ROASとは?意味・読み方・計算式から業界別の目安・改善方法まで完全解説
ROASとは?意味・読み方・計算式から業界別の目安・改善方法まで完全解説
2026/02/21

ROAS(ロアス)とは、「Return On Advertising Spend」の略で、広告費用対効果を示す指標です。 広告に投じた費用に対して、どれだけの売上を得られたかを「ROAS(%)= 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100」で算出します。たとえば広告費10万円で50万円の売上が出た場合、ROASは500%です。
本記事では、ROASの基本的な定義から計算式、業界別の目安、目標値の設定方法、具体的な改善施策、そして運用時の注意点までを体系的に解説します。
ROASとは?基本の意味と読み方
ROASの定義
ROASとは「Return On Advertising Spend(リターン・オン・アドバタイジング・スペンド)」の略称で、日本語では「広告費用対効果」と訳されます。広告に投じた費用に対して、どれだけの売上を獲得できたかを示す指標です。
この数字が大きいほど、広告費1円あたりの売上効率が高いことを意味します。EC運用、BtoBマーケティング、SaaSなど幅広い領域で活用されており、広告運用の成果を評価する最も基本的な指標のひとつです。
ROASの読み方
ROASの読み方は「ロアス」が一般的です。英語圏でも「ロアス(ROAZ)」と発音されます。「アールオーエーエス」と一文字ずつ読むケースはほとんどありません。
なぜROASが重要視されているのか
多くの企業がKPIとしてROASを採用する背景には、2つの理由があります。
1. CPAだけでは売上規模が見えない
CPA(顧客獲得単価)はコンバージョン1件あたりのコストを示しますが、獲得した顧客がどれだけの売上をもたらしたかは分かりません。ROASは広告費と売上の関係を直接的に示すため、事業全体の収益性を判断しやすいのです。
2. 広告チャネル間の比較が容易
Google広告、Meta広告、ディスプレイ広告など複数チャネルで出稿している場合、それぞれのROASを比較することで予算配分の最適化に直結します。
ROASの計算式と具体例
基本の計算式
ROAS(%)= 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100
たとえば、広告費20万円で広告経由の売上が80万円であれば:
ROAS = 80万円 ÷ 20万円 × 100 = 400%
「広告費1円あたり4円の売上」を意味します。
ROASが100%の場合は広告費と売上が同額であり、原価や人件費を考慮すると赤字です。一般的にはROAS 200%以上が最低ラインとされていますが、業界や利益率によって目安は異なります(後述)。
3つの計算例で理解するROAS
ケース1:EC(アパレル)
項目 | 金額 |
|---|---|
広告費 | 50万円 |
広告経由の売上 | 200万円 |
ROAS | 400% |
アパレルECでは原価率が40〜60%程度のケースが多いため、ROAS 400%であれば広告費を差し引いても利益が残る水準です。
ケース2:BtoB(リード獲得型)
項目 | 金額 |
|---|---|
広告費 | 30万円 |
広告経由の売上(成約ベース) | 60万円 |
ROAS | 200% |
BtoBでは広告で獲得するのがリード(見込み顧客)であり、成約までのプロセスが長くなります。ROAS 200%は一見低く感じますが、1件の成約単価が高額であるため、成約ベースで計測すると数値が大きく変動する点に留意が必要です。
ケース3:BtoB SaaS(サブスクリプション型)
項目 | 金額 |
|---|---|
広告費 | 100万円 |
初年度の広告経由売上 | 250万円 |
初年度ROAS | 250% |
SaaSの場合、顧客が継続利用することで2年目、3年目と売上が積み上がります。初年度のROASが250%でも、3年間のLTV(顧客生涯価値)ベースで計算すればROAS 700〜1,000%に達することもあります。
損益分岐点ROASの求め方
「ROAS何%以上なら赤字にならないのか」を判断するには、損益分岐点ROASを算出します。
損益分岐点ROAS(%)= 顧客単価 ÷(顧客単価 − 原価)× 100
たとえば、顧客単価10,000円で、原価6,000円の場合:
損益分岐点ROAS = 10,000 ÷(10,000 − 6,000)× 100 = 250%
つまりROAS 250%を下回ると広告費を回収できず赤字になります。自社の原価構造を把握したうえで損益分岐点ROASを算出しておくと、目標設定や運用判断の基準が明確になります。
ROAS・ROI・CPAの違いと使い分け
広告の費用対効果を測る指標にはROAS以外にもROIやCPAがあります。それぞれの違いを理解しておくことで、場面に応じた適切な評価が可能になります。
3つの指標の比較表
指標 | 正式名称 | 計算式 | 見ているもの |
|---|---|---|---|
ROAS | Return On Advertising Spend | 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100 | 広告費に対する売上の割合 |
ROI | Return On Investment | (売上 − コスト)÷ 広告費 × 100 | 広告費に対する利益の割合 |
CPA | Cost Per Acquisition | 広告費 ÷ CV数 | 1件のCV獲得にかかったコスト |
どの指標をいつ使うべきか
ROAS:広告チャネルやキャンペーン単位の売上効率を比較したいとき。特にECサイトのように広告経由の売上データが取得しやすいビジネスに最適
ROI:経営層への報告や、事業全体の収益性を評価したいとき。人件費・外注費も含めた投資対効果を見るため、より正確な利益判断が可能
CPA:リード獲得型のBtoBビジネスや、まずはCV件数を最大化したいフェーズに最適。ただしROASやROIとの併用が理想
実務では、CPA中心の評価からROAS中心の評価へ移行する企業が増えています。CV数だけでなく「売上への貢献度」を重視する流れが広がっているためです。
業界別ROASの目安・平均一覧
ROASの目安は業界や商材によって大きく異なります。以下は各業界のROAS平均値・目安をまとめた一覧です。
業界 | ROAS目安(平均的なレンジ) | 補足 |
|---|---|---|
EC(アパレル等) | 300%〜500% | 理想は400%〜800%。粗利率によって大きく変動 |
不動産・金融 | リード獲得: 150%〜250% / 成約: 600%〜1,200% | 成約までのリードタイムが長く、評価時期に注意 |
BtoBサービス | 200%〜600% | 商材単価・営業期間によりレンジが広い |
BtoB SaaS | 初年度: 200%〜400% / 3年LTV: 500%〜1,000% | LTVベースで評価するのが基本 |
美容・健康 | 250%〜400% | リピート率が高いほどLTV換算のROASが伸びる |
飲食 | 300%〜500% | 店舗型は来店計測の難易度がやや高い |
教育・スクール | 200%〜350% | 入会後の継続受講を見込んだ設計が必要 |
上記はあくまで参考値です。自社の原価率・利益構造によって適正なROASは変わるため、次に解説する「目標値の設定方法」を参考に、自社独自の基準を定めることが重要です。
ROASの目標値を設定する方法
目標ROASの設定は「なんとなく高ければいい」ではなく、損益分岐点を起点にした根拠のある数値が必要です。
ステップ1:損益分岐点ROASを算出する
まず、前述の計算式で自社の損益分岐点ROASを算出します。これが「最低限クリアすべきライン」です。
ステップ2:マージンを加える
損益分岐点ROASに、固定費(人件費、ツール利用料など)や想定外のコスト変動分をマージンとして加えます。
例: 損益分岐点ROASが250%であれば、目標ROASは350%〜400%が妥当な水準です。
ステップ3:キャンペーン種別で分ける
新規顧客獲得用とリピーター向けでは、目標ROASを分けて設定するのが効果的です。
キャンペーン種別 | 目標ROASの考え方 |
|---|---|
新規顧客獲得 | 初期投資としてROASを低めに許容(損益分岐点付近でもOK) |
リピーター向け | 高いROASを狙う(既存顧客はCVRが高いため) |
ブランド認知 | ROASだけで評価しない(指名検索増加など間接効果を加味) |
このように目標を分けることで、新規獲得を犠牲にした短期最適化を防ぎ、事業全体の成長につなげられます。
ROASを改善する8つの方法
ROASの改善アプローチは「コストを下げる」か「売上を上げる」の2軸です。
1. ターゲティングの精度を高める
過去のコンバージョンデータから「購入に至りやすいユーザー層」の特徴を抽出し、類似オーディエンスやカスタムオーディエンスに反映します。コンバージョンに貢献していない配信面やデモグラフィックを除外設定することで、無駄な広告費を削減できます。
2. 広告クリエイティブをA/Bテストで最適化する
見出し・画像・CTA(行動喚起ボタン)のコピーなど、変更する要素は一度に1つに絞り、どの変数が成果に影響しているかを正確に把握しましょう。テスト結果は統計的に有意なサンプル数を確保したうえで判断します。
3. 広告媒体と予算配分を見直す
媒体ごとのROASを定期的に比較し、予算配分を調整します。ROASが高い媒体に予算を寄せるのが基本ですが、「コンバージョンの質」(リピート率等)も確認しましょう。月次または四半期ごとのレビューサイクルを確立することが重要です。
4. 顧客単価を引き上げる(アップセル・クロスセル)
ROASの分子は「売上」です。広告費を変えずに顧客単価を上げれば、ROASは直接的に改善します。アップセル(上位商品への誘導)やクロスセル(関連商品の提案)、「あと○○円で送料無料」といった仕組みが有効です。
5. ランディングページを最適化してCVRを上げる
主要な改善ポイントは以下の4つです。
ファーストビューのキャッチコピー
フォームの入力項目数(少ないほどCVR向上)
ページの表示速度
モバイル対応
ヒートマップツールで離脱ポイントを特定し、優先度の高い箇所から改善しましょう。
6. リピート率を高めてLTVを伸ばす
サブスクリプション型やリピート購入が見込める商材では、LTV(顧客生涯価値)の視点でROASを捉えることが重要です。メールマーケティングやLINE公式アカウントを活用したリピート促進施策を組み合わせることで、初回購入時のROASが低くてもトータルでは高い費用対効果を実現できます。
7. 入札戦略を最適化する
Google広告の「目標ROAS入札」を活用すると、設定したROAS目標値に近づくよう自動で入札額が調整されます。ただし、自動入札が機能するには一定量のコンバージョンデータが必要です。データが不足している段階では手動入札から始め、十分なデータが蓄積されてから目標ROAS入札に切り替えるのが定石です。
8. AIによる広告運用の自動最適化を活用する
上記の改善施策を手作業で回し続けるには、時間と専門知識が必要です。近年ではAIを活用して広告運用の各プロセスを自動最適化するアプローチが広がっています。
入札調整、予算配分、クリエイティブの評価、ターゲティングの見直しをAIに任せることで、人的リソースを戦略立案やクリエイティブ企画に集中できます。たとえば広告運用を自動化するAIエージェント「Cascade」のようなツールを導入すれば、データに基づいた高速なPDCAサイクルを実現しやすくなります。
ROASを使う際の3つの注意点
ROASは強力な指標ですが、万能ではありません。以下の3点を押さえておきましょう。
注意点1:ROASは利益を見ていない
ROASはあくまで「売上ベース」の指標であり、利益を反映していません。ROAS 500%でも商品の原価率が80%なら実質的な利益はわずかです。
対策: ROI(利益ベースの指標)や粗利率と併せて評価する習慣をつけましょう。固定費(人件費・ツール利用料・倉庫代など)もROASの計算には含まれないため、事業全体の採算を見る際にはこれらのコストも加味します。
注意点2:評価期間によって数値が大きく変わる
ROASは評価する期間によって数字が大きく変動します。たとえば月額5,000円のSaaSの場合、初月ROASは低くても、平均継続24か月ならLTVは12万円になり、LTVベースのROASは大幅に向上します。
対策: 評価期間を「初月」「3か月」「1年」のように複数設定し、それぞれの推移を追いかけましょう。
注意点3:ROASだけに頼らない
ブランド認知キャンペーンは短期ROASが低くなりがちですが、指名検索の増加やオーガニック流入の向上といった間接効果を生んでいる可能性があります。また、新規獲得とリピーター向けをROASだけで比較すると、常にリピーター向けが優先され事業成長が鈍化するリスクもあります。
対策: ROAS・ROI・CPA・LTVなど複数指標を組み合わせ、事業フェーズや施策の目的に応じて柔軟に評価しましょう。
よくある質問(FAQ)
ROASの読み方は?
ROASは「ロアス」と読みます。「Return On Advertising Spend」の頭文字を取った略称で、英語圏でも同様に「ロアス」と発音されます。
ROASの平均はどのくらいですか?
業界や商材によって異なりますが、全業界平均ではROAS 200%〜400%程度が一般的な水準です。EC(アパレル等)では300%〜500%、BtoB SaaSでは初年度200%〜400%(LTVベースで500%〜1,000%)が目安とされています。
ROASの目標値はどう決めればいいですか?
まず自社の損益分岐点ROASを「顧客単価 ÷(顧客単価 − 原価)× 100」で算出します。その数値に固定費やコスト変動分のマージンを加えた値が目標ROASです。たとえば損益分岐点ROASが250%なら、目標は350%〜400%が妥当です。
ROAS 300%は良いですか?
損益分岐点ROASを上回っていれば良好です。ROAS 300%は「広告費1円あたり3円の売上」を意味します。原価率50%の商品であれば損益分岐点ROASは200%なので、300%は利益が出ている状態です。ただし原価率が高い場合は300%でも赤字になり得ます。
ROASとROIの違いは?
ROASは「広告費に対する売上の割合」、ROIは「広告費に対する利益の割合」です。ROASが500%でも原価や固定費を差し引くとROIはマイナスになることもあるため、両方を併用するのが理想です。
まとめ
ROASとは、広告費に対する売上の割合を示す指標(ROAS = 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100)。読み方は「ロアス」
損益分岐点ROASを算出することで、赤字にならない最低ラインが明確になる
ROI・CPAとの違いを理解し、場面に応じて使い分けることが重要
業界別の目安は参考値として活用しつつ、自社の原価率・事業フェーズに合わせて目標値を設定する
改善施策はターゲティング、クリエイティブ、予算配分、顧客単価、CVR、LTV、入札戦略、AI活用の8つの切り口
ROASだけでは利益が見えない点、評価期間による変動、複合的な指標管理の必要性を忘れずに
ROASは広告運用の成果を可視化し、改善の方向性を示してくれる強力な指標です。単一の数字に依存するのではなく、ROIやLTVなど複数の視点から総合的に判断することが、広告投資の効果を最大化する鍵となります。
まずは自社の損益分岐点ROASを算出するところから始めてみましょう。
ROAS(ロアス)とは、「Return On Advertising Spend」の略で、広告費用対効果を示す指標です。 広告に投じた費用に対して、どれだけの売上を得られたかを「ROAS(%)= 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100」で算出します。たとえば広告費10万円で50万円の売上が出た場合、ROASは500%です。
本記事では、ROASの基本的な定義から計算式、業界別の目安、目標値の設定方法、具体的な改善施策、そして運用時の注意点までを体系的に解説します。
ROASとは?基本の意味と読み方
ROASの定義
ROASとは「Return On Advertising Spend(リターン・オン・アドバタイジング・スペンド)」の略称で、日本語では「広告費用対効果」と訳されます。広告に投じた費用に対して、どれだけの売上を獲得できたかを示す指標です。
この数字が大きいほど、広告費1円あたりの売上効率が高いことを意味します。EC運用、BtoBマーケティング、SaaSなど幅広い領域で活用されており、広告運用の成果を評価する最も基本的な指標のひとつです。
ROASの読み方
ROASの読み方は「ロアス」が一般的です。英語圏でも「ロアス(ROAZ)」と発音されます。「アールオーエーエス」と一文字ずつ読むケースはほとんどありません。
なぜROASが重要視されているのか
多くの企業がKPIとしてROASを採用する背景には、2つの理由があります。
1. CPAだけでは売上規模が見えない
CPA(顧客獲得単価)はコンバージョン1件あたりのコストを示しますが、獲得した顧客がどれだけの売上をもたらしたかは分かりません。ROASは広告費と売上の関係を直接的に示すため、事業全体の収益性を判断しやすいのです。
2. 広告チャネル間の比較が容易
Google広告、Meta広告、ディスプレイ広告など複数チャネルで出稿している場合、それぞれのROASを比較することで予算配分の最適化に直結します。
ROASの計算式と具体例
基本の計算式
ROAS(%)= 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100
たとえば、広告費20万円で広告経由の売上が80万円であれば:
ROAS = 80万円 ÷ 20万円 × 100 = 400%
「広告費1円あたり4円の売上」を意味します。
ROASが100%の場合は広告費と売上が同額であり、原価や人件費を考慮すると赤字です。一般的にはROAS 200%以上が最低ラインとされていますが、業界や利益率によって目安は異なります(後述)。
3つの計算例で理解するROAS
ケース1:EC(アパレル)
項目 | 金額 |
|---|---|
広告費 | 50万円 |
広告経由の売上 | 200万円 |
ROAS | 400% |
アパレルECでは原価率が40〜60%程度のケースが多いため、ROAS 400%であれば広告費を差し引いても利益が残る水準です。
ケース2:BtoB(リード獲得型)
項目 | 金額 |
|---|---|
広告費 | 30万円 |
広告経由の売上(成約ベース) | 60万円 |
ROAS | 200% |
BtoBでは広告で獲得するのがリード(見込み顧客)であり、成約までのプロセスが長くなります。ROAS 200%は一見低く感じますが、1件の成約単価が高額であるため、成約ベースで計測すると数値が大きく変動する点に留意が必要です。
ケース3:BtoB SaaS(サブスクリプション型)
項目 | 金額 |
|---|---|
広告費 | 100万円 |
初年度の広告経由売上 | 250万円 |
初年度ROAS | 250% |
SaaSの場合、顧客が継続利用することで2年目、3年目と売上が積み上がります。初年度のROASが250%でも、3年間のLTV(顧客生涯価値)ベースで計算すればROAS 700〜1,000%に達することもあります。
損益分岐点ROASの求め方
「ROAS何%以上なら赤字にならないのか」を判断するには、損益分岐点ROASを算出します。
損益分岐点ROAS(%)= 顧客単価 ÷(顧客単価 − 原価)× 100
たとえば、顧客単価10,000円で、原価6,000円の場合:
損益分岐点ROAS = 10,000 ÷(10,000 − 6,000)× 100 = 250%
つまりROAS 250%を下回ると広告費を回収できず赤字になります。自社の原価構造を把握したうえで損益分岐点ROASを算出しておくと、目標設定や運用判断の基準が明確になります。
ROAS・ROI・CPAの違いと使い分け
広告の費用対効果を測る指標にはROAS以外にもROIやCPAがあります。それぞれの違いを理解しておくことで、場面に応じた適切な評価が可能になります。
3つの指標の比較表
指標 | 正式名称 | 計算式 | 見ているもの |
|---|---|---|---|
ROAS | Return On Advertising Spend | 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100 | 広告費に対する売上の割合 |
ROI | Return On Investment | (売上 − コスト)÷ 広告費 × 100 | 広告費に対する利益の割合 |
CPA | Cost Per Acquisition | 広告費 ÷ CV数 | 1件のCV獲得にかかったコスト |
どの指標をいつ使うべきか
ROAS:広告チャネルやキャンペーン単位の売上効率を比較したいとき。特にECサイトのように広告経由の売上データが取得しやすいビジネスに最適
ROI:経営層への報告や、事業全体の収益性を評価したいとき。人件費・外注費も含めた投資対効果を見るため、より正確な利益判断が可能
CPA:リード獲得型のBtoBビジネスや、まずはCV件数を最大化したいフェーズに最適。ただしROASやROIとの併用が理想
実務では、CPA中心の評価からROAS中心の評価へ移行する企業が増えています。CV数だけでなく「売上への貢献度」を重視する流れが広がっているためです。
業界別ROASの目安・平均一覧
ROASの目安は業界や商材によって大きく異なります。以下は各業界のROAS平均値・目安をまとめた一覧です。
業界 | ROAS目安(平均的なレンジ) | 補足 |
|---|---|---|
EC(アパレル等) | 300%〜500% | 理想は400%〜800%。粗利率によって大きく変動 |
不動産・金融 | リード獲得: 150%〜250% / 成約: 600%〜1,200% | 成約までのリードタイムが長く、評価時期に注意 |
BtoBサービス | 200%〜600% | 商材単価・営業期間によりレンジが広い |
BtoB SaaS | 初年度: 200%〜400% / 3年LTV: 500%〜1,000% | LTVベースで評価するのが基本 |
美容・健康 | 250%〜400% | リピート率が高いほどLTV換算のROASが伸びる |
飲食 | 300%〜500% | 店舗型は来店計測の難易度がやや高い |
教育・スクール | 200%〜350% | 入会後の継続受講を見込んだ設計が必要 |
上記はあくまで参考値です。自社の原価率・利益構造によって適正なROASは変わるため、次に解説する「目標値の設定方法」を参考に、自社独自の基準を定めることが重要です。
ROASの目標値を設定する方法
目標ROASの設定は「なんとなく高ければいい」ではなく、損益分岐点を起点にした根拠のある数値が必要です。
ステップ1:損益分岐点ROASを算出する
まず、前述の計算式で自社の損益分岐点ROASを算出します。これが「最低限クリアすべきライン」です。
ステップ2:マージンを加える
損益分岐点ROASに、固定費(人件費、ツール利用料など)や想定外のコスト変動分をマージンとして加えます。
例: 損益分岐点ROASが250%であれば、目標ROASは350%〜400%が妥当な水準です。
ステップ3:キャンペーン種別で分ける
新規顧客獲得用とリピーター向けでは、目標ROASを分けて設定するのが効果的です。
キャンペーン種別 | 目標ROASの考え方 |
|---|---|
新規顧客獲得 | 初期投資としてROASを低めに許容(損益分岐点付近でもOK) |
リピーター向け | 高いROASを狙う(既存顧客はCVRが高いため) |
ブランド認知 | ROASだけで評価しない(指名検索増加など間接効果を加味) |
このように目標を分けることで、新規獲得を犠牲にした短期最適化を防ぎ、事業全体の成長につなげられます。
ROASを改善する8つの方法
ROASの改善アプローチは「コストを下げる」か「売上を上げる」の2軸です。
1. ターゲティングの精度を高める
過去のコンバージョンデータから「購入に至りやすいユーザー層」の特徴を抽出し、類似オーディエンスやカスタムオーディエンスに反映します。コンバージョンに貢献していない配信面やデモグラフィックを除外設定することで、無駄な広告費を削減できます。
2. 広告クリエイティブをA/Bテストで最適化する
見出し・画像・CTA(行動喚起ボタン)のコピーなど、変更する要素は一度に1つに絞り、どの変数が成果に影響しているかを正確に把握しましょう。テスト結果は統計的に有意なサンプル数を確保したうえで判断します。
3. 広告媒体と予算配分を見直す
媒体ごとのROASを定期的に比較し、予算配分を調整します。ROASが高い媒体に予算を寄せるのが基本ですが、「コンバージョンの質」(リピート率等)も確認しましょう。月次または四半期ごとのレビューサイクルを確立することが重要です。
4. 顧客単価を引き上げる(アップセル・クロスセル)
ROASの分子は「売上」です。広告費を変えずに顧客単価を上げれば、ROASは直接的に改善します。アップセル(上位商品への誘導)やクロスセル(関連商品の提案)、「あと○○円で送料無料」といった仕組みが有効です。
5. ランディングページを最適化してCVRを上げる
主要な改善ポイントは以下の4つです。
ファーストビューのキャッチコピー
フォームの入力項目数(少ないほどCVR向上)
ページの表示速度
モバイル対応
ヒートマップツールで離脱ポイントを特定し、優先度の高い箇所から改善しましょう。
6. リピート率を高めてLTVを伸ばす
サブスクリプション型やリピート購入が見込める商材では、LTV(顧客生涯価値)の視点でROASを捉えることが重要です。メールマーケティングやLINE公式アカウントを活用したリピート促進施策を組み合わせることで、初回購入時のROASが低くてもトータルでは高い費用対効果を実現できます。
7. 入札戦略を最適化する
Google広告の「目標ROAS入札」を活用すると、設定したROAS目標値に近づくよう自動で入札額が調整されます。ただし、自動入札が機能するには一定量のコンバージョンデータが必要です。データが不足している段階では手動入札から始め、十分なデータが蓄積されてから目標ROAS入札に切り替えるのが定石です。
8. AIによる広告運用の自動最適化を活用する
上記の改善施策を手作業で回し続けるには、時間と専門知識が必要です。近年ではAIを活用して広告運用の各プロセスを自動最適化するアプローチが広がっています。
入札調整、予算配分、クリエイティブの評価、ターゲティングの見直しをAIに任せることで、人的リソースを戦略立案やクリエイティブ企画に集中できます。たとえば広告運用を自動化するAIエージェント「Cascade」のようなツールを導入すれば、データに基づいた高速なPDCAサイクルを実現しやすくなります。
ROASを使う際の3つの注意点
ROASは強力な指標ですが、万能ではありません。以下の3点を押さえておきましょう。
注意点1:ROASは利益を見ていない
ROASはあくまで「売上ベース」の指標であり、利益を反映していません。ROAS 500%でも商品の原価率が80%なら実質的な利益はわずかです。
対策: ROI(利益ベースの指標)や粗利率と併せて評価する習慣をつけましょう。固定費(人件費・ツール利用料・倉庫代など)もROASの計算には含まれないため、事業全体の採算を見る際にはこれらのコストも加味します。
注意点2:評価期間によって数値が大きく変わる
ROASは評価する期間によって数字が大きく変動します。たとえば月額5,000円のSaaSの場合、初月ROASは低くても、平均継続24か月ならLTVは12万円になり、LTVベースのROASは大幅に向上します。
対策: 評価期間を「初月」「3か月」「1年」のように複数設定し、それぞれの推移を追いかけましょう。
注意点3:ROASだけに頼らない
ブランド認知キャンペーンは短期ROASが低くなりがちですが、指名検索の増加やオーガニック流入の向上といった間接効果を生んでいる可能性があります。また、新規獲得とリピーター向けをROASだけで比較すると、常にリピーター向けが優先され事業成長が鈍化するリスクもあります。
対策: ROAS・ROI・CPA・LTVなど複数指標を組み合わせ、事業フェーズや施策の目的に応じて柔軟に評価しましょう。
よくある質問(FAQ)
ROASの読み方は?
ROASは「ロアス」と読みます。「Return On Advertising Spend」の頭文字を取った略称で、英語圏でも同様に「ロアス」と発音されます。
ROASの平均はどのくらいですか?
業界や商材によって異なりますが、全業界平均ではROAS 200%〜400%程度が一般的な水準です。EC(アパレル等)では300%〜500%、BtoB SaaSでは初年度200%〜400%(LTVベースで500%〜1,000%)が目安とされています。
ROASの目標値はどう決めればいいですか?
まず自社の損益分岐点ROASを「顧客単価 ÷(顧客単価 − 原価)× 100」で算出します。その数値に固定費やコスト変動分のマージンを加えた値が目標ROASです。たとえば損益分岐点ROASが250%なら、目標は350%〜400%が妥当です。
ROAS 300%は良いですか?
損益分岐点ROASを上回っていれば良好です。ROAS 300%は「広告費1円あたり3円の売上」を意味します。原価率50%の商品であれば損益分岐点ROASは200%なので、300%は利益が出ている状態です。ただし原価率が高い場合は300%でも赤字になり得ます。
ROASとROIの違いは?
ROASは「広告費に対する売上の割合」、ROIは「広告費に対する利益の割合」です。ROASが500%でも原価や固定費を差し引くとROIはマイナスになることもあるため、両方を併用するのが理想です。
まとめ
ROASとは、広告費に対する売上の割合を示す指標(ROAS = 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100)。読み方は「ロアス」
損益分岐点ROASを算出することで、赤字にならない最低ラインが明確になる
ROI・CPAとの違いを理解し、場面に応じて使い分けることが重要
業界別の目安は参考値として活用しつつ、自社の原価率・事業フェーズに合わせて目標値を設定する
改善施策はターゲティング、クリエイティブ、予算配分、顧客単価、CVR、LTV、入札戦略、AI活用の8つの切り口
ROASだけでは利益が見えない点、評価期間による変動、複合的な指標管理の必要性を忘れずに
ROASは広告運用の成果を可視化し、改善の方向性を示してくれる強力な指標です。単一の数字に依存するのではなく、ROIやLTVなど複数の視点から総合的に判断することが、広告投資の効果を最大化する鍵となります。
まずは自社の損益分岐点ROASを算出するところから始めてみましょう。


