景品表示法NG表現チェックリスト|広告出稿前に確認すべき6つの視点
景品表示法NG表現チェックリスト|広告出稿前に確認すべき6つの視点

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)とは、商品やサービスの品質・価格などについて、実際よりも著しく優れている、または有利であると消費者に誤認させる表示を規制する法律です。規制の対象は広告主である「事業者」で、違反すると消費者庁や都道府県から措置命令や課徴金納付命令を受ける可能性があります。
法律の骨格は大きく2つに分かれます。商品・サービスの「表示」を規制する表示規制と、懸賞やおまけなど「景品類」の提供を規制する景品規制です(景品規制の内容は景品規制の解説記事で扱っています)。本記事では表示規制のうち、広告文やLPで特に見落とされやすいNG表現を6つのカテゴリに整理し、消費者庁の一次資料に基づくチェックリストとしてまとめました。広告を出稿する前の確認にご利用ください。
景品表示法の規制の3類型
景品表示法第5条は、事業者に対して次の3類型のいずれかに該当する表示を禁止しています。
区分 | 対象となる内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
優良誤認表示 | 商品・役務の品質、規格その他の内容について、実際のものより、または競合他社のものより著しく優良であると誤認される表示 | 法第5条第1号 |
有利誤認表示 | 商品・役務の価格その他の取引条件について、実際のものより、または競合他社のものより著しく有利であると誤認される表示 | 法第5条第2号 |
指定告示による表示 | 優良誤認・有利誤認以外に、内閣総理大臣が指定する特定の表示方法。現在7つの告示があり、うちステルスマーケティングに関する告示は2023年に新設されたもの | 法第5条第3号 |
優良誤認表示の例としては、実際にはカシミヤ混用率が80%程度のセーターに「カシミヤ100%」と表示していたケースが、有利誤認表示の例としては、「当選者100人が割安料金で契約」と表示していたが、実際には応募者全員を当選として同一料金で契約させていたケースが、消費者庁の資料で挙げられています。指定告示には、ステルスマーケティングのほか、おとり広告、無果汁の清涼飲料水、商品の原産国、消費者信用の融資費用、不動産のおとり広告、有料老人ホームに関する表示が指定されています。また、優良誤認表示のうち効果・性能に関する表示については、消費者庁長官が期間を定めて合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる「不実証広告規制」があり、資料が提出されない、または提出された資料が不十分な場合は不当表示とみなされる、または推定されることになります。
景品表示法のNG表現チェックリスト
広告文やLPの制作・出稿前に問題になりやすいNG表現を、6つのカテゴリのチェックリストに整理しました。該当する項目がないか、出稿前に確認してください。
①No.1表示・最上級表現
「No.1」「日本一」などと表示する際、比較対象に市場における主要な競合商品・サービスを含めているか
調査対象者が、表示内容(例:「顧客満足度No.1」)に見合った人たち(実際の利用者など)になっているか
自社商品を選択肢の最上位に固定する、目標の数値に達した時点で調査を打ち切るなど、調査方法が恣意的になっていないか
調査結果と表示内容が対応しているか(「利用したい」という回答結果を「満足度No.1」のように表示していないか)
調査の詳細(調査対象・時期・方法)を、表示物やリンク先で確認できるようにしているか
「医師の90%が推奨」「利用者の90%が満足」といった高評価%表示も、No.1表示と同様の合理的根拠が必要とされているか
消費者庁が2024年9月に公表した実態調査によれば、2023年度に景品表示法に基づく措置命令を受けた44事業者のうち13事業者が、No.1表示に関連する表示だったとされています。同調査は、不当なNo.1表示等が行われる背景として、競合対策などの動機を持つ事業者に対して廉価にイメージ調査を請け負う調査会社が存在すること、事業者側が調査内容を確認せず「他社も同じ調査会社を使っているから」などと安易に正当化してしまう傾向があることを指摘しています。同様の問題は「医師の90%が推奨」のような高評価%表示にも共通してみられ、いずれも比較対象・調査対象者・調査方法・表示内容と結果の対応という4点を満たす合理的な根拠が必要とされています。No.1表示を含む比較広告全般については、主張する内容が客観的に実証されていること、実証された数値・事実を正確に引用すること、比較の方法が公正であることが必要とされています。
②効果・効能の断定表現
「必ず痩せる」「絶対に治る」など、効果を断定する表現を使っていないか
効果・性能を標榜する表示について、実験結果など客観的な根拠資料を用意しているか
その根拠資料は、表示している内容と同じ範囲・程度の効果を示しているか(一部の好条件のデータを拡大解釈していないか)
個人の感想や体験談だけを根拠にしていないか
消費者庁から根拠資料の提出を求められた場合に、指定された期間内に提出できる状態か
消費者庁は、商品・サービスの効果や性能に関する表示について、期間を定めて事業者に合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます(不実証広告規制)。指定された期間内に資料が提出されない場合や、提出された資料が表示内容を裏付けるのに十分でない場合、その表示は措置命令との関係では不当表示とみなされ、課徴金納付命令との関係では不当表示と推定されます。健康食品や化粧品などの効果・効能表示は薬機法の規制も重ねて適用されるため、薬機法の解説記事もあわせて確認してください。
③価格・二重価格表示
「当店通常価格」などの比較対照価格は、実際にその価格で販売していた実績があるか
その価格が、セール開始時点からさかのぼる8週間のうち、販売期間の過半を占める形で使われていたか
比較対照価格での販売期間が通算2週間以上あり、かつ最後にその価格で販売した日から2週間以上経過していないか
将来の値上げ予定価格を比較対照価格に使う場合、その価格で実際に販売することが確定しているか
希望小売価格を比較対照価格に使う場合、その価格があらかじめ公表されているものか
二重価格表示で比較対照価格を使う場合、消費者庁の考え方では、その価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」である必要があるとされています。目安として、セールなど二重価格表示を行う時点からさかのぼる8週間のうち、比較対照価格で販売していた期間がその商品の販売期間の過半を占めていること、かつ、その価格での販売期間が通算2週間以上あり、最後にその価格で販売した日から2週間以上経過していないことが必要とされています。実績のない価格や、根拠のない将来価格を比較対照価格に使うことも、不当表示に該当するおそれがあります。なお、一定の営業時間に限って値下げを行うタイムサービスのような二重価格表示は、通常は不当表示に該当しないとされています。
④「今だけ」「残りわずか」等の期間・数量限定表示
「期間限定」「今だけ」と表示している条件で、実際に取引に応じる準備ができているか
「数量限定」「残りわずか」と表示する場合、供給量が予想される購買数量の半数にも満たないなど「著しく限定」されている実態を、明瞭に記載しているか
表示した数量・期間の一部でも取引に応じられない場合があるとき、その旨を広告やLPに明示しているか
問い合わせや来店の際に、表示した商品を見せない、他の商品を勧める、購入を事実上拒否するなど、取引の成立を妨げていないか
セール開始後に決めた値引きなのに、あらかじめ高い金額を設定して「期間限定値引き」に見せていないか
実際には購入できない、または入手が困難な条件を強調して顧客を誘引する広告は、指定告示の一つである「おとり広告に関する表示」に該当するおそれがあります。消費者庁の運用基準では、広告等に表示した数量の全部または一部について取引に応じることができない場合、供給量が予想購買数量の半数にも満たないほど限定されているのにその旨を明瞭に記載していない場合、商品を見せない・他の商品を勧めるなどして購入を妨げる場合が、おとり広告に該当する例として挙げられています。
⑤打消し表示の不備
強調表示(「〇〇し放題」等)のすぐ近くに、打消し表示(例外条件の注釈)を配置しているか(スクロールしないと見えない位置になっていないか)
打消し表示の文字は、強調表示を見た消費者が見落とさない大きさ・色になっているか(背景と区別がつくか)
動画広告の場合、打消し表示が表示されている時間は読み切れる長さか、文字でも認識しやすく示しているか
打消し表示の内容自体が、専門用語を避けるなど一般消費者に理解できる表現になっているか
打消し表示があることで、強調表示と矛盾する内容になっていないか(例:「実質無料」なのに別途料金が必須になっている等)
消費者庁が2017年7月に公表した「打消し表示に関する実態調査報告書」によれば、新聞広告の打消し表示のうち8ポイント未満の小さな文字で表示されていたものが56.9%を占め、動画広告では打消し表示が含まれる画面の表示時間が2秒以下のものが42.4%ありました。同調査で作成した表示例を用いた調査では、打消し表示を見ても内容を理解できなかった消費者の割合が、表示例によって23.6%から47.7%に上りました。打消し表示は、記載さえしていれば足りるものではなく、一般消費者が実際に認識・理解できる形になっているかどうかで判断されます。同調査のWebアンケートでは、打消し表示を「見ない(読まない)」と回答した消費者の割合が、媒体によって57.1%から75.1%に上っており、打消し表示に依存した表現は狙いどおりに伝わらないリスクがあることも示されています。
⑥ステルスマーケティング(ステマ)・PR表記の不備
インフルエンサーやアフィリエイターに依頼した投稿に、「広告」「PR」等の文言、または商品提供を受けた旨の記載があるか
その文言が、大量のハッシュタグに埋もれていたり、周囲の文字より極端に小さかったりしていないか
動画の場合、一般消費者が認識できる十分な時間、表示されているか
無償提供(ギフティング)でも、投稿内容に事業者が関与している場合は、広告である旨を表示しているか
2023年10月1日より前に依頼した投稿で、現在も表示が継続しているものを点検したか
2023年10月1日に施行された指定告示(「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」)により、事業者が関与しているにもかかわらず、一般消費者がそれを広告だと判別することが困難な表示は、不当表示として規制されています。「広告」「PR」と記載していても、文字の大きさや位置、動画内での表示時間などから表示内容全体としてみて明瞭と認められない場合は、違反のおそれが残ります。対象範囲や実務対応の詳細はステマ規制の解説記事で解説しています。
景品表示法に違反するとどうなるか
違反行為があった場合、消費者庁(または都道府県)はまず実態解明のための調査を行います。違反のおそれがある行為には行政指導としての「指導」が行われ、違反が認められれば、一般消費者に与えた誤認の排除や再発防止策の実施などを命じる「措置命令」(行政処分)の対象となります。都道府県知事も、景品表示法に基づき同様に措置命令を行う権限を持っています。
措置 | 内容 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|
指導 | 違反のおそれがある行為に対する行政指導 | — |
措置命令 | 誤認の排除・再発防止策の実施などを命じる行政処分 | 法第7条 |
課徴金納付命令 | 対象期間中の売上額の3%(加算時4.5%)を国庫に納付 | 法第8条 |
確約手続 | 是正措置計画の認定を受けることで措置命令・課徴金納付命令を受けない | 法第26条〜第33条 |
直罰(罰金) | 優良誤認表示・有利誤認表示に対する100万円以下の罰金 | 法第48条 |
優良誤認表示・有利誤認表示については、措置命令に加えて「課徴金納付命令」の対象になり得ます(指定告示違反は課徴金の対象外です)。課徴金額は、対象期間中の売上額に3%を乗じた額で、過去10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者は4.5%に加算されます。対象期間は原則として違反する表示をしていた期間で、その期間が3年を超える場合は末日から遡って3年分を算定対象とし、表示をやめた後も最大6か月間の取引が算入されます。ただし、算定した額が150万円未満の場合や、表示に問題があることを知らず、かつ知らないことについて相当の注意を怠っていなかったと認められる場合は、納付命令の対象になりません。対象となった消費者へ自主的に返金を行った場合は、その返金額に応じて課徴金額が減額される制度もあります。
2024年10月1日に施行された景品表示法の改正(令和5年法律第29号、通称「令和5年改正」)では、事業者が自ら是正措置計画を策定・申請し、消費者庁の認定を受けた場合に、その行為について措置命令・課徴金納付命令を受けないこととする「確約手続」が新設されました。ただし、過去10年以内に措置命令や課徴金納付命令を受けている場合や、表示に根拠がないと認識しながらあえて表示を行っていたような悪質・重大な場合は、確約手続の対象になりません。同じ改正では、優良誤認表示・有利誤認表示について、行政処分を経ずに100万円以下の罰金を科す直罰規定も新設されています。あわせて、適格消費者団体が事業者に対し、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請できる制度も新設されました(事業者は開示要請に応じる努力義務を負います)。
広告出稿前のチェック体制の作り方
景品表示法第22条は、事業者に対して、不当表示等を未然に防止するために必要な管理上の措置を講じることを求めています。No.1表示に関する実態調査では、ヒアリングに応じた広告主の多くが、表示の根拠となる調査の質問項目や比較対象を十分に把握しないまま表示を行っており、法第22条が求める管理上の措置が十分にとられている様子はうかがえなかったと指摘されています。
No.1表示に関する実態調査は、広告主が講ずべき管理上の措置として、次のような取組を挙げています。
景品表示法の考え方を、表示に関わる役員・従業員に周知・啓発すること
法令遵守の方針等を明確化すること
表示等の根拠となる情報を確認すること
表示等の根拠となる情報を社内で共有すること
表示等を管理するための担当者等を定めること
表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置をとること
不当な表示等が明らかになった場合に、迅速かつ適切に対応すること
運用型広告やSNS広告のように媒体側の審査を経て配信される広告であっても、表示内容を決めるのは事業者自身であるため、景品表示法上の責任は媒体の審査結果にかかわらず事業者に残ります。広告クリエイティブ全体の制作フローについては広告クリエイティブの作り方の解説記事もあわせて参考にしてください。
チェック対象の広告文やLPの本数が多い場合、AIによる一次スクリーニングで確認の手間を減らす方法もあります。広告運用AIエージェントのCascadeの広告表現チェック機能は、広告文やLPの景品表示法・薬機法上のリスクをAIが事前にチェックし、見直し候補を洗い出す機能です。最終的な該当性の判断を代替するものではないため、判断に迷う表示は本記事のチェックリストや消費者庁の資料の確認、専門家への相談とあわせて活用してください。
景品表示法に関するよくある質問
景品表示法の規制対象は誰ですか?
規制対象は、商品・サービスを供給する「事業者」(広告主)です。広告に表示する内容の決定に関与していない広告制作会社や、依頼を受けて投稿するインフルエンサー本人は、原則として規制の対象外とされています。
「No.1」「業界最高水準」といった表示は、根拠があれば使ってよいですか?
使用は可能ですが、消費者庁の実態調査では、比較対象・調査対象者・調査方法・表示内容と結果の対応という4点を満たす合理的な根拠が必要とされています。単なるイメージ調査や恣意的な方法による調査結果をもとにした表示は、不当表示と判断されるおそれがあります。
セールで「当店通常価格」と表示する際の注意点は何ですか?
比較対照価格は「最近相当期間にわたって販売されていた価格」である必要があるとされています。目安として、セール開始時点からさかのぼる8週間のうち、その価格で販売していた期間が販売期間の過半を占めていること、かつ通算2週間以上その価格で販売していたことなどが挙げられます。実績のない価格を通常価格として表示すると、不当表示に該当するおそれがあります。
打消し表示(※の注釈など)は、小さく記載してあれば問題ありませんか?
記載されているだけでは十分ではありません。消費者庁の実態調査では、文字の大きさ、強調表示との距離、表示されている時間、背景との区別などから、一般消費者が実際に認識できるかどうかで判断されるとされています。読み落としてしまうほど小さい、離れた位置にある、動画で一瞬しか表示されないといった打消し表示は、記載していないのと同様に扱われるおそれがあります。
ステマ規制の対象になるのはどのような表示ですか?
事業者が表示内容の決定に関与しているにもかかわらず、一般消費者がそれを事業者の表示(広告)だと判別することが困難な表示です。インフルエンサーへの依頼投稿やアフィリエイト広告などで、「広告」「PR」等の表示がない、または分かりにくい場合に該当するおそれがあります。詳しい対象範囲や実務対応はステマ規制の解説記事で扱っています。
措置命令を受けると、必ず課徴金も科されますか?
必ずではありません。課徴金納付命令は優良誤認表示・有利誤認表示が対象で、対象期間の売上額に3%(過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者は4.5%)を乗じた額が150万円未満の場合や、表示の問題を知らず、かつ相当の注意を怠っていなかったと認められる場合は命じられません。また、指定告示(ステマ規制など)違反は、課徴金納付命令の対象にはなりません。
まとめ:チェックリストを出稿フローに組み込む
景品表示法は、優良誤認表示・有利誤認表示・指定告示という3つの類型で不当表示を規制しています。本記事で整理した6つのチェックリスト(No.1表示、効果効能の断定、価格・二重価格表示、期間・数量限定表示、打消し表示、ステマ・PR表記)は、いずれも消費者庁の資料で具体的な考え方が示されている領域です。広告文やLPを出稿する前に該当する表現がないか一つずつ確認し、判断に迷う場合は消費者庁の一次資料を確認するか、専門家に相談してください。
参考:消費者庁の一次資料
本記事の内容は、下記の消費者庁公表資料に基づいています。実際の広告表示の該当性を判断する際は、必ず一次資料の原文もあわせて確認してください。
本記事は一般的な情報提供であり法的助言ではありません。個別の判断は専門家にご相談ください。(参照日: 2026年7月)
※本記事は及部デザイン事務所の記事にてご紹介いただきました
景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)とは、商品やサービスの品質・価格などについて、実際よりも著しく優れている、または有利であると消費者に誤認させる表示を規制する法律です。規制の対象は広告主である「事業者」で、違反すると消費者庁や都道府県から措置命令や課徴金納付命令を受ける可能性があります。
法律の骨格は大きく2つに分かれます。商品・サービスの「表示」を規制する表示規制と、懸賞やおまけなど「景品類」の提供を規制する景品規制です(景品規制の内容は景品規制の解説記事で扱っています)。本記事では表示規制のうち、広告文やLPで特に見落とされやすいNG表現を6つのカテゴリに整理し、消費者庁の一次資料に基づくチェックリストとしてまとめました。広告を出稿する前の確認にご利用ください。
景品表示法の規制の3類型
景品表示法第5条は、事業者に対して次の3類型のいずれかに該当する表示を禁止しています。
区分 | 対象となる内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
優良誤認表示 | 商品・役務の品質、規格その他の内容について、実際のものより、または競合他社のものより著しく優良であると誤認される表示 | 法第5条第1号 |
有利誤認表示 | 商品・役務の価格その他の取引条件について、実際のものより、または競合他社のものより著しく有利であると誤認される表示 | 法第5条第2号 |
指定告示による表示 | 優良誤認・有利誤認以外に、内閣総理大臣が指定する特定の表示方法。現在7つの告示があり、うちステルスマーケティングに関する告示は2023年に新設されたもの | 法第5条第3号 |
優良誤認表示の例としては、実際にはカシミヤ混用率が80%程度のセーターに「カシミヤ100%」と表示していたケースが、有利誤認表示の例としては、「当選者100人が割安料金で契約」と表示していたが、実際には応募者全員を当選として同一料金で契約させていたケースが、消費者庁の資料で挙げられています。指定告示には、ステルスマーケティングのほか、おとり広告、無果汁の清涼飲料水、商品の原産国、消費者信用の融資費用、不動産のおとり広告、有料老人ホームに関する表示が指定されています。また、優良誤認表示のうち効果・性能に関する表示については、消費者庁長官が期間を定めて合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる「不実証広告規制」があり、資料が提出されない、または提出された資料が不十分な場合は不当表示とみなされる、または推定されることになります。
景品表示法のNG表現チェックリスト
広告文やLPの制作・出稿前に問題になりやすいNG表現を、6つのカテゴリのチェックリストに整理しました。該当する項目がないか、出稿前に確認してください。
①No.1表示・最上級表現
「No.1」「日本一」などと表示する際、比較対象に市場における主要な競合商品・サービスを含めているか
調査対象者が、表示内容(例:「顧客満足度No.1」)に見合った人たち(実際の利用者など)になっているか
自社商品を選択肢の最上位に固定する、目標の数値に達した時点で調査を打ち切るなど、調査方法が恣意的になっていないか
調査結果と表示内容が対応しているか(「利用したい」という回答結果を「満足度No.1」のように表示していないか)
調査の詳細(調査対象・時期・方法)を、表示物やリンク先で確認できるようにしているか
「医師の90%が推奨」「利用者の90%が満足」といった高評価%表示も、No.1表示と同様の合理的根拠が必要とされているか
消費者庁が2024年9月に公表した実態調査によれば、2023年度に景品表示法に基づく措置命令を受けた44事業者のうち13事業者が、No.1表示に関連する表示だったとされています。同調査は、不当なNo.1表示等が行われる背景として、競合対策などの動機を持つ事業者に対して廉価にイメージ調査を請け負う調査会社が存在すること、事業者側が調査内容を確認せず「他社も同じ調査会社を使っているから」などと安易に正当化してしまう傾向があることを指摘しています。同様の問題は「医師の90%が推奨」のような高評価%表示にも共通してみられ、いずれも比較対象・調査対象者・調査方法・表示内容と結果の対応という4点を満たす合理的な根拠が必要とされています。No.1表示を含む比較広告全般については、主張する内容が客観的に実証されていること、実証された数値・事実を正確に引用すること、比較の方法が公正であることが必要とされています。
②効果・効能の断定表現
「必ず痩せる」「絶対に治る」など、効果を断定する表現を使っていないか
効果・性能を標榜する表示について、実験結果など客観的な根拠資料を用意しているか
その根拠資料は、表示している内容と同じ範囲・程度の効果を示しているか(一部の好条件のデータを拡大解釈していないか)
個人の感想や体験談だけを根拠にしていないか
消費者庁から根拠資料の提出を求められた場合に、指定された期間内に提出できる状態か
消費者庁は、商品・サービスの効果や性能に関する表示について、期間を定めて事業者に合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます(不実証広告規制)。指定された期間内に資料が提出されない場合や、提出された資料が表示内容を裏付けるのに十分でない場合、その表示は措置命令との関係では不当表示とみなされ、課徴金納付命令との関係では不当表示と推定されます。健康食品や化粧品などの効果・効能表示は薬機法の規制も重ねて適用されるため、薬機法の解説記事もあわせて確認してください。
③価格・二重価格表示
「当店通常価格」などの比較対照価格は、実際にその価格で販売していた実績があるか
その価格が、セール開始時点からさかのぼる8週間のうち、販売期間の過半を占める形で使われていたか
比較対照価格での販売期間が通算2週間以上あり、かつ最後にその価格で販売した日から2週間以上経過していないか
将来の値上げ予定価格を比較対照価格に使う場合、その価格で実際に販売することが確定しているか
希望小売価格を比較対照価格に使う場合、その価格があらかじめ公表されているものか
二重価格表示で比較対照価格を使う場合、消費者庁の考え方では、その価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」である必要があるとされています。目安として、セールなど二重価格表示を行う時点からさかのぼる8週間のうち、比較対照価格で販売していた期間がその商品の販売期間の過半を占めていること、かつ、その価格での販売期間が通算2週間以上あり、最後にその価格で販売した日から2週間以上経過していないことが必要とされています。実績のない価格や、根拠のない将来価格を比較対照価格に使うことも、不当表示に該当するおそれがあります。なお、一定の営業時間に限って値下げを行うタイムサービスのような二重価格表示は、通常は不当表示に該当しないとされています。
④「今だけ」「残りわずか」等の期間・数量限定表示
「期間限定」「今だけ」と表示している条件で、実際に取引に応じる準備ができているか
「数量限定」「残りわずか」と表示する場合、供給量が予想される購買数量の半数にも満たないなど「著しく限定」されている実態を、明瞭に記載しているか
表示した数量・期間の一部でも取引に応じられない場合があるとき、その旨を広告やLPに明示しているか
問い合わせや来店の際に、表示した商品を見せない、他の商品を勧める、購入を事実上拒否するなど、取引の成立を妨げていないか
セール開始後に決めた値引きなのに、あらかじめ高い金額を設定して「期間限定値引き」に見せていないか
実際には購入できない、または入手が困難な条件を強調して顧客を誘引する広告は、指定告示の一つである「おとり広告に関する表示」に該当するおそれがあります。消費者庁の運用基準では、広告等に表示した数量の全部または一部について取引に応じることができない場合、供給量が予想購買数量の半数にも満たないほど限定されているのにその旨を明瞭に記載していない場合、商品を見せない・他の商品を勧めるなどして購入を妨げる場合が、おとり広告に該当する例として挙げられています。
⑤打消し表示の不備
強調表示(「〇〇し放題」等)のすぐ近くに、打消し表示(例外条件の注釈)を配置しているか(スクロールしないと見えない位置になっていないか)
打消し表示の文字は、強調表示を見た消費者が見落とさない大きさ・色になっているか(背景と区別がつくか)
動画広告の場合、打消し表示が表示されている時間は読み切れる長さか、文字でも認識しやすく示しているか
打消し表示の内容自体が、専門用語を避けるなど一般消費者に理解できる表現になっているか
打消し表示があることで、強調表示と矛盾する内容になっていないか(例:「実質無料」なのに別途料金が必須になっている等)
消費者庁が2017年7月に公表した「打消し表示に関する実態調査報告書」によれば、新聞広告の打消し表示のうち8ポイント未満の小さな文字で表示されていたものが56.9%を占め、動画広告では打消し表示が含まれる画面の表示時間が2秒以下のものが42.4%ありました。同調査で作成した表示例を用いた調査では、打消し表示を見ても内容を理解できなかった消費者の割合が、表示例によって23.6%から47.7%に上りました。打消し表示は、記載さえしていれば足りるものではなく、一般消費者が実際に認識・理解できる形になっているかどうかで判断されます。同調査のWebアンケートでは、打消し表示を「見ない(読まない)」と回答した消費者の割合が、媒体によって57.1%から75.1%に上っており、打消し表示に依存した表現は狙いどおりに伝わらないリスクがあることも示されています。
⑥ステルスマーケティング(ステマ)・PR表記の不備
インフルエンサーやアフィリエイターに依頼した投稿に、「広告」「PR」等の文言、または商品提供を受けた旨の記載があるか
その文言が、大量のハッシュタグに埋もれていたり、周囲の文字より極端に小さかったりしていないか
動画の場合、一般消費者が認識できる十分な時間、表示されているか
無償提供(ギフティング)でも、投稿内容に事業者が関与している場合は、広告である旨を表示しているか
2023年10月1日より前に依頼した投稿で、現在も表示が継続しているものを点検したか
2023年10月1日に施行された指定告示(「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」)により、事業者が関与しているにもかかわらず、一般消費者がそれを広告だと判別することが困難な表示は、不当表示として規制されています。「広告」「PR」と記載していても、文字の大きさや位置、動画内での表示時間などから表示内容全体としてみて明瞭と認められない場合は、違反のおそれが残ります。対象範囲や実務対応の詳細はステマ規制の解説記事で解説しています。
景品表示法に違反するとどうなるか
違反行為があった場合、消費者庁(または都道府県)はまず実態解明のための調査を行います。違反のおそれがある行為には行政指導としての「指導」が行われ、違反が認められれば、一般消費者に与えた誤認の排除や再発防止策の実施などを命じる「措置命令」(行政処分)の対象となります。都道府県知事も、景品表示法に基づき同様に措置命令を行う権限を持っています。
措置 | 内容 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|
指導 | 違反のおそれがある行為に対する行政指導 | — |
措置命令 | 誤認の排除・再発防止策の実施などを命じる行政処分 | 法第7条 |
課徴金納付命令 | 対象期間中の売上額の3%(加算時4.5%)を国庫に納付 | 法第8条 |
確約手続 | 是正措置計画の認定を受けることで措置命令・課徴金納付命令を受けない | 法第26条〜第33条 |
直罰(罰金) | 優良誤認表示・有利誤認表示に対する100万円以下の罰金 | 法第48条 |
優良誤認表示・有利誤認表示については、措置命令に加えて「課徴金納付命令」の対象になり得ます(指定告示違反は課徴金の対象外です)。課徴金額は、対象期間中の売上額に3%を乗じた額で、過去10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者は4.5%に加算されます。対象期間は原則として違反する表示をしていた期間で、その期間が3年を超える場合は末日から遡って3年分を算定対象とし、表示をやめた後も最大6か月間の取引が算入されます。ただし、算定した額が150万円未満の場合や、表示に問題があることを知らず、かつ知らないことについて相当の注意を怠っていなかったと認められる場合は、納付命令の対象になりません。対象となった消費者へ自主的に返金を行った場合は、その返金額に応じて課徴金額が減額される制度もあります。
2024年10月1日に施行された景品表示法の改正(令和5年法律第29号、通称「令和5年改正」)では、事業者が自ら是正措置計画を策定・申請し、消費者庁の認定を受けた場合に、その行為について措置命令・課徴金納付命令を受けないこととする「確約手続」が新設されました。ただし、過去10年以内に措置命令や課徴金納付命令を受けている場合や、表示に根拠がないと認識しながらあえて表示を行っていたような悪質・重大な場合は、確約手続の対象になりません。同じ改正では、優良誤認表示・有利誤認表示について、行政処分を経ずに100万円以下の罰金を科す直罰規定も新設されています。あわせて、適格消費者団体が事業者に対し、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の開示を要請できる制度も新設されました(事業者は開示要請に応じる努力義務を負います)。
広告出稿前のチェック体制の作り方
景品表示法第22条は、事業者に対して、不当表示等を未然に防止するために必要な管理上の措置を講じることを求めています。No.1表示に関する実態調査では、ヒアリングに応じた広告主の多くが、表示の根拠となる調査の質問項目や比較対象を十分に把握しないまま表示を行っており、法第22条が求める管理上の措置が十分にとられている様子はうかがえなかったと指摘されています。
No.1表示に関する実態調査は、広告主が講ずべき管理上の措置として、次のような取組を挙げています。
景品表示法の考え方を、表示に関わる役員・従業員に周知・啓発すること
法令遵守の方針等を明確化すること
表示等の根拠となる情報を確認すること
表示等の根拠となる情報を社内で共有すること
表示等を管理するための担当者等を定めること
表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置をとること
不当な表示等が明らかになった場合に、迅速かつ適切に対応すること
運用型広告やSNS広告のように媒体側の審査を経て配信される広告であっても、表示内容を決めるのは事業者自身であるため、景品表示法上の責任は媒体の審査結果にかかわらず事業者に残ります。広告クリエイティブ全体の制作フローについては広告クリエイティブの作り方の解説記事もあわせて参考にしてください。
チェック対象の広告文やLPの本数が多い場合、AIによる一次スクリーニングで確認の手間を減らす方法もあります。広告運用AIエージェントのCascadeの広告表現チェック機能は、広告文やLPの景品表示法・薬機法上のリスクをAIが事前にチェックし、見直し候補を洗い出す機能です。最終的な該当性の判断を代替するものではないため、判断に迷う表示は本記事のチェックリストや消費者庁の資料の確認、専門家への相談とあわせて活用してください。
景品表示法に関するよくある質問
景品表示法の規制対象は誰ですか?
規制対象は、商品・サービスを供給する「事業者」(広告主)です。広告に表示する内容の決定に関与していない広告制作会社や、依頼を受けて投稿するインフルエンサー本人は、原則として規制の対象外とされています。
「No.1」「業界最高水準」といった表示は、根拠があれば使ってよいですか?
使用は可能ですが、消費者庁の実態調査では、比較対象・調査対象者・調査方法・表示内容と結果の対応という4点を満たす合理的な根拠が必要とされています。単なるイメージ調査や恣意的な方法による調査結果をもとにした表示は、不当表示と判断されるおそれがあります。
セールで「当店通常価格」と表示する際の注意点は何ですか?
比較対照価格は「最近相当期間にわたって販売されていた価格」である必要があるとされています。目安として、セール開始時点からさかのぼる8週間のうち、その価格で販売していた期間が販売期間の過半を占めていること、かつ通算2週間以上その価格で販売していたことなどが挙げられます。実績のない価格を通常価格として表示すると、不当表示に該当するおそれがあります。
打消し表示(※の注釈など)は、小さく記載してあれば問題ありませんか?
記載されているだけでは十分ではありません。消費者庁の実態調査では、文字の大きさ、強調表示との距離、表示されている時間、背景との区別などから、一般消費者が実際に認識できるかどうかで判断されるとされています。読み落としてしまうほど小さい、離れた位置にある、動画で一瞬しか表示されないといった打消し表示は、記載していないのと同様に扱われるおそれがあります。
ステマ規制の対象になるのはどのような表示ですか?
事業者が表示内容の決定に関与しているにもかかわらず、一般消費者がそれを事業者の表示(広告)だと判別することが困難な表示です。インフルエンサーへの依頼投稿やアフィリエイト広告などで、「広告」「PR」等の表示がない、または分かりにくい場合に該当するおそれがあります。詳しい対象範囲や実務対応はステマ規制の解説記事で扱っています。
措置命令を受けると、必ず課徴金も科されますか?
必ずではありません。課徴金納付命令は優良誤認表示・有利誤認表示が対象で、対象期間の売上額に3%(過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者は4.5%)を乗じた額が150万円未満の場合や、表示の問題を知らず、かつ相当の注意を怠っていなかったと認められる場合は命じられません。また、指定告示(ステマ規制など)違反は、課徴金納付命令の対象にはなりません。
まとめ:チェックリストを出稿フローに組み込む
景品表示法は、優良誤認表示・有利誤認表示・指定告示という3つの類型で不当表示を規制しています。本記事で整理した6つのチェックリスト(No.1表示、効果効能の断定、価格・二重価格表示、期間・数量限定表示、打消し表示、ステマ・PR表記)は、いずれも消費者庁の資料で具体的な考え方が示されている領域です。広告文やLPを出稿する前に該当する表現がないか一つずつ確認し、判断に迷う場合は消費者庁の一次資料を確認するか、専門家に相談してください。
参考:消費者庁の一次資料
本記事の内容は、下記の消費者庁公表資料に基づいています。実際の広告表示の該当性を判断する際は、必ず一次資料の原文もあわせて確認してください。
本記事は一般的な情報提供であり法的助言ではありません。個別の判断は専門家にご相談ください。(参照日: 2026年7月)
※本記事は及部デザイン事務所の記事にてご紹介いただきました


