に送信して入札の精度を高めたりする使い方があります。

まとめ

顧客分析は、誰が買い、なぜ続き、どこで離れるかを数値で把握する取り組みです。RFM分析やデシル分析のように既存の購入データだけで始められる手法もあれば、コホート分析やNPSのように継続的な計測が前提になる手法もあり、自社が持つデータと知りたい軸に応じて使い分けます。分析結果は3CやSTP、カスタマージャーニーといったフレームワークに接続して戦略に位置づけたうえで、広告媒体側の除外・類似拡張やLTVベースの許容CPA設計、オフライン成果の送信にまで反映させると、社内資料で終わらせずに配信の精度へつなげられます。CascadeはBusinessプランで、CRM分析・顧客LTV分析・オーディエンス管理を同じプロダクト内で扱える機能を提供しています。

Cascadeで、
マーケティングをもっと自由に

媒体を横断した効果測定も、日々の改善も、レポート作成も。これまでバラバラだった広告運用を、Cascadeがひとつに繋げます。

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