薬機法(旧薬事法)広告表現のOK/NG言い換え集|医薬品・化粧品・健康食品のカテゴリ別ガイド

薬機法(旧薬事法)広告表現のOK/NG言い換え集|医薬品・化粧品・健康食品のカテゴリ別ガイド

薬機法(旧薬事法)広告表現のOK/NG言い換え集|医薬品・化粧品・健康食品のカテゴリ別ガイド

薬機法は、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の広告表現を規制する法律です。2014年(平成26年)11月25日の法改正で、それまでの「薬事法」という名称からこの現行名称に変更されました。今も「薬事法 広告」で検索する方が多いのはこのためで、名称変更の前後で広告規制の骨格自体が大きく変わったわけではないとされています。

広告表現がここまで細かく規制されるのは、誇大な効果効能の訴求が消費者の健康被害や治療機会の逸失に直結しうるためです。この記事では、厚生労働省が公表している通知等を確認しながら、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「健康食品(食品)」というカテゴリごとに、問題になりやすい表現と言い換えの方向性を整理します。「この表現なら絶対に安全」という保証はできません。あくまで一般的な考え方の整理としてお使いください。

薬機法(旧薬事法)とは何か

薬機法(昭和35年法律第145号)は、医薬品等の品質・有効性・安全性を確保するための法律で、広告に関する規制は主に第66条・第67条・第68条に定められています。厚生労働省の資料によれば、第66条は医薬品等の名称・製造方法・効能効果・性能について虚偽または誇大な広告等を禁止し、医師等が保証したと誤解されるおそれのある表現も同様に規制の対象とされています。第67条はがん・肉腫・白血病など特定疾病用の医薬品について医薬関係者以外の一般人向け広告を制限するとされ、第68条は承認・認証を受けていない医薬品等について、名称や効能効果に関する広告そのものを禁止するとされています。

薬機法第66条は「何人も」という主語で規制対象を定めているとされ、広告主である製造販売業者だけでなく、広告制作を担う代理店、インフルエンサーやアフィリエイター、個人のSNS投稿者まで広く規制の対象になりうるという整理が一般的です。「発注した広告代理店の責任」「投稿した個人の責任」といった役割分担とは別に、内容そのものが虚偽・誇大にあたるかどうかが問われる点に留意が必要です。

これらの条文を受けて、広告表現の具体的な基準を示しているのが「医薬品等適正広告基準」(平成29年9月29日薬生発0929第4号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)です。同基準は、医薬品等の広告が虚偽・誇大にわたらないようにし、その適正化を図ることを目的とし、広告を行う者には使用者が医薬品等を適正に使用できるよう正確な情報伝達に努める責務があるとしています。主な基準として、医薬品等の品位の保持、虚偽・誇大なおそれのある広告の禁止、過量消費や乱用助長を促すおそれのある広告の禁止、医療用医薬品等の一般人向け広告の禁止、他社製品を誹謗する広告の制限、医薬関係者等による推せん表現の禁止などが示されています。

「広告」に該当するかどうかの3要件

薬機法の広告規制は、企業の公式広告だけを対象にしているわけではありません。厚生省(当時)の通知(平成10年9月29日医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知)では、次の3つの要件をすべて満たす場合に「広告」に該当すると整理されています。

  • 顧客を誘引する意図(顧客の購入意欲を昂進させる意図)が明確であること

  • 特定の医薬品等の商品名が明らかにされていること

  • 一般人が認知できる状態にあること

この3要件は、企業の公式サイトやパンフレットだけでなく、ブログ・SNS投稿・アフィリエイトサイトなど、一般人が閲覧できる媒体であれば広く当てはまり得ると考えられます。したがって、個人の投稿であることや無報酬であることをもって、当然に規制対象外になるとは限らないという整理が一般的です。

医薬品・医薬部外品・化粧品・健康食品で何が変わるか

薬機法上、広告規制の直接の対象となる「医薬品等」は医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品とされています。一方で、健康食品を含む食品はこの「医薬品等」には含まれません。ただし食品であっても、医薬品的な効能効果を標榜すると無承認無許可医薬品とみなされうるという別の枠組みが存在します。カテゴリによって「何が言えるか」の前提が大きく異なるため、まず整理しておきます。

区分

効能効果表現の考え方

主な根拠

医薬品

承認された効能・効果の範囲内でのみ表現し得るとされる

薬機法第66条・第68条

医薬部外品

承認された効能効果の範囲内でのみ表現し得るとされる

薬機法第66条・医薬品等適正広告基準

化粧品

「化粧品の効能の範囲」として示された56項目の範囲内であれば、一般に表現し得るとされる

化粧品の効能の範囲の改正について(平成23年7月21日薬食発0721第1号)

健康食品(食品)

医薬品的な効能効果はそもそも標榜できないという整理が一般的で、標榜すると無承認無許可医薬品とみなされうる

無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日薬発第476号、その後複数回改正)

化粧品の56項目には、「皮膚にうるおいを与える」「肌をひきしめる」「肌にはりを与える」「日やけを防ぐ」「乾燥による小ジワを目立たなくする」などが含まれるとされています。逆にこの範囲を超える「シミが消える」「シワがなくなる」といった表現は、化粧品の効能効果としては認められていないと考えられます。なお、機能性表示食品・特定保健用食品(トクホ)・栄養機能食品といった保健機能食品制度は、食品表示法に基づき消費者庁が所管する別の制度です。これらは届出または許可を受けた範囲内で例外的に機能性の表示が認められますが、制度の詳細や個別表示の可否は消費者庁側の資料で確認する必要があるため、本記事では薬機法の観点からの整理にとどめます。

医薬部外品と化粧品は、どちらも似た用途で使われることが多い区分ですが、位置づけは異なります。医薬部外品は製品ごとに承認を受けた効能効果の範囲内でのみ表現できるとされ、承認内容は製品ごとに異なります。一方、化粧品は個別製品ごとの承認を要さず、56項目という共通の範囲内であれば表現できるとされる点が実務上の大きな違いです。自社製品がどちらの区分にあたるかを取り違えると、表現できる範囲の前提から誤ることになるため、まず区分の確認が出発点になります。

カテゴリ別に見る、問題になりやすい表現と言い換えの方向性

ここからは、実務で相談が多い6つの切り口について、問題になりやすい表現例・なぜ問題になりやすいか・言い換えの方向性を整理します。言い換え例はいずれも「これを書けば適法」という保証ではなく、事実の範囲にとどめる考え方の一例です。実際の表現が適正かどうかは、商品カテゴリ・承認内容・表現の組み合わせ・広告全体の印象によって変わりうるため、最終的な判断は個別に確認する必要があります。

カテゴリ

問題になりやすい表現例

言い換えの方向性(考え方の一例)

①効果効能の断定

「シミが消える」「これを飲めば血糖値が下がる」

承認された効能効果や化粧品56項目の範囲内で、事実の範囲にとどめる考え方

②安全性の保証

「副作用は一切ありません」「絶対に安全です」

安全性を断定せず、用法や注意事項とあわせて伝える考え方

③最大級表現

「業界No.1の効果」「日本一売れている効果実感」

客観的根拠を示せる範囲の比較にとどめ、効果の程度を断定しない考え方

④ビフォーアフター

効果を保証するかのような写真比較と断定的なコピーの組み合わせ

個人差がある旨を明記し、誇大な演出を避ける考え方

⑤体験談の扱い

「このサプリで持病が良くなった」(個人の感想として記載)

効果効能に触れず、使用感や購入理由など事実の範囲に限定する考え方

⑥健康食品の効能標榜

「飲むだけで痩せる」「血圧を下げる」

栄養成分の一般的な役割の説明にとどめ、医薬品的な効能効果を標榜しない考え方

①効果効能の断定

「シミが消える」「肌が生まれ変わる」「これを飲めば治る」といった、結果を断定する表現です。医薬品等適正広告基準は虚偽・誇大なおそれのある広告を禁止しており、承認された効能効果の範囲や、化粧品であれば56項目の範囲を超えて結果を断定する表現は、不適正と判断されるおそれがあるとされています。言い換えの方向性としては、承認された効能効果や56項目の範囲内の表現(「肌を整える」「うるおいを与える」など)にとどめ、個人差がある旨を併記する考え方が一般的です。このカテゴリでは、実際に効果を感じたユーザーが一定数いたとしても、承認や56項目の範囲を超えて断定的に表現すること自体が問題になりうるとされている点に注意が必要です。

②安全性の保証

「副作用は一切ありません」「どなたでも安全に使えます」など、安全性を保証する表現です。薬機法第66条2項は、医師等が保証したと誤解されるおそれのある表現も規制の対象としており、医薬品等適正広告基準が求める「虚偽・誇大にわたらない」という原則に照らしても、安全性を無条件に保証する書き方は不適正と判断されるおそれがあるとされています。用法・用量や使用上の注意とあわせて説明し、安全性そのものを断定しない書き方が言い換えの方向性になります。特に医薬品的な作用が期待される商品ほど安全性に関する断定は慎重に扱う必要があるとされ、持病がある方や妊娠中の方への影響など個別の注意喚起を欠いた「誰にでも安全」という書き方はリスクが高いと考えられます。

③最大級表現

「業界No.1」「最高の効果」「日本一の実感度」といった最大級表現です。医薬品等適正広告基準が禁止する「虚偽・誇大なおそれのある広告」の一類型として、客観的な裏付けのない最大級表現も含まれると解されるのが一般的です。第三者機関の調査結果など裏付けとなる根拠を示せる場合であっても根拠の範囲を超えて誇張しないこと、根拠を示せない場合はそもそも最大級表現を避けることが言い換えの方向性です。「効果を実感した人が多い」という趣旨の表現であっても、実感の程度を最大級的な言葉で強調すると同様の問題が生じうるため、根拠の有無にかかわらず表現のトーン自体を見直す視点が有効です。

④ビフォーアフター表現

使用前後の写真を並べ、断定的なコピーを添える表現です。視覚的な比較は効果を保証するかのような印象を与えやすく、医薬品等適正広告基準が求める「誇大にわたらない」という原則との関係で、不適正と判断されるおそれがあるとされています。言い換えの方向性としては、個人差がある旨を明記する、承認された効能効果や56項目の範囲を超える見た目の変化を示さない、といった配慮が考えられます。撮影条件やライティング、加工の有無によって見え方が大きく変わるため、演出の意図がなくても誇大な印象を与えてしまう場合がある点も実務上の留意点です。

⑤体験談・口コミの扱い

「このサプリで持病が良くなった」「シミが薄くなった気がする」といった、個人の感想を装った体験談です。前述の3要件(顧客誘引性・特定性・認知性)を満たせば、個人の投稿であっても「広告」に該当しうると整理されているため、「個人の感想です」という注記があっても、効果効能を含む体験談自体が規制の対象になりうると考えられます。言い換えの方向性としては、効果効能に触れず、使用感や購入理由など事実の範囲にとどめる考え方が挙げられます。なお、対価を受けて投稿する場合は、薬機法上の広告規制に加えてステルスマーケティング規制の対象にもなりうるとされており、この点はステマ規制の実務ポイントの解説もあわせて確認しておくと理解しやすくなります。UGC・体験談の集め方や活用方法の全体像はUGCマーケティングの解説記事で整理しています。

⑥健康食品・サプリメントの効能標榜

「飲むだけで痩せる」「血糖値を下げる」「疲労がすぐ回復する」など、食品に医薬品的な効能効果を標榜する表現です。厚生労働省の通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日薬発第476号、その後複数回改正)では、成分本質(原材料)、効能効果の標榜、医薬品的な形状、用法用量の詳細な記載という観点から、食品と医薬品を区別する考え方が示されています。特に、疾病の治療・予防を目的とする効能効果や、身体の組織機能の増強を主な目的とする効能効果(「疲労回復」「強精強壮」など)を標榜すると、医薬品的な効能効果の標榜とみなされるおそれがあるとされています。健康食品はそもそも医薬品的な効能効果を標榜できないという整理が前提になるため、言い換えの方向性としては栄養成分の一般的な役割の説明にとどめることが基本になります。機能性表示食品の届出表示を活用する場合も、届出内容の範囲から表現が逸脱すると評価が変わりうるため、コピーの管理には別途注意が必要です。

違反した場合どうなるか(行政指導・措置命令・課徴金・刑事罰)

薬機法の広告規制に違反した場合、いきなり刑事罰が科されるわけではなく、段階を踏んだ対応が想定されています。まず都道府県等による調査を経て行政指導が行われ、是正が求められます。厚生労働省の資料によれば、2021年(令和3年)8月1日の法改正により、それまで承認前広告違反(第68条)のみを対象としていた中止命令について、虚偽・誇大広告違反(第66条)も対象に追加し、「措置命令」として拡充したとされています。

同じ2021年8月1日から、虚偽・誇大な広告を行った事業者等に対して課徴金の納付を命じることができる制度も導入されました。課徴金は、違反行為をしていた期間中の売上等をもとに算定される仕組みとされています。厚生労働省が公表した資料によれば、令和4年度に実施された調査において8割以上の企業がこの課徴金制度を不適切な広告の抑止力として認識していると回答した一方、同資料(令和6年7月時点)では課徴金制度が実際に適用された事案は確認されていないとされています。行政指導や措置命令に従わない、あるいは違反が悪質と判断される場合には、告発を経て刑事手続に移ることもあります。刑事罰としては、第66条(第1項・第3項)または第68条への違反について2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金(またはこれらの併科)、第67条への違反について1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金(またはこれらの併科)が定められているとされています(2025年6月施行の刑法改正により、従来の「懲役」は「拘禁刑」に一本化されています。改正前の資料では「懲役」と表記されている場合があります)。

なお、薬機法の広告規制と景品表示法の優良誤認表示規制は別の法律ですが、同じ広告表現が両方の規制に抵触しうる点には注意が必要です。景品表示法側の実務ポイントは景品表示法ガイドラインの実務解説で整理しています。

広告出稿前のチェック体制をどう作るか

薬機法に関連しやすい表現を人力の目視確認だけで洗い出そうとすると、担当者の知識量や確認漏れに品質が左右されやすくなります。実務では、過去の指摘事例やNGになりやすい表現のパターンをチェックリスト化し、出稿前に機械的な一次確認をかけたうえで、最終的な適否判断は社内の確認体制や専門家への相談と組み合わせる、という二段構えの運用が広がりつつあります。Cascadeのような広告運用を支援するツールの中には、広告文に薬機法上問題になりやすい表現が含まれていないかを出稿前に確認できる機能を備えたものもあり、こうした一次確認の負荷を下げる手段の一つとして活用されています。最終的な適法性の判断そのものを代替するものではないため、専門家によるレビューと組み合わせて運用することが前提になります。

よくある質問

「薬事法」と「薬機法」は同じ法律ですか?

同じ法律です。2014年(平成26年)11月25日の改正法施行により、それまでの「薬事法」という題名が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:薬機法)に変更されました。規制の内容自体が名称変更で大きく変わったわけではないため、古い資料やページで「薬事法」という表記を見かけても、現行の薬機法の話として読み替えて差し支えないことが一般的です。社内の古いガイドラインやマニュアルに「薬事法」という表記が残っている場合も、内容自体を作り直す必要は基本的になく、名称の注記を加える程度の対応で足りると考えられます。

「個人の感想です」と書けば効果効能を書いても問題ありませんか?

そう言い切ることはできません。広告該当性の3要件(顧客誘引性・特定性・認知性)を満たせば、個人の投稿であっても「広告」に該当しうると整理されているため、「個人の感想です」という注記があっても、効果効能を含む体験談自体が規制の対象になりうると考えられます。

化粧品ならどんな表現でも使えますか?

そうではありません。化粧品が表現できる効能効果は、「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日薬食発0721第1号)で示された56項目の範囲内にとどまるとされています。「うるおいを与える」「肌を整える」といった表現はこの範囲内とされますが、「シミが消える」のように医薬品的な効果を断定する表現は、この範囲を超えるため認められていないと考えられます。

健康食品やサプリメントで「効く」と書くとどうなりますか?

食品は医薬品ではないため、そもそも医薬品的な効能効果を標榜できないという整理が一般的です。「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日薬発第476号)の考え方に照らすと、疾病の治療・予防や身体機能の増強を目的とする効能効果を標榜すると、無承認無許可医薬品とみなされ、薬機法第68条等の規制対象になるおそれがあるとされています。

薬機法に違反すると、すぐに罰則を受けますか?

多くの場合、調査・行政指導による是正の機会を経てから、措置命令や課徴金納付命令といった行政上の対応に進み、悪質なケースでは告発を経て刑事罰に至るという段階を踏むとされています。ただし違反の内容や態様によって対応の進み方は異なるため、行政指導の段階から真摯に対応することが望ましいと考えられます。指摘を受けてから慌てて表現を修正するよりも、出稿前の段階で問題になりやすい表現を洗い出しておくほうが、事業への影響は小さく済むと考えられます。

美容クリニックの広告も薬機法の対象になりますか?

医療機関自体の広告は、医療法に基づく医療広告ガイドライン(平成30年5月8日医政発0508第1号)の対象になります。一方でクリニックが扱う医薬品・医薬部外品・化粧品の効能効果に関する表現は、薬機法の対象にもなりうるため、両方の規制を踏まえて確認する必要があるとされています。美容医療の広告表現については美容医療広告の解説記事でも整理しています。

一次資料・参考リンク

本記事は一般的な情報提供であり法的助言ではありません。個別の判断は専門家や所管窓口にご相談ください。(参照日: 2026年7月)

薬機法は、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といい、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の広告表現を規制する法律です。2014年(平成26年)11月25日の法改正で、それまでの「薬事法」という名称からこの現行名称に変更されました。今も「薬事法 広告」で検索する方が多いのはこのためで、名称変更の前後で広告規制の骨格自体が大きく変わったわけではないとされています。

広告表現がここまで細かく規制されるのは、誇大な効果効能の訴求が消費者の健康被害や治療機会の逸失に直結しうるためです。この記事では、厚生労働省が公表している通知等を確認しながら、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「健康食品(食品)」というカテゴリごとに、問題になりやすい表現と言い換えの方向性を整理します。「この表現なら絶対に安全」という保証はできません。あくまで一般的な考え方の整理としてお使いください。

薬機法(旧薬事法)とは何か

薬機法(昭和35年法律第145号)は、医薬品等の品質・有効性・安全性を確保するための法律で、広告に関する規制は主に第66条・第67条・第68条に定められています。厚生労働省の資料によれば、第66条は医薬品等の名称・製造方法・効能効果・性能について虚偽または誇大な広告等を禁止し、医師等が保証したと誤解されるおそれのある表現も同様に規制の対象とされています。第67条はがん・肉腫・白血病など特定疾病用の医薬品について医薬関係者以外の一般人向け広告を制限するとされ、第68条は承認・認証を受けていない医薬品等について、名称や効能効果に関する広告そのものを禁止するとされています。

薬機法第66条は「何人も」という主語で規制対象を定めているとされ、広告主である製造販売業者だけでなく、広告制作を担う代理店、インフルエンサーやアフィリエイター、個人のSNS投稿者まで広く規制の対象になりうるという整理が一般的です。「発注した広告代理店の責任」「投稿した個人の責任」といった役割分担とは別に、内容そのものが虚偽・誇大にあたるかどうかが問われる点に留意が必要です。

これらの条文を受けて、広告表現の具体的な基準を示しているのが「医薬品等適正広告基準」(平成29年9月29日薬生発0929第4号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)です。同基準は、医薬品等の広告が虚偽・誇大にわたらないようにし、その適正化を図ることを目的とし、広告を行う者には使用者が医薬品等を適正に使用できるよう正確な情報伝達に努める責務があるとしています。主な基準として、医薬品等の品位の保持、虚偽・誇大なおそれのある広告の禁止、過量消費や乱用助長を促すおそれのある広告の禁止、医療用医薬品等の一般人向け広告の禁止、他社製品を誹謗する広告の制限、医薬関係者等による推せん表現の禁止などが示されています。

「広告」に該当するかどうかの3要件

薬機法の広告規制は、企業の公式広告だけを対象にしているわけではありません。厚生省(当時)の通知(平成10年9月29日医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知)では、次の3つの要件をすべて満たす場合に「広告」に該当すると整理されています。

  • 顧客を誘引する意図(顧客の購入意欲を昂進させる意図)が明確であること

  • 特定の医薬品等の商品名が明らかにされていること

  • 一般人が認知できる状態にあること

この3要件は、企業の公式サイトやパンフレットだけでなく、ブログ・SNS投稿・アフィリエイトサイトなど、一般人が閲覧できる媒体であれば広く当てはまり得ると考えられます。したがって、個人の投稿であることや無報酬であることをもって、当然に規制対象外になるとは限らないという整理が一般的です。

医薬品・医薬部外品・化粧品・健康食品で何が変わるか

薬機法上、広告規制の直接の対象となる「医薬品等」は医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品とされています。一方で、健康食品を含む食品はこの「医薬品等」には含まれません。ただし食品であっても、医薬品的な効能効果を標榜すると無承認無許可医薬品とみなされうるという別の枠組みが存在します。カテゴリによって「何が言えるか」の前提が大きく異なるため、まず整理しておきます。

区分

効能効果表現の考え方

主な根拠

医薬品

承認された効能・効果の範囲内でのみ表現し得るとされる

薬機法第66条・第68条

医薬部外品

承認された効能効果の範囲内でのみ表現し得るとされる

薬機法第66条・医薬品等適正広告基準

化粧品

「化粧品の効能の範囲」として示された56項目の範囲内であれば、一般に表現し得るとされる

化粧品の効能の範囲の改正について(平成23年7月21日薬食発0721第1号)

健康食品(食品)

医薬品的な効能効果はそもそも標榜できないという整理が一般的で、標榜すると無承認無許可医薬品とみなされうる

無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年6月1日薬発第476号、その後複数回改正)

化粧品の56項目には、「皮膚にうるおいを与える」「肌をひきしめる」「肌にはりを与える」「日やけを防ぐ」「乾燥による小ジワを目立たなくする」などが含まれるとされています。逆にこの範囲を超える「シミが消える」「シワがなくなる」といった表現は、化粧品の効能効果としては認められていないと考えられます。なお、機能性表示食品・特定保健用食品(トクホ)・栄養機能食品といった保健機能食品制度は、食品表示法に基づき消費者庁が所管する別の制度です。これらは届出または許可を受けた範囲内で例外的に機能性の表示が認められますが、制度の詳細や個別表示の可否は消費者庁側の資料で確認する必要があるため、本記事では薬機法の観点からの整理にとどめます。

医薬部外品と化粧品は、どちらも似た用途で使われることが多い区分ですが、位置づけは異なります。医薬部外品は製品ごとに承認を受けた効能効果の範囲内でのみ表現できるとされ、承認内容は製品ごとに異なります。一方、化粧品は個別製品ごとの承認を要さず、56項目という共通の範囲内であれば表現できるとされる点が実務上の大きな違いです。自社製品がどちらの区分にあたるかを取り違えると、表現できる範囲の前提から誤ることになるため、まず区分の確認が出発点になります。

カテゴリ別に見る、問題になりやすい表現と言い換えの方向性

ここからは、実務で相談が多い6つの切り口について、問題になりやすい表現例・なぜ問題になりやすいか・言い換えの方向性を整理します。言い換え例はいずれも「これを書けば適法」という保証ではなく、事実の範囲にとどめる考え方の一例です。実際の表現が適正かどうかは、商品カテゴリ・承認内容・表現の組み合わせ・広告全体の印象によって変わりうるため、最終的な判断は個別に確認する必要があります。

カテゴリ

問題になりやすい表現例

言い換えの方向性(考え方の一例)

①効果効能の断定

「シミが消える」「これを飲めば血糖値が下がる」

承認された効能効果や化粧品56項目の範囲内で、事実の範囲にとどめる考え方

②安全性の保証

「副作用は一切ありません」「絶対に安全です」

安全性を断定せず、用法や注意事項とあわせて伝える考え方

③最大級表現

「業界No.1の効果」「日本一売れている効果実感」

客観的根拠を示せる範囲の比較にとどめ、効果の程度を断定しない考え方

④ビフォーアフター

効果を保証するかのような写真比較と断定的なコピーの組み合わせ

個人差がある旨を明記し、誇大な演出を避ける考え方

⑤体験談の扱い

「このサプリで持病が良くなった」(個人の感想として記載)

効果効能に触れず、使用感や購入理由など事実の範囲に限定する考え方

⑥健康食品の効能標榜

「飲むだけで痩せる」「血圧を下げる」

栄養成分の一般的な役割の説明にとどめ、医薬品的な効能効果を標榜しない考え方

①効果効能の断定

「シミが消える」「肌が生まれ変わる」「これを飲めば治る」といった、結果を断定する表現です。医薬品等適正広告基準は虚偽・誇大なおそれのある広告を禁止しており、承認された効能効果の範囲や、化粧品であれば56項目の範囲を超えて結果を断定する表現は、不適正と判断されるおそれがあるとされています。言い換えの方向性としては、承認された効能効果や56項目の範囲内の表現(「肌を整える」「うるおいを与える」など)にとどめ、個人差がある旨を併記する考え方が一般的です。このカテゴリでは、実際に効果を感じたユーザーが一定数いたとしても、承認や56項目の範囲を超えて断定的に表現すること自体が問題になりうるとされている点に注意が必要です。

②安全性の保証

「副作用は一切ありません」「どなたでも安全に使えます」など、安全性を保証する表現です。薬機法第66条2項は、医師等が保証したと誤解されるおそれのある表現も規制の対象としており、医薬品等適正広告基準が求める「虚偽・誇大にわたらない」という原則に照らしても、安全性を無条件に保証する書き方は不適正と判断されるおそれがあるとされています。用法・用量や使用上の注意とあわせて説明し、安全性そのものを断定しない書き方が言い換えの方向性になります。特に医薬品的な作用が期待される商品ほど安全性に関する断定は慎重に扱う必要があるとされ、持病がある方や妊娠中の方への影響など個別の注意喚起を欠いた「誰にでも安全」という書き方はリスクが高いと考えられます。

③最大級表現

「業界No.1」「最高の効果」「日本一の実感度」といった最大級表現です。医薬品等適正広告基準が禁止する「虚偽・誇大なおそれのある広告」の一類型として、客観的な裏付けのない最大級表現も含まれると解されるのが一般的です。第三者機関の調査結果など裏付けとなる根拠を示せる場合であっても根拠の範囲を超えて誇張しないこと、根拠を示せない場合はそもそも最大級表現を避けることが言い換えの方向性です。「効果を実感した人が多い」という趣旨の表現であっても、実感の程度を最大級的な言葉で強調すると同様の問題が生じうるため、根拠の有無にかかわらず表現のトーン自体を見直す視点が有効です。

④ビフォーアフター表現

使用前後の写真を並べ、断定的なコピーを添える表現です。視覚的な比較は効果を保証するかのような印象を与えやすく、医薬品等適正広告基準が求める「誇大にわたらない」という原則との関係で、不適正と判断されるおそれがあるとされています。言い換えの方向性としては、個人差がある旨を明記する、承認された効能効果や56項目の範囲を超える見た目の変化を示さない、といった配慮が考えられます。撮影条件やライティング、加工の有無によって見え方が大きく変わるため、演出の意図がなくても誇大な印象を与えてしまう場合がある点も実務上の留意点です。

⑤体験談・口コミの扱い

「このサプリで持病が良くなった」「シミが薄くなった気がする」といった、個人の感想を装った体験談です。前述の3要件(顧客誘引性・特定性・認知性)を満たせば、個人の投稿であっても「広告」に該当しうると整理されているため、「個人の感想です」という注記があっても、効果効能を含む体験談自体が規制の対象になりうると考えられます。言い換えの方向性としては、効果効能に触れず、使用感や購入理由など事実の範囲にとどめる考え方が挙げられます。なお、対価を受けて投稿する場合は、薬機法上の広告規制に加えてステルスマーケティング規制の対象にもなりうるとされており、この点はステマ規制の実務ポイントの解説もあわせて確認しておくと理解しやすくなります。UGC・体験談の集め方や活用方法の全体像はUGCマーケティングの解説記事で整理しています。

⑥健康食品・サプリメントの効能標榜

「飲むだけで痩せる」「血糖値を下げる」「疲労がすぐ回復する」など、食品に医薬品的な効能効果を標榜する表現です。厚生労働省の通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日薬発第476号、その後複数回改正)では、成分本質(原材料)、効能効果の標榜、医薬品的な形状、用法用量の詳細な記載という観点から、食品と医薬品を区別する考え方が示されています。特に、疾病の治療・予防を目的とする効能効果や、身体の組織機能の増強を主な目的とする効能効果(「疲労回復」「強精強壮」など)を標榜すると、医薬品的な効能効果の標榜とみなされるおそれがあるとされています。健康食品はそもそも医薬品的な効能効果を標榜できないという整理が前提になるため、言い換えの方向性としては栄養成分の一般的な役割の説明にとどめることが基本になります。機能性表示食品の届出表示を活用する場合も、届出内容の範囲から表現が逸脱すると評価が変わりうるため、コピーの管理には別途注意が必要です。

違反した場合どうなるか(行政指導・措置命令・課徴金・刑事罰)

薬機法の広告規制に違反した場合、いきなり刑事罰が科されるわけではなく、段階を踏んだ対応が想定されています。まず都道府県等による調査を経て行政指導が行われ、是正が求められます。厚生労働省の資料によれば、2021年(令和3年)8月1日の法改正により、それまで承認前広告違反(第68条)のみを対象としていた中止命令について、虚偽・誇大広告違反(第66条)も対象に追加し、「措置命令」として拡充したとされています。

同じ2021年8月1日から、虚偽・誇大な広告を行った事業者等に対して課徴金の納付を命じることができる制度も導入されました。課徴金は、違反行為をしていた期間中の売上等をもとに算定される仕組みとされています。厚生労働省が公表した資料によれば、令和4年度に実施された調査において8割以上の企業がこの課徴金制度を不適切な広告の抑止力として認識していると回答した一方、同資料(令和6年7月時点)では課徴金制度が実際に適用された事案は確認されていないとされています。行政指導や措置命令に従わない、あるいは違反が悪質と判断される場合には、告発を経て刑事手続に移ることもあります。刑事罰としては、第66条(第1項・第3項)または第68条への違反について2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金(またはこれらの併科)、第67条への違反について1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金(またはこれらの併科)が定められているとされています(2025年6月施行の刑法改正により、従来の「懲役」は「拘禁刑」に一本化されています。改正前の資料では「懲役」と表記されている場合があります)。

なお、薬機法の広告規制と景品表示法の優良誤認表示規制は別の法律ですが、同じ広告表現が両方の規制に抵触しうる点には注意が必要です。景品表示法側の実務ポイントは景品表示法ガイドラインの実務解説で整理しています。

広告出稿前のチェック体制をどう作るか

薬機法に関連しやすい表現を人力の目視確認だけで洗い出そうとすると、担当者の知識量や確認漏れに品質が左右されやすくなります。実務では、過去の指摘事例やNGになりやすい表現のパターンをチェックリスト化し、出稿前に機械的な一次確認をかけたうえで、最終的な適否判断は社内の確認体制や専門家への相談と組み合わせる、という二段構えの運用が広がりつつあります。Cascadeのような広告運用を支援するツールの中には、広告文に薬機法上問題になりやすい表現が含まれていないかを出稿前に確認できる機能を備えたものもあり、こうした一次確認の負荷を下げる手段の一つとして活用されています。最終的な適法性の判断そのものを代替するものではないため、専門家によるレビューと組み合わせて運用することが前提になります。

よくある質問

「薬事法」と「薬機法」は同じ法律ですか?

同じ法律です。2014年(平成26年)11月25日の改正法施行により、それまでの「薬事法」という題名が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:薬機法)に変更されました。規制の内容自体が名称変更で大きく変わったわけではないため、古い資料やページで「薬事法」という表記を見かけても、現行の薬機法の話として読み替えて差し支えないことが一般的です。社内の古いガイドラインやマニュアルに「薬事法」という表記が残っている場合も、内容自体を作り直す必要は基本的になく、名称の注記を加える程度の対応で足りると考えられます。

「個人の感想です」と書けば効果効能を書いても問題ありませんか?

そう言い切ることはできません。広告該当性の3要件(顧客誘引性・特定性・認知性)を満たせば、個人の投稿であっても「広告」に該当しうると整理されているため、「個人の感想です」という注記があっても、効果効能を含む体験談自体が規制の対象になりうると考えられます。

化粧品ならどんな表現でも使えますか?

そうではありません。化粧品が表現できる効能効果は、「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日薬食発0721第1号)で示された56項目の範囲内にとどまるとされています。「うるおいを与える」「肌を整える」といった表現はこの範囲内とされますが、「シミが消える」のように医薬品的な効果を断定する表現は、この範囲を超えるため認められていないと考えられます。

健康食品やサプリメントで「効く」と書くとどうなりますか?

食品は医薬品ではないため、そもそも医薬品的な効能効果を標榜できないという整理が一般的です。「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(昭和46年6月1日薬発第476号)の考え方に照らすと、疾病の治療・予防や身体機能の増強を目的とする効能効果を標榜すると、無承認無許可医薬品とみなされ、薬機法第68条等の規制対象になるおそれがあるとされています。

薬機法に違反すると、すぐに罰則を受けますか?

多くの場合、調査・行政指導による是正の機会を経てから、措置命令や課徴金納付命令といった行政上の対応に進み、悪質なケースでは告発を経て刑事罰に至るという段階を踏むとされています。ただし違反の内容や態様によって対応の進み方は異なるため、行政指導の段階から真摯に対応することが望ましいと考えられます。指摘を受けてから慌てて表現を修正するよりも、出稿前の段階で問題になりやすい表現を洗い出しておくほうが、事業への影響は小さく済むと考えられます。

美容クリニックの広告も薬機法の対象になりますか?

医療機関自体の広告は、医療法に基づく医療広告ガイドライン(平成30年5月8日医政発0508第1号)の対象になります。一方でクリニックが扱う医薬品・医薬部外品・化粧品の効能効果に関する表現は、薬機法の対象にもなりうるため、両方の規制を踏まえて確認する必要があるとされています。美容医療の広告表現については美容医療広告の解説記事でも整理しています。

一次資料・参考リンク

本記事は一般的な情報提供であり法的助言ではありません。個別の判断は専門家や所管窓口にご相談ください。(参照日: 2026年7月)

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