AISASとは|デジタル時代の購買行動モデルと広告設計への活かし方

AISASとは|デジタル時代の購買行動モデルと広告設計への活かし方

AISASとは|デジタル時代の購買行動モデルと広告設計への活かし方

AISASモデルは、インターネット普及後の購買行動を5段階(注意→興味→検索→行動→共有)で表現した消費者行動モデルだ。従来のAIDMAモデルが「欲求→記憶」の段階を想定していたのに対し、AISASは「検索→共有」に変わったことで、デジタル時代の実際の消費者行動により適合している。月額広告費20万円以上の企業であれば、このモデルに基づいた広告戦略設計により、平均して15-25%のCVR改善が期待できる。

AISASモデルとは|デジタル時代の購買行動理論

AISASモデルは、電通が2004年に提唱した購買行動モデルで、インターネットの普及によって変化した消費者の意思決定プロセスを体系化したフレームワークだ。

AISASは以下の5段階で構成される:

  • Attention(注意):広告や口コミで商品・サービスを認知する

  • Interest(興味):商品・サービスに関心を持つ

  • Search(検索):インターネットで詳細情報を調べる

  • Action(行動):購入・申込などのアクションを起こす

  • Share(共有):SNSやレビューサイトで体験を共有する

このモデルの最大の特徴は、従来のAIDMAモデルの「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」が「Search(検索)」「Share(共有)」に置き換わった点だ。これは、消費者がいつでも情報を検索でき、購入後も継続的に情報発信する現代の行動パターンを反映している。

AISASモデルの購買行動5段階。従来のAIDMAと異なり、「検索」と「共有」が組み込まれ、デジタル時代の消費者行動をより正確に表現している。

AISASモデルの購買行動5段階。従来のAIDMAと異なり、「検索」と「共有」が組み込まれ、デジタル時代の消費者行動をより正確に表現している。

AIDMAからAISASへの変化|時代背景と消費者行動の変遷

AIDMAからAISASへの変化は、インターネット普及による消費者の情報収集・共有行動の根本的な変化を反映している。

情報アクセシビリティの変化

従来のAIDMAモデルが想定していた時代では、消費者は限られた情報源(テレビCM、新聞広告、店頭)から情報を得ていた。そのため、「Desire(欲求)」と「Memory(記憶)」の段階が重要だった。購入機会まで時間があるため、商品への欲求を高め、記憶にとどめておく必要があったからだ。

一方、インターネット普及後は、消費者がいつでも詳細情報にアクセスできるように。総務省の「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、商品購入前にオンライン検索を行う消費者は全年代平均で84.7%に達している。

購入後行動の変化

AISASモデルのもう一つの重要な変化は「Share(共有)」の追加だ。SNSやレビューサイトの普及により、消費者は購入体験を積極的に共有するように。この共有行動は、次の購買サイクルの「Attention」段階に影響を与える循環構造を生み出している。

実際、2024年のアライドアーキテクツ調査では、商品購入時にSNSの口コミを参考にする消費者が全体の71.2%を占めた。この数値は5年前の2019年調査(52.8%)から18.4ポイント上昇している。

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AIDMAの活用|購買行動モデルから広告クリエイティブを設計する

従来のAIDMAモデルの詳細な解説と、現代の広告運用での活用法を詳しく解説。AISASとの使い分けの判断基準も紹介。

AISASモデルの実践的活用法|広告戦略への落とし込み

AISASモデルを実際の広告運用に活かすには、各段階に応じた施策設計と指標設定が必要だ。

Attention・Interest段階での施策

認知・興味の段階では、ディスプレイ広告・動画広告による幅広いリーチが有効だ。ただし、月額広告費が50万円未満の場合は、認知施策よりも検索広告への集中投下のほうがROIは高くなりやすい。

予算規模

推奨施策

期待指標

配分比率

月50万円未満

検索広告中心

CPA・ROAS

検索80%・ディスプレイ20%

月50-200万円

検索+ディスプレイ

CPA・ブランド検索数

検索60%・ディスプレイ40%

月200万円以上

フルファネル戦略

認知率・購入意向・CPA

検索40%・動画30%・ディスプレイ30%

Search段階での最適化

検索段階は最も重要な収益化ポイントだ。検索広告とSEOの両方で対策する必要がある。特に、ブランド名検索、比較検討キーワード、課題解決キーワードの3カテゴリで戦略を分ける。

  • ブランド名検索:確実に1位表示を維持。CPCは高くても確保する

  • 比較検討キーワード:競合比較コンテンツを充実。LP内で差別化ポイントを明確化

  • 課題解決キーワード:問題解決型のコンテンツでSEO対策。広告は商材理解度に応じた訴求に調整

2024年10月にGoogleが発表した検索行動調査では、B2B購買担当者の平均検索回数は12.3回、検討期間は平均67日間という結果が出ている。この長期検討プロセスを前提とした継続的なアプローチ設計が重要だ。

Action段階での最適化

行動段階では、LPO(ランディングページ最適化)とフォーム最適化が直接的な効果をもたらす。特に、検索段階で得た情報と行動段階での情報に一貫性があるかが重要だ。

Share段階の活用

共有段階は多くの企業が見落としがちだが、次の購買サイクルに大きく影響する。購入者向けのレビュー投稿促進、SNSシェア機能の充実、アフターフォローメールでの体験共有依頼などが有効だ。

AISASモデル活用時のよくある失敗とその対策

AISASモデルを広告戦略に取り入れる際、実務者が陥りがちな失敗パターンがある。

1. 全段階を同時に実行しようとする失敗

最もよくある失敗は、5段階すべてに同時に施策を展開しようとすることだ。特に予算が限られている企業では、施策が分散してしまい、どの段階でも十分な効果が出なくなる。

月額広告費100万円未満の企業では、Search・Action段階に80%以上のリソースを集中させ、成果が安定してからAttention・Interest段階に拡張するほうが成功確率は高い。

2. 検索段階の軽視

認知施策(動画広告・ディスプレイ広告)に予算を偏重し、検索段階での受け皿が不十分になるケースも多い。認知施策で興味を持った消費者が検索しても、自社の情報にたどり着けなければ投資が無駄になる。

運用の現場では、認知広告でブランド検索数が伸びても、検索結果ページでの自社情報整備が不十分だと CV 数の伸びが鈍るケースが多い。「認知 → 検索 → 受け皿」の連鎖のうち、受け皿(LP・SEO 記事・指名検索広告)の整備が後手に回ると、認知投資の回収率が下がる。

3. Share段階の測定不備

共有段階の効果測定ができていない企業が多い。SNSシェア数、口コミ投稿数、紹介経由の新規顧客数などの指標を設定せず、投資対効果を判断できない状態で施策を続けてしまう。

よくある失敗

具体的な問題

対策

期待効果

全段階同時実行

予算分散・効果薄

重要段階への集中投下

CPA20-30%改善

検索段階軽視

認知後の取りこぼし

検索広告・SEO強化

CVR15-25%向上

Share測定不備

効果検証不可

共有指標の設定

長期LTV向上

業界・商材別のAISASモデル適用パターン

AISASモデルの有効性は業界や商材特性によって変わる。実務では画一的に適用するのではなく、ビジネスモデルに応じた調整が必要だ。

高関与商材(不動産・自動車・BtoBサービス)

検討期間が長い商材では、Search段階が特に重要になる。消費者は複数回にわたって情報収集を行うため、検索段階での情報提供の質と量が購入決定を左右する。

不動産業界の事例では、2024年に大手不動産仲介会社が検索対応を強化した結果、問い合わせから成約までの期間が平均45日から32日に短縮された。具体的には、物件詳細ページの情報量を3倍に増やし、エリア情報・学校区・交通利便性などの検索ニーズに対応したコンテンツを充実させた効果だ。

低関与商材(日用品・食品・アパレル)

日常的に購入する商材では、AttentionからActionまでの期間が短く、衝動的な購入が多い。そのため、検索段階よりもAttention・Interest段階での印象形成が重要だ。

ただし、ECサイトで購入する場合は、店頭購入と比べて検索行動が発生しやすい。商品名検索、ブランド名検索への対策は低関与商材でも必須だ。

サブスクリプション・SaaS

継続課金モデルでは、Share段階が次の顧客獲得に直結するため、特に重要になる。既存顧客の満足度向上とレビュー・口コミ促進が新規顧客獲得コストの削減につながる。

SaaS業界のベンチマークを見ると、口コミ経由の顧客のLTVは広告経由より平均42%高く、解約率も23%低いという調査結果がある(2024年のSaaS Capital調査)。

商材タイプ別のAISAS各段階の重要度。高関与商材は検索段階、低関与商材は注意・興味段階、SaaSは共有段階が特に重要になる傾向がある。

商材タイプ別のAISAS各段階の重要度。高関与商材は検索段階、低関与商材は注意・興味段階、SaaSは共有段階が特に重要になる傾向がある。

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LTV(顧客生涯価値)の計算式と改善|広告運用に活かす考え方

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AISASモデルに基づく効果測定とKPI設計

AISASモデルを実際の広告運用で活用するには、各段階に応じた適切なKPIの設定が不可欠だ。

段階別のKPI設計

従来の最終CV数・CPAだけでは、各段階の効果を正確に測定できない。段階別に中間指標を設定し、施策の改善ポイントを特定する必要がある。

AISAS段階

主要KPI

補助指標

計測ツール

Attention

リーチ数・インプレッション

ブランド認知率・想起率

Google広告・Meta広告

Interest

クリック率・動画視聴率

エンゲージメント率・保存数

各媒体の管理画面

Search

ブランド検索数・指名検索CV

検索ランキング・検索ボリューム

Google Analytics・Search Console

Action

CV数・CPA・ROAS

LPのCVR・フォーム完了率

GA4・各媒体のCV計測

Share

シェア数・レビュー投稿数

口コミ経由CV・NPS

SNS分析ツール・レビューサイト

計測で注意すべきポイント

AISASモデルの各段階は独立しているわけではなく、相互に影響し合う。特に、Attention段階の施策がすぐにActionに結びつかなくても、Search段階での検索行動を促進している可能性がある。

そのため、直接CV以外の間接効果も含めて評価する必要がある。Google Analyticsのアトリビューション分析や、UTMパラメータによる詳細な流入経路の追跡が重要だ。

中長期での効果測定

AISASモデルに基づく施策は、短期的な成果だけでなく、中長期的なブランド資産の構築も含んで評価すべきだ。特に、Share段階の施策は効果が現れるまでに3-6ヶ月程度かかる場合が多い。

月次での施策見直しに加えて、四半期ごとのブランド調査、年次での顧客ロイヤルティ調査も併せて実施することで、AISASモデル活用の真の効果を測定できる。

よくある質問

AISASモデルを初見でもわかるように説明するには?

「ネット時代の買い物の流れ」として説明するのが最も理解しやすい。「CMで気になる商品を知り(注意)、興味を持ったら(興味)、ネットで詳しく調べ(検索)、実際に買って(行動)、SNSで感想をシェアする(共有)」という日常的な行動として例示する。従来のAIDMAと違い「調べる」と「シェアする」が入った点を強調すると伝わりやすい。

AIDMAからAISASになった時代背景は?

インターネットの普及が最大の要因だ。1990年代まで消費者は限られた情報源(TV・新聞・雑誌)から情報を得ていたため、商品への欲求を高めて記憶にとどめる必要があった。しかし2000年代以降、いつでも詳細情報を検索できるようになり、また購入後もSNSで体験を共有する行動が一般化した。電通が2004年にAISASを提唱したのは、この消費者行動の変化を理論化したものだ。

AIDMAとAISASの細かな違いは実務で重要?

実務では非常に重要だ。AIDMAは「記憶に残す」ことを重視するため、インパクトのある広告クリエイティブが有効。一方AISASは「検索される」ことを重視するため、検索キーワード対策とランディングページの充実が必須になる。予算配分も大きく変わり、AISASでは検索広告の比重を高める必要がある。どちらのモデルを使うかで、施策の優先順位が根本的に変わる。

AISASモデルはすべての商材に適用できる?

適用はできるが、商材特性によって各段階の重要度が変わる。高額商品(不動産・自動車)では検索段階が特に重要になり、日用品では注意・興味段階の比重が高くなる。また、店舗購入メインの商材では検索段階の影響が限定的な場合もある。画一的に適用するのではなく、自社商材の購買特性を分析してからモデルを調整することが重要だ。

AISASのShare段階はどう測定すべき?

SNSシェア数、レビューサイトへの投稿数、口コミ経由のCV数を主要指標とする。Google AnalyticsでSNS経由の流入を追跡し、レビューサイトでの言及数をモニタリング。加えて、顧客アンケートで「他者への推奨意向(NPS)」も測定する。これらの指標は効果が現れるまで3-6ヶ月かかるため、中長期での評価が必要。短期的な売上指標だけでは測れない部分を見るのがShare段階の測定のポイントだ。

まとめ

AISASモデルは、デジタル時代の消費者行動を理解し、効果的な広告戦略を設計するための重要なフレームワークだ。従来のAIDMAモデルから「検索」と「共有」の要素が加わったことで、現代の購買行動により適合している。

実務での活用では、全段階を同時に実行するのではなく、予算規模と商材特性に応じて重点段階を絞ることが重要だ。特に月額広告費100万円未満の企業では、Search・Action段階への集中投下から始め、成果が安定してから他の段階に拡張するアプローチが効果的だ。

各段階に応じた適切なKPI設定と中長期での効果測定により、AISASモデルの真の価値を実現できる。消費者の行動変化に対応したマーケティング戦略の構築に、AISASモデルを積極的に活用してほしい。

AISASモデルは、インターネット普及後の購買行動を5段階(注意→興味→検索→行動→共有)で表現した消費者行動モデルだ。従来のAIDMAモデルが「欲求→記憶」の段階を想定していたのに対し、AISASは「検索→共有」に変わったことで、デジタル時代の実際の消費者行動により適合している。月額広告費20万円以上の企業であれば、このモデルに基づいた広告戦略設計により、平均して15-25%のCVR改善が期待できる。

AISASモデルとは|デジタル時代の購買行動理論

AISASモデルは、電通が2004年に提唱した購買行動モデルで、インターネットの普及によって変化した消費者の意思決定プロセスを体系化したフレームワークだ。

AISASは以下の5段階で構成される:

  • Attention(注意):広告や口コミで商品・サービスを認知する

  • Interest(興味):商品・サービスに関心を持つ

  • Search(検索):インターネットで詳細情報を調べる

  • Action(行動):購入・申込などのアクションを起こす

  • Share(共有):SNSやレビューサイトで体験を共有する

このモデルの最大の特徴は、従来のAIDMAモデルの「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」が「Search(検索)」「Share(共有)」に置き換わった点だ。これは、消費者がいつでも情報を検索でき、購入後も継続的に情報発信する現代の行動パターンを反映している。

AISASモデルの購買行動5段階。従来のAIDMAと異なり、「検索」と「共有」が組み込まれ、デジタル時代の消費者行動をより正確に表現している。

AISASモデルの購買行動5段階。従来のAIDMAと異なり、「検索」と「共有」が組み込まれ、デジタル時代の消費者行動をより正確に表現している。

AIDMAからAISASへの変化|時代背景と消費者行動の変遷

AIDMAからAISASへの変化は、インターネット普及による消費者の情報収集・共有行動の根本的な変化を反映している。

情報アクセシビリティの変化

従来のAIDMAモデルが想定していた時代では、消費者は限られた情報源(テレビCM、新聞広告、店頭)から情報を得ていた。そのため、「Desire(欲求)」と「Memory(記憶)」の段階が重要だった。購入機会まで時間があるため、商品への欲求を高め、記憶にとどめておく必要があったからだ。

一方、インターネット普及後は、消費者がいつでも詳細情報にアクセスできるように。総務省の「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、商品購入前にオンライン検索を行う消費者は全年代平均で84.7%に達している。

購入後行動の変化

AISASモデルのもう一つの重要な変化は「Share(共有)」の追加だ。SNSやレビューサイトの普及により、消費者は購入体験を積極的に共有するように。この共有行動は、次の購買サイクルの「Attention」段階に影響を与える循環構造を生み出している。

実際、2024年のアライドアーキテクツ調査では、商品購入時にSNSの口コミを参考にする消費者が全体の71.2%を占めた。この数値は5年前の2019年調査(52.8%)から18.4ポイント上昇している。

あわせて読みたい

AIDMAの活用|購買行動モデルから広告クリエイティブを設計する

従来のAIDMAモデルの詳細な解説と、現代の広告運用での活用法を詳しく解説。AISASとの使い分けの判断基準も紹介。

AISASモデルの実践的活用法|広告戦略への落とし込み

AISASモデルを実際の広告運用に活かすには、各段階に応じた施策設計と指標設定が必要だ。

Attention・Interest段階での施策

認知・興味の段階では、ディスプレイ広告・動画広告による幅広いリーチが有効だ。ただし、月額広告費が50万円未満の場合は、認知施策よりも検索広告への集中投下のほうがROIは高くなりやすい。

予算規模

推奨施策

期待指標

配分比率

月50万円未満

検索広告中心

CPA・ROAS

検索80%・ディスプレイ20%

月50-200万円

検索+ディスプレイ

CPA・ブランド検索数

検索60%・ディスプレイ40%

月200万円以上

フルファネル戦略

認知率・購入意向・CPA

検索40%・動画30%・ディスプレイ30%

Search段階での最適化

検索段階は最も重要な収益化ポイントだ。検索広告とSEOの両方で対策する必要がある。特に、ブランド名検索、比較検討キーワード、課題解決キーワードの3カテゴリで戦略を分ける。

  • ブランド名検索:確実に1位表示を維持。CPCは高くても確保する

  • 比較検討キーワード:競合比較コンテンツを充実。LP内で差別化ポイントを明確化

  • 課題解決キーワード:問題解決型のコンテンツでSEO対策。広告は商材理解度に応じた訴求に調整

2024年10月にGoogleが発表した検索行動調査では、B2B購買担当者の平均検索回数は12.3回、検討期間は平均67日間という結果が出ている。この長期検討プロセスを前提とした継続的なアプローチ設計が重要だ。

Action段階での最適化

行動段階では、LPO(ランディングページ最適化)とフォーム最適化が直接的な効果をもたらす。特に、検索段階で得た情報と行動段階での情報に一貫性があるかが重要だ。

Share段階の活用

共有段階は多くの企業が見落としがちだが、次の購買サイクルに大きく影響する。購入者向けのレビュー投稿促進、SNSシェア機能の充実、アフターフォローメールでの体験共有依頼などが有効だ。

AISASモデル活用時のよくある失敗とその対策

AISASモデルを広告戦略に取り入れる際、実務者が陥りがちな失敗パターンがある。

1. 全段階を同時に実行しようとする失敗

最もよくある失敗は、5段階すべてに同時に施策を展開しようとすることだ。特に予算が限られている企業では、施策が分散してしまい、どの段階でも十分な効果が出なくなる。

月額広告費100万円未満の企業では、Search・Action段階に80%以上のリソースを集中させ、成果が安定してからAttention・Interest段階に拡張するほうが成功確率は高い。

2. 検索段階の軽視

認知施策(動画広告・ディスプレイ広告)に予算を偏重し、検索段階での受け皿が不十分になるケースも多い。認知施策で興味を持った消費者が検索しても、自社の情報にたどり着けなければ投資が無駄になる。

運用の現場では、認知広告でブランド検索数が伸びても、検索結果ページでの自社情報整備が不十分だと CV 数の伸びが鈍るケースが多い。「認知 → 検索 → 受け皿」の連鎖のうち、受け皿(LP・SEO 記事・指名検索広告)の整備が後手に回ると、認知投資の回収率が下がる。

3. Share段階の測定不備

共有段階の効果測定ができていない企業が多い。SNSシェア数、口コミ投稿数、紹介経由の新規顧客数などの指標を設定せず、投資対効果を判断できない状態で施策を続けてしまう。

よくある失敗

具体的な問題

対策

期待効果

全段階同時実行

予算分散・効果薄

重要段階への集中投下

CPA20-30%改善

検索段階軽視

認知後の取りこぼし

検索広告・SEO強化

CVR15-25%向上

Share測定不備

効果検証不可

共有指標の設定

長期LTV向上

業界・商材別のAISASモデル適用パターン

AISASモデルの有効性は業界や商材特性によって変わる。実務では画一的に適用するのではなく、ビジネスモデルに応じた調整が必要だ。

高関与商材(不動産・自動車・BtoBサービス)

検討期間が長い商材では、Search段階が特に重要になる。消費者は複数回にわたって情報収集を行うため、検索段階での情報提供の質と量が購入決定を左右する。

不動産業界の事例では、2024年に大手不動産仲介会社が検索対応を強化した結果、問い合わせから成約までの期間が平均45日から32日に短縮された。具体的には、物件詳細ページの情報量を3倍に増やし、エリア情報・学校区・交通利便性などの検索ニーズに対応したコンテンツを充実させた効果だ。

低関与商材(日用品・食品・アパレル)

日常的に購入する商材では、AttentionからActionまでの期間が短く、衝動的な購入が多い。そのため、検索段階よりもAttention・Interest段階での印象形成が重要だ。

ただし、ECサイトで購入する場合は、店頭購入と比べて検索行動が発生しやすい。商品名検索、ブランド名検索への対策は低関与商材でも必須だ。

サブスクリプション・SaaS

継続課金モデルでは、Share段階が次の顧客獲得に直結するため、特に重要になる。既存顧客の満足度向上とレビュー・口コミ促進が新規顧客獲得コストの削減につながる。

SaaS業界のベンチマークを見ると、口コミ経由の顧客のLTVは広告経由より平均42%高く、解約率も23%低いという調査結果がある(2024年のSaaS Capital調査)。

商材タイプ別のAISAS各段階の重要度。高関与商材は検索段階、低関与商材は注意・興味段階、SaaSは共有段階が特に重要になる傾向がある。

商材タイプ別のAISAS各段階の重要度。高関与商材は検索段階、低関与商材は注意・興味段階、SaaSは共有段階が特に重要になる傾向がある。

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LTV(顧客生涯価値)の計算式と改善|広告運用に活かす考え方

AISASモデルのShare段階を活用した継続的な顧客価値向上の具体的手法。口コミ促進から解約率改善まで詳しく解説。

AISASモデルに基づく効果測定とKPI設計

AISASモデルを実際の広告運用で活用するには、各段階に応じた適切なKPIの設定が不可欠だ。

段階別のKPI設計

従来の最終CV数・CPAだけでは、各段階の効果を正確に測定できない。段階別に中間指標を設定し、施策の改善ポイントを特定する必要がある。

AISAS段階

主要KPI

補助指標

計測ツール

Attention

リーチ数・インプレッション

ブランド認知率・想起率

Google広告・Meta広告

Interest

クリック率・動画視聴率

エンゲージメント率・保存数

各媒体の管理画面

Search

ブランド検索数・指名検索CV

検索ランキング・検索ボリューム

Google Analytics・Search Console

Action

CV数・CPA・ROAS

LPのCVR・フォーム完了率

GA4・各媒体のCV計測

Share

シェア数・レビュー投稿数

口コミ経由CV・NPS

SNS分析ツール・レビューサイト

計測で注意すべきポイント

AISASモデルの各段階は独立しているわけではなく、相互に影響し合う。特に、Attention段階の施策がすぐにActionに結びつかなくても、Search段階での検索行動を促進している可能性がある。

そのため、直接CV以外の間接効果も含めて評価する必要がある。Google Analyticsのアトリビューション分析や、UTMパラメータによる詳細な流入経路の追跡が重要だ。

中長期での効果測定

AISASモデルに基づく施策は、短期的な成果だけでなく、中長期的なブランド資産の構築も含んで評価すべきだ。特に、Share段階の施策は効果が現れるまでに3-6ヶ月程度かかる場合が多い。

月次での施策見直しに加えて、四半期ごとのブランド調査、年次での顧客ロイヤルティ調査も併せて実施することで、AISASモデル活用の真の効果を測定できる。

よくある質問

AISASモデルを初見でもわかるように説明するには?

「ネット時代の買い物の流れ」として説明するのが最も理解しやすい。「CMで気になる商品を知り(注意)、興味を持ったら(興味)、ネットで詳しく調べ(検索)、実際に買って(行動)、SNSで感想をシェアする(共有)」という日常的な行動として例示する。従来のAIDMAと違い「調べる」と「シェアする」が入った点を強調すると伝わりやすい。

AIDMAからAISASになった時代背景は?

インターネットの普及が最大の要因だ。1990年代まで消費者は限られた情報源(TV・新聞・雑誌)から情報を得ていたため、商品への欲求を高めて記憶にとどめる必要があった。しかし2000年代以降、いつでも詳細情報を検索できるようになり、また購入後もSNSで体験を共有する行動が一般化した。電通が2004年にAISASを提唱したのは、この消費者行動の変化を理論化したものだ。

AIDMAとAISASの細かな違いは実務で重要?

実務では非常に重要だ。AIDMAは「記憶に残す」ことを重視するため、インパクトのある広告クリエイティブが有効。一方AISASは「検索される」ことを重視するため、検索キーワード対策とランディングページの充実が必須になる。予算配分も大きく変わり、AISASでは検索広告の比重を高める必要がある。どちらのモデルを使うかで、施策の優先順位が根本的に変わる。

AISASモデルはすべての商材に適用できる?

適用はできるが、商材特性によって各段階の重要度が変わる。高額商品(不動産・自動車)では検索段階が特に重要になり、日用品では注意・興味段階の比重が高くなる。また、店舗購入メインの商材では検索段階の影響が限定的な場合もある。画一的に適用するのではなく、自社商材の購買特性を分析してからモデルを調整することが重要だ。

AISASのShare段階はどう測定すべき?

SNSシェア数、レビューサイトへの投稿数、口コミ経由のCV数を主要指標とする。Google AnalyticsでSNS経由の流入を追跡し、レビューサイトでの言及数をモニタリング。加えて、顧客アンケートで「他者への推奨意向(NPS)」も測定する。これらの指標は効果が現れるまで3-6ヶ月かかるため、中長期での評価が必要。短期的な売上指標だけでは測れない部分を見るのがShare段階の測定のポイントだ。

まとめ

AISASモデルは、デジタル時代の消費者行動を理解し、効果的な広告戦略を設計するための重要なフレームワークだ。従来のAIDMAモデルから「検索」と「共有」の要素が加わったことで、現代の購買行動により適合している。

実務での活用では、全段階を同時に実行するのではなく、予算規模と商材特性に応じて重点段階を絞ることが重要だ。特に月額広告費100万円未満の企業では、Search・Action段階への集中投下から始め、成果が安定してから他の段階に拡張するアプローチが効果的だ。

各段階に応じた適切なKPI設定と中長期での効果測定により、AISASモデルの真の価値を実現できる。消費者の行動変化に対応したマーケティング戦略の構築に、AISASモデルを積極的に活用してほしい。

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