
広告レポート自動化ツールとは、広告データの取得・集計・可視化・配信の一部または全部を自動化するソフトウェアです。無料で始めるなら、媒体の標準機能やGoogleの可視化ツールが候補です。複数媒体の集計や提出用資料の生成まで任せたい場合は、専用ツールも比較します。
広告レポート自動化ツールとは
自動化の対象は、データ取得、集計、可視化、配信に分けられます。媒体から実績を取り込み、指標名や集計単位をそろえ、表やグラフに整えます。さらに、完成したレポートのメール送信や共有フォルダへの保存まで担う製品もあります。
選ぶ前に、現在の作業のどこに時間を使っているかを確認します。CSVの転記が負担ならデータ接続、提出資料の編集が負担ならテンプレート機能が検討対象です。報告項目の整理には、広告レポートの基本構成も参考になります。
自動化の方法と無料でできる範囲
広告レポートを自動化する方法は、媒体の定期レポート、スプレッドシートとLooker Studioの組み合わせ、専用ツールです。無料で使える画面があっても、すべての媒体への自動接続が無料とは限りません。取得から共有まで、どこに手作業が残るかで比べます。
方法 | 費用 | 手間 | 複数媒体 | 更新頻度 | 限界 |
|---|---|---|---|---|---|
各媒体の定期レポート | 専用ツール契約不要。広告費は別 | 媒体ごとに設定 | 横断集計は別途必要 | 媒体の設定による | 媒体間の指標統一や提出資料の整形 |
Googleスプレッドシート+Looker Studio | 無料版を利用可能。接続サービス等は別料金の場合あり | 接続・集計式・画面を設計 | 接続方法を用意すれば可能 | 取得元とコネクタによる | シートへのデータ供給と設定の保守 |
専用ツール | 定額・広告費連動・利用数課金など | 媒体連携とテンプレート設定 | 対応範囲内で集約 | 製品・プランによる | 未対応媒体、指標、出力形式 |
Google広告には、シートを定期更新できる公式アドオンがあります。Looker Studioは、Google広告やGoogleスプレッドシートに接続できます。ただし、CSVを手で貼り付ける構成では、その作業は自動化されません。可視化画面の設計は、Looker Studioの使い方で確認できます。
ツールを選ぶときに確認すること
必要な媒体と出力先を決めてから、更新・共有・課金の条件を確認します。「対応媒体に名前がある」だけで決めず、必要な広告種別や指標まで取得できるかを照合してください。選定時には、次の内容を要件として書き出します。
対応媒体:Google、Yahoo!、Metaなどの利用媒体と、キャンペーン・広告・キーワードの取得範囲。
出力先:Looker Studio、スプレッドシート、Excel、PDF、BIへの対応。直接出力か、BigQueryなどを経由するか。
更新頻度:データ取得、画面への反映、ファイル生成、配信の間隔。失敗時の通知や再取得方法。
共有と権限:閲覧者と編集者の区別、外部共有、退職や代理店変更時の引き継ぎ方法。
運用自動化との連携:予算の計算・提案と、広告媒体への変更反映の範囲。承認や操作履歴の有無。
料金体系:初期費用、最低料金、アカウント数、ユーザー数、広告費、接続先の追加料金。
レポートと同じデータを使って予算も調整するなら、広告運用の自動化で扱う業務まで整理します。予算残高を表示する機能と、媒体側の予算を書き換える機能は役割が異なります。契約時には、どの操作まで含まれるかを確認します。
主要ツールの比較表
2026年9月10日に確認した公式情報です。料金は掲載プランの例で、税や通貨の表記は公式に従います。未確認項目は「非公開(要問い合わせ)」としました。運用自動化欄では、計算・通知と広告設定の変更を区別しています。
ツール名・公式ページ | 提供会社 | 料金 | 対応媒体・接続元の例 | 出力先 | レポート以外の運用自動化 |
|---|---|---|---|---|---|
株式会社プレイド | 広告アカウント100件まで定額50,000円(税抜)。初期費用0円 | 40以上の媒体・計測ツール(2025年10月の公式記載) | Looker Studio、Excel、スプレッドシート、BigQuery、BI | 記載なし(レポート特化) | |
RoboMarketer株式会社 | 月額 40,000 円〜 | 60以上の媒体・ツール | Excel、スプレッドシート、Looker Studio、BigQuery | 有:予算計算・アラート。広告配信の自動運用は無 | |
株式会社イルグルム | 月額30,000円〜(税抜) | Google、Facebook、Instagram、LINEヤフーなど | Excel、スプレッドシート、BigQuery経由のBI | 予算管理機能あり(広告設定の変更は記載なし) | |
株式会社カルテットコミュニケーションズ | 100アカウント:20,000円(税込価格22,000円)/月 | Google、Yahoo!、Facebook、LINE、TikTokなど | Excel | 有:日予算の自動計算 | |
アタラ合同会社 | Starter(20アカウントまで):月額費用(税抜き)¥50,000、初期費用(税抜き)¥100,000 | Google、Yahoo!、Facebook、X、LINEなど | Excel、スプレッドシート、BigQuery、BI | 有:着地予想・KPIアラート | |
SO Technologies株式会社 | 月額50,000円〜(税抜)。詳細な価格表は資料で案内 | Google、Yahoo!、Meta、LINE、Amazonなど | Excel、スプレッドシート、BigQuery、Looker Studio(シート等経由) | 有:予算進捗・変動アラート | |
シロフネ株式会社 | セルフプラン:月額広告費×5%(税抜)。最低利用料は2.5万円(税抜) | Google、Yahoo!、Meta、LINE、Amazonなど | 管理画面、Excel | 有:自動入札・予算管理 | |
無料 | Google広告、GA4、スプレッドシートなど | Webレポート、PDF | なし(可視化・配信ツール) | ||
1プロジェクトのユーザー1人あたり月額9ドル | Google広告、GA4、スプレッドシートなど | Webレポート、PDF、Google Chat | なし(可視化・配信ツール) | ||
Supermetrics | Starter:月額49ドル(年払いは月額39ドル相当)。表示通貨は地域で異なる | Google Ads、Facebook Ads、LinkedIn Adsなど | Looker Studio、スプレッドシート、Excel、Power BIなど | 記載なし(公式案内に広告予算を編集する画面の説明あり) | |
Cascade株式会社 | Starter 29,800円・Growth 59,800円・Scale 99,800円/月(税抜)。月間広告費で自動決定 | Google、Meta、Yahoo!、TikTok、Amazonなど | ダッシュボード、スプレッドシート、Google Drive | 有:予算配分の提案と承認後の更新 |
媒体数には計測ツールも含まれます。出力先や追加機能も、掲載料金だけですべて利用できるとは限りません。Googleの料金ページでは「データポータル/データポータル Pro」の表記が使われているため、本文ではLooker Studioの名称で統一しています。
各ツールの特徴
Databeat Explore
公式サイトではDatabeatの名称で案内されています。媒体ごとに異なる指標を整え、BigQueryに蓄積します。Looker StudioやExcelのテンプレートも提供しています。料金は広告アカウント100件まで定額50,000円(税抜)で、初期費用は0円と案内されています。
Roboma
広告データを毎日深夜に取得し、前日までの実績を反映します。プロジェクトごとにユーザーを招待でき、外部担当者とも共有できます。料金はプランやプロジェクト数、オプションで変わり、広告アカウント数や出稿金額による課金はありません。
アドレポ
APIとCSVからデータを取り込み、既存のレポート形式をカスタマイズできます。出力日時と宛先を設定したメール送信にも対応しています。スマート考察機能は、前月との比較や分析、改善アドバイスを自動出力します。
Lisket
毎月のExcelレポート生成と、複数媒体の予算管理に対応しています。残り日数と予算から、日予算を自動計算します。200アカウントの月額は40,000円(税込価格44,000円)で、どのプランでも全機能を利用できます。
glu
任意の組織・媒体などの単位で集計し、既存のExcel形式へ出力できます。定期生成とメール送信には、オートコンパイルのオプションがあります。Proの月額費用(税抜き)は¥50,000 +(アカウント数 × ¥600)です。
ATOM
広告実績を毎日取得し、Excelやスプレッドシートを定期生成します。生成後のメール送信とGoogle Driveへのアップロードにも対応します。料金はアカウント数やユーザー数では変動しないとFAQで説明されており、詳細な価格表は資料で案内されています。
Shirofune
広告入稿、自動入札、予算管理、Excelレポートのダウンロードに対応します。当月の広告費が0円の場合は利用料も0円です。月額広告費500万円以上と、レポートなど一部機能だけの料金は、非公開(要問い合わせ)です。
Looker Studio(無料)
Google広告やGA4などに接続して、グラフや表を作成できます。作成者と閲覧者の利用料は無料です。PDF配信は1レポートにつき1スケジュールで、頻度は最短で1日1回です。
Looker Studio Pro
組織によるコンテンツ所有、チームワークスペース、配信機能の拡張があります。課金はユーザー・Google Cloudプロジェクト・月の単位です。セルフサービス契約では未使用のライセンスも課金対象で、閲覧だけならProライセンスは不要です。料金は契約期間によって異なります。
Supermetrics
広告などのデータを、選択した分析先へ接続するサービスです。Starterの基本枠は出力先1つ、データソース3つ、ユーザー1人です。Studioでは、広告予算を編集してキャンペーンへ反映する画面も案内されています。
Cascade
一例として、媒体横断の分析とレポート機能があります。表示中のデータから、変化に関係する媒体・キャンペーン・クリエイティブをAIが解説します。Starterは月間広告費150万円までが対象で、料金ページでは全プラン共通の機能が案内されています。毎朝の運用サマリーと定例レポートはチャットへ自動で届きます。
ツール導入と作成代行の違い
広告レポート作成代行を比較するときは、納品物に含まれる作業をそろえます。集計とグラフ作成だけか、考察や定例会、修正対応まで含むかで見積もりの条件が変わります。ツール費に加え、社内の設定・点検時間も見積もって比較してください。
ノウハウを残すには、指標定義、集計式、テンプレートを社内で管理できる形にします。代行を利用する場合も、元データや編集可能なファイルの引き渡しを確認します。広告運用のインハウス化を進めるなら、媒体追加や指標変更を誰が担当するかまで決めておきます。
媒体別の自動化
Google広告
Google広告の定期送信ヘルプでは、レポートを開いて送信先・頻度・形式を指定します。送信先は広告アカウントへのアクセス権を持つユーザーです。Looker StudioのGoogle広告コネクタでは、対象アカウントを選んで接続します。
スプレッドシートへ取得する場合は、公式アドオンのスケジュール設定が使えます。「Schedule this report」を選び、頻度を指定します。シートの更新とメール送信が、設定したスケジュールで行われます。
Yahoo!広告
Yahoo!広告の管理ツールにもレポート作成機能があり、対象指標や定期作成の条件は公式ヘルプで確認します。LINEヤフー for Businessの公式案内では、スクリプトによるアセット評価のシート出力を説明しています。実行頻度を毎週に設定でき、結果をメールやSlackで通知できます。
Meta広告
Meta広告マネージャの広告レポートにも、レポートを保存して定期的にメール送信する機能があります。手順・頻度・出力形式は広告アカウントにログインしたうえでビジネスヘルプセンターを確認し、導入要件には実際に設定できた内容を記録してください。
導入手順と注意点
指標定義を統一する:CV、売上、CPA、ROASの集計対象と期間を決めます。媒体の成果とサイト内の成果を混ぜず、広告効果測定の指標を整理します。
データを接続する:対象アカウントと取得期間を設定し、管理画面の数値と照合します。サイト分析も行うなら、GA4の活用方法を踏まえて計測対象をそろえます。
テンプレート化する:主要指標、媒体別内訳、前期間比較、コメント欄を固定します。集計条件と変更履歴も残します。
定期配信を設定する:更新完了後に配信する順序を決めます。宛先、対象期間、添付形式を実際の受信結果で確認します。
権限と保持を確認する:社外の閲覧範囲、認証の更新、データ保持期間を確認します。解約・連携解除後に残るファイルも確認します。
Cascadeの「レポート作成を使う」では、Google Drive連携とファイル作成権限が前提です。週次・月次の定期生成にも対応し、通知は連携しているワークスペースか登録メールアドレスへ、設定日時の朝8時に届きます。広告レポートの作成・共有のヘルプでは、ゲストは共有されたレポートだけを閲覧できます。
よくある質問
Q. 無料で自動化できますか?
Google広告の公式アドオンとLooker Studioの無料版が候補です。取得対象と出力形式が合えば、シート更新やPDF配信まで組めます。他媒体の接続サービスや、設定の保守にかかる作業は別に確認します。
Q. Looker Studioだけで足りますか?
必要なデータをコネクタから取得できるなら、可視化と共有を担えます。媒体間のデータ整形や既存Excel形式への納品が必要なら、別の処理も検討します。完成したレポートの形式から逆算して判断してください。
Q. 更新頻度はどれくらいが普通ですか?
製品共通の頻度はありません。Robomaは毎日深夜に取得し、Google広告コネクタのデータ鮮度設定は12時間です。データ更新と週次・月次の報告日を分けて設定します。
Q. 複数媒体をまたぐ場合はどうしますか?
全媒体の必要指標を取得できる接続方法を選びます。そのうえで、期間、通貨、CVの定義をそろえます。未対応媒体をCSVで補う場合は、更新担当者と手順も残してください。
Q. AIが変化の要因まで説明してくれるツールはありますか?
Supermetrics Agentsの公式案内には、変化の要因説明や異常検知が記載されています。Cascadeの分析・自動レポート機能でも、変化の要因をAIが解説します。利用できるプランや対象データは、契約条件との照合が必要です。出力された説明は元データと施策履歴で確認し、次の検証に使います。
まとめ
広告レポートの自動化は、取得・集計・可視化・配信のどこまで任せるかで選択肢が変わります。無料機能で必要な媒体と形式を満たせるかを確かめ、専用ツールの料金と接続条件を比較します。導入後は作成・点検にかかる時間を記録し、CPAやROASを検討する時間につなげてください。







